システムプログラム(第0回): Webページに対するアクセス制御と認証
筑波大学 システム情報系 情報工学域
新城 靖
<yas@cs.tsukuba.ac.jp>
このページは、次の URL にあります。
https://www.coins.tsukuba.ac.jp/~syspro/2025/2025-05-21/www-access-control.html
あるいは、次のページから手繰っていくこともできます。
https://www.coins.tsukuba.ac.jp/~syspro/2025/
http://www.coins.tsukuba.ac.jp/~yas/
■Webページに対するアクセス制御と認証
ファイルに対するアクセス制御と
考え方が共通の部分と異なる部分がある。
◆アクセス制御
[再掲]
アクセス制御(access control)
とは、「主体」が、「オブジェクト」を「操作」する時、どんな操作なら正し
いということを定義して、それがきちんと守られていることをということを保
証することである。
図? アクセス制御における主体、オブジェクト、および、操作
◆Webページにのアクセスにおける主体、オブジェクト、操作
WWWは、もともと大勢の人にメッセージを伝えるための仕組みだが、後付けでア
クセス制御の仕組みを入れた。
あるページは、ある特定の人(同じ研究室・部署の人)だけにしか見えないよ
うに設定することもできる。
- 主体
-
- Webブラウザ(クライアント)が動作しているホストの IP アドレスやドメイン名
- ユーザ名とパスワードで識別したユーザ
- 公開鍵暗号系で特定の秘密鍵を所有しているユーザ
- オブジェクト
- URLで表現できるもの。木構造を利用した指定や正規表現(後述)による指定も可能。
- 単純なWebページ(ファイル)
- Webアプリケーション(レポート提出ページのように、Webブラウザで文字
列やファイルを送信する。Web サーバでは特別のプログラムが動作する。)
- 操作
-
- データを取得(GET)
- データを送る(POST)
- その他
◆Webページに対するアクセス制御の設定
アクセス制御の設定は、普通は、オブジェクト側でなされる。
- WWWサーバの管理者
-
httpd.conf
、および、それから読み込まれるファイル
- 個人のページ
access.conf は空で、全部 httpd.conf に書くことも多い。
サーバの管理者は、.htaccess を無効にもできる。
coins では www.coins.tsukuba.ac.jp の次の場所にある。
-
/etc/httpd/conf/httpd.conf
-
/etc/httpd/conf.d/*.conf
◆IPアドレスやドメイン名によるアクセス制御
httpd.conf や .htaccess に次のように記述する。
<RequireAny>
Require ip 130.158.0.0/16
Require ip 133.51.0.0/16
Require ip 2001:2f8:3a:1700::/56
</RequireAny>
- 主体は、IP アドレスで指定されたクライアント・コンピュータ。
- 「/16」は、IPアドレスのうち、上位16ビットが一致するものを意味する。
「130.158.0.0/16」 は、
130.158.0.0から130.158.255.255までの意味。
- 130.158.0.0/16 と 133.51.0.0/16 は、
筑波大学に割り当てられた IPv4 のアドレス。
- 2001:2f8:3a:1700::/56 は、情報科学類に割り当てられた IPv6 のアドレス。
◆学外Webサイトでの筑波大学の識別例
◆Coins Shibboleth
Coins では、内部の利用者向けのページ(出席ボタン、レポート提出ページ等)で
Shibboleth
を使っている。
- アクセス制御の主体は、coins の利用者(coinsのユーザ名とパスワードを
正しく打ち込んだ人) (が実行している Web ブラウザ)
- オブジェクトは、Web ページ。
Coins の Shibboleth は、個人でも使える。
- 情報科学類のコンピュータにアカウントがある人だけが表示できるページを作る。
- 情報科学類のコンピュータにアカウントがある人のうち、
特定の人だけがアクセスできるページを作れる。
- (情報科学類のコンピュータにアカウントがある人のうち)自分だけがアク
セスできるページを作れる。
Last updated: 2025/04/21 21:27:45
Yasushi Shinjo / <yas@cs.tsukuba.ac.jp>