LaTeX

					2012年05月29日
情報科学類 コンピュータリテラシ

                                       筑波大学 システム情報系 情報工学域
                                       新城 靖
                                       <yas@cs.tsukuba.ac.jp>

このページは、次の URL にあります。
http://www.coins.tsukuba.ac.jp/~yas/coins/literacy-2012/2012-05-29
あるいは、次のページから手繰っていくこともできます。
http://www.coins.tsukuba.ac.jp/~yas/
http://www.cs.tsukuba.ac.jp/~yas/

■連絡事項

■復習

HTML と CSS (Cascading Style Sheet)の役割分担。

HTML で記述できる文書の構造:

CSS で記述できる表示の方法:

ASCII コード表を表示するには、man ascii と打つ。16進数で 5c の文字「\」 は、端末によっては、「¥(円号)」や「\(バックスラッシュ)」で表示される。 コンピュータの内部では、16進数で 5c ということには代わりがない。どちら で表示されることもある。表示にこだわるとき、1つの文書で混ぜて使うのは、 不可能ではないが、難しい。

今日の課題では、 練習問題(601) ことえりのバックスラッシュ入力 を行い、キーボードの「¥(円号)」でバックスラッシュが入力されるようにす ると楽である。

■LaTeX

手引き 第5章 文書整形システム TeX 参照The Unix Super Text 下巻「第50章 文書整形システム LaTeX」 参照

TeX (テフ、テック、タオ・イプシロン・カイ) は、D.E.Knuth による文書整形 システム。マークアップ言語によりテキストファイルにTeX の命令を埋め込ん だ文書を作成し、言語処理系(texコマンド)を使うと、印刷に適したものになる。

LaTeX (ラテフ、レイテック)は、TeX を拡張して、論文を簡単に書くために適 した命令を増やしたもの。L.Lamport による。

pTeX (pLaTeX) は、publisher ASCII出版で、TeX, LaTeX で日本語が使えるよ うにしたもの。coins で利用可能な物はこれの漢字コードとして EUC が使える ものである。その他に、NTT により日本語化されたものもある。

TeX は、マクロプロセッサの一種。マクロとは、文字列の置き換えのこと。一 般的には、短い文字列から長い文字列、簡単な文字列から複雑な文字列に変換 (展開)する。

様々なマクロ定義をまとめたものを「パッケージ」という。 \usepackage により取り込んで使うことができる。 自分でマクロ定義を行うこともできる。

◆ソース、プレビュー、印刷

LaTeX での文書の作成
  1. (必要なスタイルを入手する。標準のものを用いる場合は不要。)
  2. (サンプルをコピーする。)
  3. ソース・ファイル(拡張子 .tex )を作成/編集する。
  4. platex コマンドで dvi ファイルを作成する。
  5. プレビューアで dvi ファイルを作成する。
  6. 完成するまで、3 にもどる。
  7. (dvi ファイルから、dviselectなどで必要な部分を切り出す。)
  8. dvi ファイルを、印刷に適した形式(PostScriptやPDFなど)に変換する。
  9. 印刷する

LaTeX ソース、DVI ファイル、PDF ファイル、PostScript

dvi (DeVice Independent) 形式
プリンタや画面などのデバイス(device)から独立した形式。
TeXのプリンタ・ドライバ
dvi 形式を、プリンタ用の命令に変換する。
プレビューア
dvi ファイルを画面に表示する。
dvipdfmx
dvi 形式を PDF 形式に変換する。(dvipdfm (xなし) では、漢字がうまく変換できない。)
dvips
dvi 形式を PostScrip 形式に変換するプリンタ・ドライバ。 PostScript プリンタに印刷する時には適している。
xdvi
X Window System (X11) を使って画面に表示するプレビューア。

dvi 形式をPostScipt 形式に変換し、GhostScript (gs コマンド, gv コマンド) で表示する方法がある。プレビュー.app(Preview.app)でも、PostScript 形式の ファイルを(一旦PDFに変換して)画面に表示できる。

◆全角/半角

「全角(full-width)」、「半角(half-width)」とは、元々は、ワードプロセッ サの用語。漢字が「同じ幅(等幅,non-proportional)」で表示されることを利用 して、区別する。
全角
漢字1文字と同じ幅
半角
漢字1文字と半分の幅(で表示されるアルファベットや数字、記号)
半角は、主に ASCII。半角カナもあるが、あまり使われない (半角カナは、 電子メールやネットワーク・ニュースでは使わない約束になっている)。

◆LaTeX の特殊文字

HTMLで使えない文字 (< > &)と同様に、 LaTeX でも特別扱いする文字がある。 次の文字は、LeTeX が特別扱いする。

#,$,%,&,_,{,},\,<,>,|,^,~   

The Unix Super Text 50.9.4項 参照

これらの特殊文字を LaTeX 処理系に解釈させる(LaTeX の命令とする) には、 半角 (ASCII) を使う。同じ形で画面に表示される全角文字(漢字)を使っても、 命令とは見なされなず、単に他の漢字と同じように表示される。

◆ソース・ファイル

Emacs などのテキスト・エディタで作成する。

◆例:struct.tex

   1:	%
   2:	% struct.tex
   3:	% 
   4:	\documentclass[a4j]{jarticle}
   5:	\usepackage{graphicx}
   6:	
   7:	\title{ \LaTeX 文書の構造}
   8:	\author{ 新城 靖 }
   9:	\date{\today}
  10:	\西暦
  11:	
  12:	\begin{document}
  13:	
  14:	\maketitle
  15:	
  16:	\begin{abstract}
  17:	  この文書は、\LaTeX 文書の構造を示したものである。
  18:	\end{abstract}
  19:	
  20:	\section{はじめに}
  21:	
  22:	章立てには、section, subsection, subsubsection を用いる。パラグラフとパ
  23:	ラグラフの区切りは、空行を開ける。(paragraph や subparagrap は、普通は
  24:	使わない。)
  25:	
  26:	\ref{sec:list}章では、3種類の箇条書きについて説明している。
  27:	
  28:	\subsection{見出し}
  29:	
  30:	\subsection{見出し}
  31:	
  32:	\section{箇条書き}
  33:	\label{sec:list}
  34:	
  35:	itemizeの例を示す。
  36:	
  37:	\begin{itemize}
  38:	  \item 日本料理
  39:	  \item 中華料理
  40:	  \item 韓国料理
  41:	\end{itemize}
  42:	
  43:	enumerateの例を示す。
  44:	
  45:	\begin{enumerate}
  46:	  \item メールリーダを実行する
  47:	  \item 新着メールを取り込む
  48:	  \item 新しいメールを書く
  49:	  \item 新しいメールを送る
  50:	  \item メールリーダを終了する
  51:	\end{enumerate}
  52:	
  53:	descriptionの例を示す。
  54:	
  55:	\begin{description}
  56:	  \item[mnews] ネットワーク・ニュースと電子メールを読み書きするプログラム。
  57:	  \item[emacs] テキスト・エディタの1つ
  58:	  \item[Firefox] WWWブラウザ
  59:	  \item[irc] 文字による会議システム
  60:	\end{description}
  61:	
  62:	\subsection{図の挿入}
  63:	
  64:	図\ref{fig:latex-struct}に、\LaTeX の文書の構造を示す。
  65:	\LaTeX の文書は、プリアンブルと本文から構成される。
  66:	プリアンブルには、表題、著者、概要を記述する。
  67:	本文は、章、節、項などから構成され、最後に参考文献が付く。
  68:	
  69:	\begin{figure}[t]
  70:	  \begin{center}
  71:	    \includegraphics[width=80mm]{latex-struct.eps}
  72:	  \end{center}
  73:	  \caption{\LaTeX におけるデータの流れ}
  74:	  \label{fig:latex-struct}
  75:	\end{figure}
  76:	
  77:	\subsection{見出し6}
  78:	
  79:	数式を記述することもできる。
  80:	
  81:	$ \displaystyle \sum^{10}_{x=1} \frac{1}{x^{2}} $
  82:	
  83:	\section*{見出し7}
  84:	
  85:	番号がつかない見出しもある。
  86:	
  87:	\end{document}

◆文書の構造

手引き 6.3 参照。 次のような構造を持つ 本文は、次のような命令で、文書の構造を表す。
\section  
章 (HTML <H1>)
\subsection  
節 (HTML <H2>)
\subsubsection  
項 (HTML <H3>)
空行で区切られた部分
パラグラフ (HTML <P>)
「\\」で、強制改行(HTML の <BR>)の意味だが、使ってはならない。 その代わりに空行(HTML の <P></P>)を使うこと。

その他に、\section より大きい単位として\part と \chapter, \subsection より小さい単位として \paragraph, \subparagraph が使われることがある。通 常のパラグラフは、空行で作り、\paragraph は使わない。

手引き 6.3.4-6.3.5 参照

◆コメント

「%」から行末までは、コメント。

◆auxファイル

LaTeX では、\label{} で、章の番号や図の番号を定義し、 \ref{} を使って別の場所から参照できる。これを実現するには、 platex コマンドを2回実行する必要がある。 1度目に、.tex を読み込み、番号を決定しながら、番号を、.aux に出力する。 .dvi には、? を出力しておく。 2度目に、.tex と .aux を読み込み、.dvi に出力する。

◆箇条書き

手引き 6.3.6 参照

◆図

figure環境を使う。\caption で図の説明がつけられる。 \label で、図の番号を定義し、\ref で参照できる。 \includegraphics で EPS 形式や PDF 形式の図を読み込める。 手引き 6.3.7 参照

◆table

table環境を使う。 tabular環境で、図が書ける。 手引き 6.3.7 参照

◆verbatim

verbatim環境を使うと、テキストのまま形で表示される。 プログラムや端末の出力を貼る時に便利である。

◆HTMLとLaTeXの比較

HTML と LaTeX は、基本的な考え方が似ている。 次のような HTML タグや LaTeX の命令を使って文書の構造を記述する。
HTML と LaTeX で文書の構造を表し方
HTML LaTeX
<TITLE> \title
<body> \begin{document}
<H1> \section
<H2> \subsection
<H3> \subsubsection
<P> 空行
<A name=""> \label
<A href=""> \ref
<UL><LI> \begin{itemize} \item
<OL><LI> \begin{enumerate} \item
<DL> \begin{description}
<IMG> \includegraphics
<TABLE> \begin{tabular}
<ADDRESS> \author
見栄えは、スタイルシート(HTML)やスタイルファイル(LaTeX) で制御する。

■LaTeXとPostScript

◆PostScript

The Unix Super Text 17章 参照。 PostScript は、Adobe 社により開発されたプリンタを制御するための スクリプト言語(プログラミング言語)。

PostScriptプリンタは一種のコンピュータで、PostScript 言語のプログラムを実行することができる。 実行結果として、印刷が行われる。 PostScript プリンタに対してテキストやワード・プロセッサの文書、ソース・プ ログラムをそのままプリンタに送っても、印刷されない。

PostScript プリンタに印刷するためには、プリンタにファイルを送る前になん らかの手段でPostScript のプログラムに変換する。 coins のプリンタに印刷する時には、PostScript 言語のプログラムを 作成して、プリンタに送っている。

The Unix Super Text 52.2.1 参照The Unix Super Text 17.1.2 参照。 図17-1 のプログラムは、括弧{}が消えている。 復活したものを、ここ に置く。

◆EPS (Encapsulated PostScript)

EPS (Encapsulated PostScript) 形式は、PostScript に描画領域(bounding box)の 情報などを付加したもの。
%%BoundingBox: 0 0 512 322
この例では、画像は、左下の座標(0,0)から右上の座標(512,322)の間にあるこ とを意味する。

■bashとEmacs

◆bashのコマンド行の編集機能

bash には、Emacs に似せて、コマンド行の編集機能がある。

◆bashのファイル名補完機能

Emacs には、 タブ・キーによる補完機能がある。 類似の機能が bash にもある。ファイル名を打つ時、 cd コマンドを打つ時に便利である。
 $ cd ~/p[tab][]
 $ cd ~/public_html/[]
行頭では、コマンド名を補完してくれる。

◆bashのファイル名置き換え機能

bash には ファイル名置換 がある。
$ ls *.tex [←]
$ ls *.dvi [←]
$ ls struct.* [←]

■実習

実習時間中には、 以下の課題をできるだけ多く行いなさい。全部を行う必要はない。

★練習問題(1201) bash補完機能

bash の補完機能を利用して、次のファイル名を打ちなさい。
 $ ls /[]
ここまで打ったら、行末で[tab] (^I(Control+I))を1度押してみる。
 $ ls /[tab][]
1度目は何も表示が変わらない。bash や端末の設定によっては、ベルが鳴る。 行末で[tab] をもう一度してみる。
 $ ls /[tab][]
すると、ls と同じような表示がなされる。
 $ ls /
 .DS_Store              Developer/             home/
 .Spotlight-V100/       Library/               local3/
 .SymAVx86QSFile        Network/               mach_kernel
 .Trashes/              Pref-data/             net/
 .file                  System/                opt/
 .fseventsd/            Users/                 private/
 .hotfiles.btree        Volumes/               sbin/
 .metadata_never_index  bin/                   tmp/
 .symSchedScanLockxz    cores/                 usr/
 .vol/                  dev/                   var/
 Applications/          etc/                   
 $ ls /[]
目的の「usr」は、uから始まるものは、1個しかないので 「u」 とうち、[tab] を打つ。
 $ ls /u[tab][]
すると、sr/ が補完される。
 $ ls /usr/[]
[tab][tab]」([tab]を2回)打つ。
 $ ls /usr/[tab][tab][]
すると、/usr の内容が表示される。
 $ ls /usr/
 X11/        bin/        lib/        local/      sbin/       standalone/ 
 X11R6/      include/    libexec/    local3/     share/      
 $ ls /usr/[]
b [tab]」と打つ。
 $ ls /usr/b[tab][]
次のように「in/」が補完される。
 $ ls /usr/bin/[]
/usr/bin/」に対して、「[tab][tab]」と打つと、次のように警告される。
 $ ls /usr/bin/[tab][tab]
 Display all 1093 possibilities? (y or n)[]
候補が多すぎるので、ここでは表示はしないでnを打つ。
 Display all 1093 possibilities? (y or n)n
em と入れて [tab] を押す。
 $ ls /usr/bin/em[tab][]
すると、次のように「acs」が補完される。
 $ ls /usr/bin/emacs[]
これで目的のファイルを打ち込むことができた。

★練習問題(1202) bash補完機能(コマンド名)

bash には、ファイル名だけでなくコマンド名を補完する機能もある。コマンド ラインの先頭で補完機能を利用すると、ファイル名ではなくコマンド名が補完 される。このことを確かめなさい。この機能を使って、次のようなコマンド名 を打ちなさい。

★練習問題(1203) LaTeXサンプルのコンパイル

以下のようにして、サンプルをコンパイルしなさい。mkdir コマンドで 作成するディレクトリとしては、ASCIIの範囲のものを使うと扱いやすい。以下 の記述でディレクトリの名前 ディレクトリ名 には、各自自 分にとって分かりやすい適切な名前を考えて置き換えなさい。 「ディレクトリ名」 と入れてはならない。
$ mkdir ディレクトリ名 [←]
$ cd ディレクトリ名 [←]
$ cp ~yas/public_html/coins/literacy-2012/2012-05-29/ex/struct.tex . [←]
$ cp ~yas/public_html/coins/literacy-2012/2012-05-29/ex/latex-struct.eps .  [←]
$ ls [←]
latex-struct.eps        struct.tex
$ platex struct.tex  [←]
(メッセージ)
$ platex struct.tex [←]
(メッセージ)
$ ls [←]
latex-struct.eps        struct.dvi              struct.tex
struct.aux              struct.log
$ []
platex コマンドを、2回実行する。 この結果、.dvi ファイル、.aux ファイルが作成されていることを確認しなさい。 上の例では、さらに .log ファイルも作成されている。

★練習問題(1204) dvipdfmx コマンドによる dvi ファイルから PDFファイルの作成

dvipdfmx を使って PDF ファイルを作成しなさい。
$ ls -l file.dvi [←]
$ dvipdfmx file.dvi [←]
$ ls -l file.pdf [←]
この結果、file.dviとうファイルから file.pdfが生成させる。このことを確認しなさい。 この例は、file.dviという名前のファイルから file.pdfという名前のファイルを作成している。 他の名前のファイルを使う時には、適宜ファイル名を変えること。

★練習問題(1205) PDFファイルの画面表示

PDF ファイルを表示しなさい。 以下の例は、file.pdfという名前のファイルを表示している。 他のファイルを表示する時には、適宜ファイル名を変えること。
$ ls -l file.pdf [←]
$ open file.pdf [←]
これにより、標準の PDF を表示するアプリケーションが実行される。

(標準も含めて) 次の 2 つのアプリケーションで表示してみなさい。

それぞれ実行した後、一番上のメニューバーにある「ファイル」メニューから 「開く」を選び、PDFファイルを指定する。

一番上のメニューバーにある「ファイル」メニューから「プリント」を選ぶと、 印刷することができる。

★練習問題(1206) bashファイル名置き換え機能

LaTeX のコンパイルや PDF ファイルの作成ができたら、bash のファイル名置 き換え機能を利用してみなさい。

★練習問題(1207) LaTeXプレビューア xdvi

The Unix Super Text 50.6 参照。 プレビューア xdvi を利用しなさい。 以下の例は、file.dviという名前のファイルを表示している。 他のファイルを表示する時には、適宜ファイル名を変えること。
$ ls -l file.dvi [←]
$ xdvi  file.dvi [←]
終了するには、Quit ボタンを押すか、q キーを押す。 EPS 形式で読み込んだ図について、PS View ボタンや v キーで表示、非表示を切り替えなさい。

次のキーの動作を確認しなさい。
キー 働き
q 終了
n next ページへ移動
p previous ページへ移動
j 下へ移動
k 上へ移動
h 左へ移動
l 右へ移動
g のページ移動
s で指定されたサイズ変更
j,k,h,l は、右手をホーム・ポジションに置いたまま楽に打てる。 エディタ vi のキーと同じである。 less, lv コマンドとも、j,k については同じである。

xdvi を印刷の目的でも利用することができる。 ただし、印刷の品質は必ずしも良いとは言えない。 以下の dvips を使った時と印刷の品質を比較しなさい。

★練習問題(1208) dvi ファイルから PostScriptファイルの作成

platex コマンドで dvi ファイルを作成したら、それからdvips コマンドで PostScript ファイルを作成しなさい。 以下の例は、file.dviという名前のファイルから file.psという名前のファイルを生成している。他のファイル を表示する時には、適宜ファイル名を変えること。
$ ls -l file.dvi [←]
$ dvips file.dvi [←]
dvips コマンドについては、The Unix Super Text 50.7 参照

なお、coins の dvips は、標準で(-o オプションをつけなくても)、.ps とい う拡張子を持ったファイルを生成する。標準出力に PostScript ファイルを出 力しない。従って、生成した PostScript ファイルを印刷するには、それを 以下で説明するlpr コマンド でプリンタ送る。

★練習問題(1209) PostScriptファイルのプレビュー

作成した PostScript ファイルを、印刷せずに、次のような方法を使って画面 に表示しなさい。 PostScript ファイルとしては、次のファイルを利用してもよい。

★練習問題(1210) PostScriptファイルの印刷

PostScript ファイルを、lpr コマンドを使ってプリンタに送り印刷しなさい。 lpq コマンドで、キューの様子を観察しなさい。

以下の例は、file.psという名前のファイルを印刷している。 他のファイルを印刷する時には、適宜ファイル名を変えること。

$ ls -l file.ps [←]
$ lpr   file.ps [←]
$ lpq [←]

lpr, lpq コマンドの代わりに lp コマンド、lpstat を使ってみなさい。 The Unix Super Text 17.3 プリンタの使い方 参照手引き 2.9節、表2.8 参照

★練習問題(1211) PDF形式の図の読み込み

dvipdfmx では、EPS 形式以外の画像、たとえば、PDF 形式の図を読み込むこともできる。

\includegraphics{file.pdf}  
この場合、描画領域(bounding box)を示すファイルを、拡張子 .bb で別途作成する。
$ ls file.* [←]
file.bb file.pdf
$ cat file.bb [←]
%%BoundingBox: 0 0 726 306
$ []
まず、LaTeX のファイルの先頭に近い部分にある、\usepackage に、次 のように [dvipdfm] というオプションを付ける。
\usepackage[dvipdfm]{graphicx}

この機能を確認しなさい。

拡張子 ".bb" を持つ描画領域を含むファイルは、テキストエディタで作成する こともできるが、PDF ファイルから ebb コマンドで作成することもできる。 以下の例では、square.pdf から square.bb を作成している。

$ ls square.* [←]
square.pdf
$ ebb square.pdf [←]
$ ls square.* [←]
square.bb       square.pdf
$ cat square.bb  [←]
%%Title: ./square.pdf
%%Creator: extractbb 20120527
%%BoundingBox: 0 0 121 121
%%CreationDate: Sun May 27 21:11:07 2012

$ []
この機能を確認しなさい。

★練習問題(1213) OmniGraffle (オムニグラフ)

OmniGraffle 5 ("/Applications/OmniGraffle 5.app")を実行して、 図形の描画を行いなさい。描画した図形を、 「ファイル」メニューから「書き出し (Option+Command+E)」を選び、 EPS形式で保存しなさい。

詳しくは、「ヘルプ」を見なさい。これは、一番上のメニューバーにある「ヘ ルプ」から「OmniGraffle ヘルプ」を選ぶことで表示される。

★練習問題(1214) tgifコマンド

tgif を利用して、図を書いてみなさい。作成した図を EPS 形式で保存しなさ い。

tgif を実行するには、コマンドラインから tgif と打つ。

tgif は、X Window System (X11) の機能を利用して動作する。 tgif を実行する前に X11 を実行(Dock の X11 をシングルクリック)しなさい。 そこで開かれた端末で tgif を実行しなさい。

tgif で作成した図を、EPS 形式で出力し、TeX で利用しなさい。

The Unix Super Text 下巻 第53章 ドローツール 参照http://takeno.iee.niit.ac.jp/~foo/tgif-jman/tgif-jman.html参照。

★練習問題(1215) convertコマンド

ImageMagic convert コマンドを用いてイメージ(PNG形式やJPEG形式など)から EPS (Encapsulated PostScript) 形式を作成してみなさい。 以下の例では、file.pngとうファイルから file.epsが生成させる。 他の名前のファイルを使う時には、適宜ファイル名を変えること。
$ ls -l file.png  [←]
$ convert file.png file.eps [←]
$ ls -l file.eps [←]

生成した PostScript ファイルを lv コマンドで表示したり、gs コマンドや gv コマンドで画面に表示しなさい。

★練習問題(1216) Gimpによる EPS の作成

Gimp.app (/Applications/Gimp.app) で画像を読み込み、 EPS 形式で保存することで、EPS を作成しなさい。

生成した PostScript ファイルを lv コマンドで表示したり、gs コマンドや gv コマンドで画面に表示しなさい。

★練習問題(1217) a2psコマンド

The Unix Super Text 上巻 17.2節 PostScriptの使い方 参照。 a2ps コマンドを使って、ASCIIからなるテキストファイルからPostScript ファ イルを作成しなさい。
$ a2ps --help [←]
$ a2ps -o file.ps file.txt [←]
詳しくは、man a2ps を見なさい。

注意: a2ps コマンドは、日本語を扱うことはできない。日本語は、a2ps-j を 使いなさい。PostScript ファイルを作る時には、必ず -o オプションを使うこ と。-o オプションを付けないと、そのままプリンタに送られてしまう。

生成した PostScript ファイルを lv コマンドで表示したり、gs コマンドや gv コマンドで画面に表示しなさい。

★練習問題(1218) a2ps-jコマンド

a2ps-j コマンドを使って、日本語漢字を含むテキストファイルから PostScript ファイルを作成しなさい。
$ a2ps-j -help [←]
$ a2ps-j file.txt > file.ps [←]
注意: -o オプションは使えない。

生成した PostScript ファイルを lv コマンドで表示したり、gs コマンドや gv コマンドで画面に表示しなさい。

★練習問題(1219) PostScriptファイルの生成

次の方法で、PostScript のプログラムを生成し、ファイルに保存しなさい。

生成した PostScript ファイルを lv コマンドで表示したり、gs コマンドや gv コマンドで画面に表示しなさい。

■課題12 LaTeXによる文書の作成

今日の課題では (1) と (3) [加点], (4) [加点] の結果を、印刷して TA に提 示し、確認番号を受け取りなさい。レポートには、受け取った確認番号を記入 しなさい。TeX ファイルを含める必要はない。

以下の問題の回答(または確認番号)をテキスト・ファイルに記述し、 レポート提出ページから提出しなさい。

(1) 課題8(1)で作成し たWWW ページと類似の TeX 文書を作成し、dvi ファイルを作成しなさい。その dvi ファイルから、PDF ファイルを作成しなさい。その PDF ファイル、または、 dvips により作成したPostScript ファイルを印刷しなさい。ただし、以下の点 については、同じでなくてもよい。

TeX文書は、最初から作成するのではなく、サンプルをコピーして開始すること が一般的である。完成したPDF ファイルと印刷物を TAに見せ、確認番号を受け 取りなさい。レポートには、確認番号を含めなさい。 なお、元の HTML で、文書の構造がしっかりできていなかった人は、LaTeX の 課題をする前にHTMLの課題をやり直し、文書の構造をきちんと整えなさい。元 の HTML の悪い構造を LaTex 文書に悪い形で維持してはならない。

(2) 筑波大学全学計算機システム の 「 情報処理実習用手引き 」 筑波大学全学計算機システムの「情報処理実習用手引き」を読みなさい。 そして次の点について、次の項目について簡単に説明しなさい。

(3) [加点] 同じ内容の文書を、次に示す1つ以上のスタイルを用いて整形し、 PDF ファイルを作成しなさい。

PDF ファイルを TAに見せ、確認番号を受け取りなさい。レポートには、確認番 号、利用したスタイル・ファイルの種別、および、細かな修正を行った場合に は、修正点を記入しなさい。

(4) [加点] 次の LaTeX の機能を全て利用してし、PDF ファイルを作成しなさい。

PDF ファイルを TAに見せ、確認番号を受け取りなさい。


Last updated: 2012/06/14 12:06:53
Yasushi Shinjo / <yas@cs.tsukuba.ac.jp>