音声、静止画像、動画像の符号化、シェル、ディレクトリ

					2012年05月08日
情報科学類 コンピュータリテラシ

                                       筑波大学 システム情報系 情報工学域
                                       新城 靖
                                       <yas@cs.tsukuba.ac.jp>

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■連絡事項

■音声の符号化

音をコンピュータで扱うには、次のような手順になる。

  1. 音を電気信号に変える(マイクロホン)
  2. 電気信号をビット列(整数)に変える(A/Dコンバータ(analog-to-digital converter))
  3. コンピュータで計算/通信/蓄積する
  4. ビット列(整数)を電気信号に変える(D/Aコンバータ(digital-to-analog converter))
  5. 電気信号を音に変える(スピーカ)

アナログ信号のディジタル化、棒グラフとアナログ信号

アナログ信号のディジタル化

ディジタルデータ: 0, 1, 2, 3, 3, 2, 1, 0, -1, -2, -3, -3, -2, 0, 2, 3, 2, 0

◆音声データの品質

ディジタルになった音声データの品質は、次の数で決まる。
標本化レート(サンプリング・レート、空間量子化レート)
電気信号を数に変える頻度。1秒辺り回数(Hz (ヘルツ))で表す。
量子化数(サンプリング・サイズ、時間量子化)
数に変える時に何ビットで表わすか。ビットで表す。
チャネル数(チャンネル数(channel))
ステレオなら2。(単位なし)

◆CD品質の音(Compact Disc)

◆CD 1枚(70分)に含まれているデータ量

44100 [回/秒] *16 [ビット] * 2 ==1,411,200 [ビット/秒]
1,411,200 [ビット/秒] * 60 [秒/分] *70 [分/枚] == 5,927,040,000 [ビット/枚]
5,927,040,000 [ビット/枚] / 8 [ビット/バイト] == 740,880,000 [バイト/枚]
〜740 M [バイト/枚]
「*」は、コンピュータで掛け算を表す。割り算は、「/」。

◆電話品質

◆電話のデータ量

電話1秒当たりのデータ量
8000 [回/秒] * 8 [ビット] * 1 == 64000 (64k) [bit]
電話1時間当たりのデータ量
64k [bit/秒] * 60 [秒/分] * 60 [分/時間] == 230,400 k [ビット]== 230,400,000 [ビット]
電話も、CD より音質は悪いが長電話すると、相当なデータ量になる。

◆データ圧縮、圧縮

データ圧縮(data compression)、あるいは、圧縮(compression)とは、 なんらかの形式で表現された大きなデータを、計算により、少ないデータ量で 表現する。音声、静止画像、動画像は、データ量が多くなるので、圧縮が求め られる。

分類

音声の符号化の方法(圧縮方法)

MP3の他にも、H.264 など、動画像(音声含む)の形式の音声部分だけを使うこともある。

◆音声データの形式とコンテナ形式

音声をファイルに保存する時には、2つを区別する。 音声データをプログラムで扱う時には、そのプログラムがどのよな音声の形式 やコンテナの形式を扱えるかを考える必要がある。

音声データ右、左、低品質

コンテナと音声データ

音声データ形式の例は、 音声の符号化の方法(圧縮方法) で示したもの。

よく使われる音声用のコンテナ形式としては、次のようなもがある。

音声でも、動画像用のコンテナを利用することもある。

◆CD (digital)は、音がいいか

アナログのレコードより、ディジタルの CD の方が音がよいか。

CD では、ディジタルで記録された情報は、ディジタルの範囲では正確に再現 できる。

音がよいかは、ディジタル以外の部分に大きく依存する。

■静止画像の符号化

画像は、細かい細かい点(画素、ピクセル、pixel)の集合として扱える。

画像の品質は、次の2つの数で決まる。

◆ビットマップ

1つの画素を、1ビット(白か黒)で表す。

フォークとナイフの絵のビットマップによる表現(小さいもの) フォークとナイフの絵のビットマップによる表現(拡大)

◆色と階調

色と階調には、次のような種類がある。

カラーでも、1ピクセルに使うビット数で、いろいろな種類がある。

色の名前の付け方には、いろいろある。

◆画素数の感覚

◆解像度

単位面積あたりの画素数を、解像度という。

横(水平方向)、縦(巣直方向)ごとに、単位「長さ」当りのピクセル数で図る ことが多い。よく使われる単位は、dpi (dot per inch)。

画面
72 dpi / 132 dpi (iPad/iPad2) / 264 dpi (iPad 2012)
よく使われるコンピュータのプリンタ
300-6000 dpi

◆画像のデータ量の計算

画素数 ×1画素あたりのビット数
縦のドット数 ×横のドット数 ×1画素あたりのビット数
コンピュータ1画面の

1000 ドット x 1000 ドット x 24 ビット == 24,000,000 ビット。

◆圧縮

画像は、大きいので、「圧縮」したい。つまり、同じ画像をより小さなデータ 量で表現したい。

◆JPEGと劣化式圧縮

JPEG は、写真のディジタル・イメージ(カラー静止画像)を圧縮 する方法の1つであり、現在 WWW でも広く利用されている。ディ ジタル・カメラでは、写真を保存するために JPEG 形式を使ってい るものがある。

JPEG は、ITU (International Telecommunications Union, 旧 CCITT) と ISO の共同作業グループ(Joint Photographic Experts Group) により作成された規格である。正式には、JFIF (JPEG File Interchange Format) という。

JPEG は、劣化式圧縮の1つである。JPEG では、人間の目で見た時 にあまり気が付かない部分のデータを取り除く。その結果、写真の 見た目の質を落とすことなく、高い圧縮率を実現している。JPEG で圧縮時に捨てられたデータは、展開時に回復させることはできな い。

このような性質から、JPEG は、写真のようなイメージを圧縮する ために向いている。逆に、図形やイラストなどの保存には、適さな い。このようなものは、劣化式ではない圧縮アルゴリズムを使って いる PNG 形式の方が適している。

JPEG では、写真を保存する時に、品質を指定することができる。 高い品質を指定すれば、劣化が少なくなるが、データ量は多くなる。 低い品質を指定すれば、逆になる。

◆画像の形式

画像の表現形式にも、何種類もある。自分が使えるコンピュータで全ての種類 の画像が扱えるわけではない。操作する時には、自分が扱えるかどうかを調べ る必要がある。場合によっては、形式の「変換」をする必要がある。

よく使えれている画像の形式には、次のようなものがある。

◆画像の形式形式の変換

BMP,GIF,JPEG-2000,JPEG,PDF,Photoshop,PICT,PNG,SGI,TGA,TIFF

図? MacOSX 「プレビュー.app (Preview.app)」で保存可能な対応している画像の形式。(クリックで拡大)

◆ベクトル形式の画像

ベクトル、ベクタ、vector

画像をピクセルマップ(ビットマップ)ではなく、輪郭データ(アウトライン) で表す。 拡大しても、ギザギザににならない。表示の大きさによらずデータ量が一定になる。

ベクトル形式の図形(グラフィックス)場合、image とは呼ばないこともある。

円のビットマップとベクトル

◆フォント

文字を画面に表示するために文字の形のデータをある文字集合について一式そ ろえたもの。デザインが統一されている。

ビットマップ・フォントとベクトル・フォントがある。

ベクトル・フォントだと拡大しても(解像度が高いプリンタや画面で表示しても) 文字がギザギザにならない。

文字の大きさに合わせて別のデータを使うことがある。 携帯電話などの小さい画面には、特別にデザインされたビットマップ・ フォントが見やすい。

◆アンチエイリアス(滑らかな文字)

文字がギザギザを目立たせないようにするために、 中間色を使う。

◆文字の符号化の意義(再掲)

文字を符号化することには、いくつかの意義がある。 比較できることは、検索の時に便利。画像では検索しにくい。

逆に文字を符号化してしまうと、個人の性質を出したい時には、問題がある。 たとえば、署名やラブレター。

文字を画像として送ることもできるが、特別に符号化することが一般的である。

漢字の「漢」のビットマップによる表現

■動画像の符号化

コンピュータで動画像を扱うには、基本的には、テレビ、映画、アニメーショ ンと同じで、静止画像を次々と切り替えることをする。 次の3つの数で決まる。 これらを全て掛け合わせたものが、ビットレート(bit rate)。1秒当たりのデー タ量(ビット数)。(ビットレートの場合、圧縮された後で考えることもある。)

◆アナログテレビの品質

ディジタルではにないので、精密には言えないがこのくらい。 1秒あたりのデータ量: 235*240*16*30 == 27,072,000 ビット。

◆日本の地上ディジタルテレビの品質

ただし、縦方向は、飛び越し走査(interlace scan) なので、1回には、半分(奇 数番目か偶数番目)しか送っていない。1080i と表記される。

1秒あたりのデータ量: 1440*1080*24*30/2 == 559,872,000 ビット。

DVD (片面2単層)には、約4.7Gバイト(37.6Gビット)の データを保存することができる。圧縮しないで動画像だけを保存した場合、

37.6 [G bit] / 497,664,000 [bit/s] == 約 67 [s]。

とにかく圧縮したい。

◆動画像データの形式とコンテナ形式

動画像データをファイルに保存する時にも、次の2つを区別する。

動画像、音声データ右、左、日英、字幕、

コンテナと動画像データ

動画像データ形式の例:

コンテナ形式の例:

◆動画圧縮の考え方

◆DVDの品質

DVD は、画質がよいか。

CD (圧縮されていない)と同じように、A/D変換、D/A変換の問題がある。

さらに、MPEG-2 で圧縮する時に、品質を調整できる。 品質を落とせば、長時間録音・録画できる。

平均的な DVD で想定されているデータ量

画像
3.5 M [ビット/秒] (1秒間に 3,500,000,000ビット)
音声
384 K [ビット/秒] (1秒間に 384,000ビット) × 3 言語
字幕
10 K [ビット/秒] (1秒間に 10,000ビット) × 4 言語

音質は、PCM (Linear PCM) なら、CD よりもよくできる。サンプリング・レー トやサンプリング・サイズが高くすることで。

Dolby Digital, MPEG Audio (MP3), DTS (Digian Theater Systems) では、CD よりも悪いこともある。ただし、サラウンド(チャネル数が2以上)は、 CD には規格がなく、DVD を選択するしかない。

◆MPEG Moving Picture Experts Group

MPEG (エムペグ) は、動画像と音声を圧縮するための規格の一つで ある。MPEG という名前は、ISOに設置された専門委員会の名前に由 来する。類似の専門委員会には、静止画像の圧縮圧縮方式を定めた JPEG (Joint Photographic Experts Group) がある。

MPEG-1
ビデオテープ程度の画質で、352ドットx240ドットの画像を毎秒30フレー ムで演奏することができる。Video CD 等で使われている。
MPEG-2
ハイビジョン程度の画質のもので、720ドット×480ドット、または、1280× 720ドットで、毎秒60フレームの演奏が可能である。MPEG-2 は、DVD に使われ ており、2時間のビデオを数Gバイトに圧縮することができる。
MPEG-4
インターネットでの配信にも利用することを目的に開発。 低いビットレートでも使える。
  MPEG-3 という規格はない。

■シェル

コマンド・インタプリタともいう。

◆オペレーティング・システムの中の位置づけ

カーネルを取り囲んでいる殻。

図? アプリケーション、シェル、カーネル、ハードウェアがリング状になっている。

図? シェルの位置づけ(リング)

◆入出力

入力
プログラムが実行する時に受け取るデータ。 (引数、オプションに加えて)ファイルからも受け取れる。
出力
プログラムの実行結果
シェルの機能として、画面を出力をファイルに保存したり、キーボードの代わ りにファイルに保存されたデータを与えたりできる。

◆標準入出力

Unix では、文字端末で動くプログラムは次の3種類をあてにしている。
標準入力 (stdin, standard input, 0番)
普通、キーボードにつながっている。
標準出力 (stdout, standard output, 1番)
普通、画面につながっている。
標準エラー出力 (stderr, standard error output, 2番)
普通、画面につながっている。

キーボード、標準入力、プログラム、標準出力、標準エラー出力、画面

図? プログラムの標準入出力の普通の接続先

◆標準入出力の切り替え(redirection リダイレクション)

シェルは、「記号>」 があると、標準出力を画面から指定されたファ イルに切り替えて、指定されたプログラムを実行する。
$ ls -l > file1 [←]

キーボード、標準入力、プログラム、標準出力、ファイル、標準エラー出力、画面

図? プログラムの標準出力のファイルへの切替え

シェルは、「記号<」 があると、標準入力をキーボードから指定され たファイルに切り替え、指定されたプログラムを実行する。
$ cat < file1 [←]

ファイル、標準入力、プログラム、標準出力、標準エラー出力、画面

図? プログラムの標準入力のファイルへの切替え

シェルは、「記号|」があると、次の動作を行う (パイプ(pipe)機能)。 例:
$ ls -l | head -4 [←]
total 222
drwx------  10 yas  prof   4096  4 26 18:51 Desktop
drwx------   4 yas  prof   4096  4  2 14:14 Documents
drwxr-xr-x@  2 yas  prof   4096  4 26 12:51 Downloads
$ []

ファイル、標準入力、プログラム、標準出力、パイプ、標準エラー出力、画面、パイプ、標準入力、次のプロセス

図? プログラムの標準出力のパイプへの切替え

ファイルを介しても類似の操作は可能だが、後で不要なファイルを消さなけれ ばならない。
$ ls -l > file [←]
$ head -4 < file [←]
total 222
drwx------  10 yas  prof   4096  4 26 18:51 Desktop
drwx------   4 yas  prof   4096  4  2 14:14 Documents
drwxr-xr-x@  2 yas  prof   4096  4 26 12:51 Downloads
$ rm file [←]
$ []
パイプは、3つ以上のプログラム(プロセス)を結びつけることもできる。

◆標準エラーの役割

標準出力の切り替えを行ったとしても、標準エラーは画面に表示される。
$ ls Document > file [←]
ls: Document: No such file or directory
$ cat file [←]
$ []
Document」 は、「Documents」の打ち間違い(sがない)である。 ls コマンドは、エラー・メッセージを標準出力ではなく標準エラー出力に書き 出す。

2>file」をつかうと、標準エラー出力をファイルに保存 することもできる。

$ ls Document > file 2>file2 [←]
$ cat file [←]
$ cat file2 [←]
ls: Document: No such file or directory
$ []
2>&1」をつかうと、標準エラー出力(2)を、標準出力 (1)に混ぜて(&)、ファイルに保存することもできる。
$ ls Document > file 2>&1 [←]
$ cat file [←]
ls: Document: No such file or directory
$ []
2>&1」は、順番が大事。ファイルに混ぜて保存する場合 は、「>file」の後にやること。先にやると、その時点で の標準出力(画面)が指定されてしまう。
$ ls Document 2>&1 > file  [←]
ls: Document: No such file or directory
$ cat file [←]
$ []
2>&1を使うと、エラー・メッセージも含めてパイプに出力 することもできる。この場合は、パイプ|より左に書く。
$ ls Document 2>&1 | head -4 [←]
ls: Document: No such file or directory
$ []

◆ファイルの追記

標準出力では、ファイルを追加することができる。
>file
ファイルがなければ、まず空のファイルを作成する。ファイルがあれば、 file の内容を消して空にする。
>>file
ファイルが存在しても、消さずにその後ろに追加する。

■ファイル名置換

ファイル名の一部だけをキーボードから打ち込み、 残りの部分をシェルに探させる。

補完(completion)では、人間が目で確認するが、置き換えでは人間が確認する ことはない(見つからなければエラーになる)。

例:/usr/bin にある at で始まるファイルをすべて ls コマンドに引き渡したい。1つひとつ打つと疲れる。

$ ls /usr/bin/at /usr/bin/atos /usr/bin/atq /usr/bin/atrm /usr/bin/atsutil [←]
/usr/bin/at             /usr/bin/atq            /usr/bin/atsutil
/usr/bin/atos           /usr/bin/atrm
$ []
次のように、「*」を使うと楽に打てる。
$ ls /usr/bin/at* [←]
/usr/bin/at             /usr/bin/atq            /usr/bin/atsutil
/usr/bin/atos           /usr/bin/atrm
$ []
この例では、シェルが「/usr/bin/at*」を5つのファイル名に置き換え ている。ls が行っているのではない。ls以外のどんなプログラ ムでも有効である。
$ echo /usr/bin/at* [←]
/usr/bin/at /usr/bin/atos /usr/bin/atq /usr/bin/atrm /usr/bin/atsutil
$ file /usr/bin/at* [←]
/usr/bin/at:      setuid Mach-O fat file with 3 architectures
/usr/bin/atos:    Mach-O fat file with 2 architectures
/usr/bin/atq:     setuid Mach-O fat file with 3 architectures
/usr/bin/atrm:    setuid Mach-O fat file with 3 architectures
/usr/bin/atsutil: Mach-O fat file with 3 architectures
$ []
echo は、引数をそのまま表示するコマンド、 file は、ファイルの種類を表示するコマンドである。

◆ファイル名置換でよく使われるパタン

bash では、「*」を含めて、次のようなパタンが使える。
パタン 意味
* 任意の文字列(空でもよい)(.で始まるものを除く)
? 任意の1文字
[str] strのなかの1文字。たとえば [aA] は、a か A とマッチする。「-」があると、ASCIIでその間の文字を意味する。たとえば [0-9](数字)や[a-zA-Z](アルファベット)がよく使われる。
{str1,str2,...} 「,」で区切られたパタン str1, str2, ... を順にファイル名置換した結果を並べたもの
~username ユーザusernameのホーム・ディレクトリの絶対パス。
~/ 自分自身のホーム・ディレクトリ
~ 自分自身のホーム・ディレクトリ

よく使われる形式

*
全てのファイル名。
*.txt
最後が .txt で終わるもの。
*.[ch]
最後が .c、または、.h で終わるもの。
file[0-9]
数字で終わるファイル名
[a-z]*
英小文字で始まるファイル名
[Ww]ork
work または Work
注意:「*」と「*.*」は違う。Windowsで「*.*」と書く 所、Unixでは、「*」で十分なことが多い。

■ファイルとディレクトリの木構造とパス名

◆木構造

木構造(tree structure)というのは、コンピュータ・サイエン ス(情報科学類で学ぶ学問)でよく使われる用語。 階層構造(hierarchical structure)ともいう。

木構造の例を、大学の組織を使って説明する(図?)。

木構造という名前は、本物の木が、一度枝分かれした後は決して交わらないこ とに似ていることによる。ある節から別の節までの道が2通り以上あるは、グ ラフ構造と呼ばれる。

筑波大学、社会・国際学群・・・情報学群、情報科学類・・・

図? 大学組織に見られる木構造

筑波大学、社会・国際学群・・・情報学群、情報科学類・・・(領域的な見方)

図? 大学組織に見られる木構造(領域的な見方)

◆字下げによる木の表現

木構造を字下げで表すことがある。

筑波大学

◆区切り文字入り表記

「情報科学類」という節を、次のように表記する。

筑波大学情報学群情報科学類

コンピュータの中で、文字列(文字の並び)で木構造上の位置を表現する時に は、節が分かりやすくために、はっきりと区切りを入れて表現することがよく 行われる。

筑波大学.情報学群.情報科学類
筑波大学/情報学群/情報科学類
情報科学類.情報学群.筑波大学

区切り文字としては、「.」(点)、「/」(スラッシュ)、「\」(バック スラッシュ)、「¥」(円記号)などがよく使われる。単語を並べる時に、木 の根に近いほうから書く流儀と遠い方から書く流儀がある。

◆木の例

コンピュータでは、次のような場所で木構造が使われている。

コンピュータ以外では、次のような場所で木構造が使われている。

◆くわしくは

総合科目「ネットワーク社会を支える情報技術入門 II」/木構造(2010年10月25日)

http://www.softlab.cs.tsukuba.ac.jp/~yas/gen/it-2010-10-25/

◆ディレクトリの木構造

Unix(MacOSX, Linux含む)やMS Windows では、 ファイルの名前を、基本的には 木構造(tree structure,きこうぞう) という考え方で整理する。 木構造は、 階層構造(hieratical structure) とも呼ばれる。

根が上にある本物の木

図? 本物の木

根、home、etc、user、kernel、yas、中間節、端説、リンクからなる構造

図? ファイルとディレクトリの木

◆ルート・ディレクトリ(the root directory)

本物の木に根にあたるディレクトリ。

ルート・ディレクトリの名前は、「/」 (スラッシュ 1 文字)。

◆パス名

Unix では、ファイルやディレクトリの名前を付ける時に、木構造で考えてそ のファイルやディレクトリにたどり着くための道順を使う。 このような名前をパス名(path name) という。 パス(path)とは「道」の意味。pass ではない。

ルートディレクトリから出発する方法で表記するパス名を、 絶対パス名(absolute path name)

絶対パス名は、ルートディレクトリを表す「/」の後に、 たどった枝の名前を並べ、間に区切りとして「/」をはさむ。

例:「/usr/bin/wc

  1. ルート・ディレクトリから出発する
  2. usr」という枝に進む
  3. bin」という枝に進む
  4. wc」という枝に進む

◆カレントワーキングディレクトリ

ルート・ディレクトリを起点にする方法(絶対パス名)だけでは、作業しにくい。 「現在作業中のディレクトリ」 「カレント・ワーキング・ディレクトリ(the current working directory)」 を起点として、ファイル名を扱う。

カレント・ワーキング・ディレクトリを表示するには、pwd (print working directory) コマンドを使う。

$ pwd [←]
/USA/California
$ []
表示されている「/USA/California」が絶対パス名で表示されたカレント・ワー キング・ディレクトリの名前。

カレント・ワーキング・ディレクトリを変更するには cd (change directory) コマ ンドを使う。

$ cd dirname [←]
「ディレクトリ dirname に行く」とも言う。

$ pwd [←]
/USA/California
$ cd /USA/Florida [←]
$ pwd [←]
/USA/Florida
$ cd /USA/California/San-Francisco [←]
$ pwd [←]
/USA/California/San-Francisco
$ []

カレントワーキングディレクトリは、名前「.」で参照できる。

lsコマンドは引数にディレクトリを指定すると、そのディレクトリの中にある ファイルの一覧を表示するが、引数を与えないと、「.」が与えられたものとし て働く。

$ ls [←]
Los-Angeles  San-Francisco
$ pwd [←]
/USA/California
$ ls /USA/California [←]
Los-Angeles  San-Francisco
$ ls . [←]
Los-Angeles  San-Francisco
$ []

カレントワーキングディレクトリを起点としたパス名を 相対パス名(relative path name)という。 「/USA/California」の時、 「San-Francisco」は「/USA/California/San-Francisco」、 「San-Francisco/China-Town」は「/USA/California/San-Francisco/China-Town」を意味する。

◆ディレクトリの親子関係

親ディレクトリ(parent directory)
あるディレクトリの ルート・ディレクトリからそのディレクトリへの道順で1つだけ 根に近いディレクトリ。 1個上のディレクトリともいう。 「..」で参照可能。
子ディレクトリ(child directory), サブディレクトリ(subdirectory)
あるディレクトリの、1つ根から遠いディレクトリ
隣のディレクトリ、兄弟のディレクトリ
共通の親ディレクトリを持つディレクトリ。 「../ディレクトリ名」で参照可能。

◆ホーム・ディレクトリ(home directory)

個人所有のファイルを保存する時に起点となるディレクトリ。

cd コマンドに引数を与えないと、ホーム・ディレクトリにもどる。

多くのシェル(csh,tcsh,bash,zsh) やEmacsなどでは、 ホームディレクトリを「~」で指定できる (指定できないプログラムもある。)

」は、ASCIIの形。 JIS では、「」となることがある。

他人のホーム・ディレクトリは、「~ユーザ名」で指定できるプログラムがある。 (指定できないもプログラムもある。)

~xxx」と「~/xxx」のように 「~」直後に「/」の有無で意味が違う。

/ がなく、アルファベットで始まる(~xxx)
他のユーザのホーム・ディレクトリ。 xxx はユーザ名として解釈される。
/ がある ~/xxx
自分のホーム・ディレクトリ以下のファイル(またはディレクトリ)。 xxx はファイル名、または、ディレクトリ名として解釈される。
/ がなく、数字で始まる(~1、~2、・・・、など)
bash では、ディレクトリスタックの上から num 番目を参照。 The Unix Super Text 上巻 11.10 ディレクトリスタック 参照

◆lsの-aオプションによる「.」から始まるファイルの表示

ls コマンドは、標準では、カレント・ワーキング・ディレクトリを意 味する「.」や親ディレクトリを意味する「..」を含めて、 「.」から始まるファイル名を表示しない。-a オプションを付 けると、「.」から始まるファイル名も表示する。ホーム・ディレクト リには、「.」で始まるファイルがいくつか存在する。
$ ls [←]
Desktop         Library         Music           Public          WinFiles
Documents       Movies          Pictures        Sites           public_html
$ ls -a [←]
.                       .cshrc~                 Movies
..                      .emacs                  Music
.CFUserTextEncoding     .emacs.d                Pictures
.DS_Store               .login                  Public
.Spotlight-V100         .profile                Sites
.Xauthority             .ssh                    WinFiles
.backupfiles2006        Desktop                 public_html
.bashrc                 Documents
.cshrc                  Library
$ []

◆lsの-dオプションによるディレクトリそのものの表示

ls コマンドは、引数にディレクトリ名が与えられると、ディレクトリ の内容を表示する。
$ ls ~/Music/ [←]
iTunes
$ ls -l ~/Music/ [←]
total 8
drwxr-xr-x  3 yas  prof  4096  4 26  2010 iTunes
$ []
ディレクトリそのものを表示したい時(特に「-l」と組み合わせて日付 等の属性を表示したい時)は、「-d」オプションを付ける。
$ ls -d ~/Music/ [←]
/home/prof/yas/Music/
$ ls -dl ~/Music/ [←]
drwx------  3 yas  prof  4096  4 26  2010 /home/prof/yas/Music/
$ []

◆cp file dir

cp コマンドには、コピー先にディレクトリを指定することができる。
$ cp file1 file2 dir [←]
この場合、dir 以下に、(一番葉の部分だけ)同じ名前のファイルが作られる。 次の操作と概ね同じ動作をする。
$ cp file1 dir/file1  [←]
$ cp file2 dir/file2 [←]

ディレクトリを指定する時には、カレント・ワーキング・ディレクトリ 「.」 や ホーム・ディレクトリ「〜」も使える。

$ cp /etc/group . [←]
$ cp /etc/group ~ [←]

◆属性

ファイルの属性は、ls -l で調べられる。 ディレクトリの場合、一番左側に directory を意味する d がつく。 詳しくは、 ファイルの属性 を復習しなさい。

■実習

実習時間中には、以下の課題をできるだけ多く行いなさい。全部を行う必要はない。

★練習問題(601) ことえりのバックスラッシュ入力

次のようにして、「ことえり」の設定を確認しなさい。そして、キーボードの 「¥」でバックスラッシュが入力されるように設定しなさい。

★練習問題(602) MulleSight.appによるカメラからの静止画像の取り込み

iMac には、iSight という動画像のカメラがついている。 /Applications/coins にある MulleSight.app というプログラムを用い て、動画像カメラを使って静止画像を取り込むことができる。 この結果、「クリップボード」というコピー&ペーストで用いる場所に保存さ れている。

クリップボードにある画像を、「プレビュー.app」で保存する。

★練習問題(603) プレビュー.app(Preview.app)による形式や画素数等の表示

「プレビュー.app(Preview.app)」には、画像の形式(タイプ)や画素数等の情 報を表示する機能がある。

★練習問題(604) プレビュー.app (Preview.app)による画像形式の変換

「プレビュー.app (Preview.app)」で表示している画像を、 「ファイル」メニューから「別名 で保存」を選ぶことで、別の名前で、ファイルを作成て静止画像データを保存 することができる。この時、形式を変更することもできる。 この機能を確認しなさい。

★練習問題(605) プレビュー.app (Preview.app)によるピクセル数の変更

主に画像のサイズを小さくする時に、縦横のピクセル数を変更する方法がある。 「プレビュー.app」には、この機能がある。これを試してみなさい。

「ツール」メニューから「サイズを調整」を選ぶ。

★練習問題(606) プレビュー.app (Preview.app)によるクリッピング

画像の一部だけを切り出すことをクリッピングという。 「プレビュー.app」に は、クリッピングの機能がある。これを利用してみなさい。

カーソルが「+」になっている時に、対角線をドラックする。 点線が表示されたら、丸い部分をドラッグして動かす。

★練習問題(607) isightcaptureによる静止画像ファイルの作成

isightcapture は、シェルのコマンドとして実行できる iSight カメラの画像 を取り込むプログラムである。 次のようにして、実行することで、引数で指定されたファイルに指定された形 式で接続された動画像のカメラ(iSight)から静止画像を取り込み、ファイルに 保存することができる。 (実行する前に MulleSight.app 等、カメラを利用している他のプログラムが 動作していれば、それを終了すること。)
$ isightcapture mypicture.jpg [←]
$ isightcapture -w 320 -h 240 -t png mypicture.png [←]
-w オプションで、幅(width)、 -h オプションで、高さ(hight)、 -t オプションで、画像の形式(type)を指定できる。

★練習問題(608) ImageMagic convert コマンドによる静止画像の形式の変換

convert コマンドを使って静止画像の形式を変換しなさい。たとえば、以下の 例では、ファイルfile1.jpg に含まれているJPEG形式のファイルの内容をPNG形 式へ変換して、新しいファイル file1.png に保存している。
$ ls -l file1.jpg file1.png [←]
ls: file1.png: No such file or directory
-rw-r--r--  1 yas  prof  37780  4 26 11:48 file1.jpg
$ convert file1.jpg  file1.png  [←]
$ ls -l file1.jpg file1.png [←]
-rw-r--r--  1 yas  prof   37780  4 26 11:48 file1.jpg
-rw-r--r--  1 yas  prof  132672  4 26 18:51 file1.png
$ []
変更後、ファイルの内容を表示しなさい。また、 プレビュー.app(Preview.app)のインスペクタ を使って、ファイルの形式や画素数がどのように変化したかを調べなさい。

類似の操作を cp コマンド(ファイルのコピー)や mv コマンド(ファイル名の変 更) でも行ってみなさい。この時には、ls -l によるファイルの大きさが変化しないこと、また、 ファイルの形式や画素数が変化しないことを確認しなさい。

★練習問題(609) ToyViewer.appによる画像と変換

/Applications/coins/ToyViewer.app で画像を表示さなさい。また、形式を変 更して保存しなさい。
$ open /Applications/coins/ToyViewer.app  [←]

★練習問題(610) 標準出力の切り替え

次のように、cal コマンドを実行して、>による標準出力の切り替 えが動作することを確認しなさい。
$ cal 5 2012 [←]
      5月 2012
日  月  火  水  木  金  土 
       1  2  3  4  5
 6  7  8  9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

$ cal 5 2012 > cal-2012-05.txt [←]
$ cat cal-2012-05.txt [←]
      5月 2012
日  月  火  水  木  金  土 
       1  2  3  4  5
 6  7  8  9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

$ []

★練習問題(611) bcコマンド

bc コマンドは、電卓のプログラムである。一般的には、キーボードから数式を 読み込み、結果を画面に表示する。これを動作させてみなさい。

動作例:

$ bc [←]
bc 1.06
Copyright 1991-1994, 1997, 1998, 2000 Free Software Foundation, Inc.
This is free software with ABSOLUTELY NO WARRANTY.
For details type `warranty'. 
10+20[←]
30
^D
$ []
bc コマンドは、プロンプトを表示しないが、ユーザが打ち込んだ数式を行単位 で計算して表示する。終了するには、入力の終わり(end of file) を意味する ^D (Control+D) を押す。コントロール・キーを押しながら、 D キーを押す。

次のような機能が利用できる。

bc に -l オプションを付けると小数が扱える。 詳しくは、man bc を見なさい。

★練習問題(612) 標準入力の切り替え

bc コマンドに対して、ファイルから数式を読み込ませて計算させなさい。 まず、テキスト・エディタ、または、cat 等で数式が含まれたファイルを作成 しなさい。以下は、cat で作成する例である。Emacs を利用して作成してもよ い。
$ cat > expressions [←]
10+20[←]
2^40[←]
^D
$ cat expressions  [←]
10+20
2^40
$ []
次に作成した数式を、 キーボードの代わりにファイルからデータを読み込ませる。
$ bc < expressions [←]
30
1099511627776
$ []
次に、echo コマンドとパイプを使ってみなさい。数式は、ダブルクォーテーショ ンマーク(「"」)で括るとよい。
$ echo "10+20" [←]
10+20
$ echo "10+20" | bc [←]
30
$ echo "2^40" | bc [←]
1099511627776
$ []

★練習問題(613) 追記

以下のような手順で、5月から7月のカレンダ含むファイルを作成しなさい。
$ ls -l cal-2012-567.txt [←]
ls: cal-2012-567.txt: No such file or directory
$ cal 5 2012 >  cal-2012-567.txt [←]
$ cal 6 2012 >> cal-2012-567.txt [←]
$ cal 7 2012 >> cal-2012-567.txt [←]
$ cat cal-2012-567.txt [←]
      5月 2012
日  月  火  水  木  金  土 
       1  2  3  4  5
 6  7  8  9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

      6月 2012
日  月  火  水  木  金  土 
                1  2
 3  4  5  6  7  8  9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

      7月 2012
日  月  火  水  木  金  土 
 1  2  3  4  5  6  7
 8  9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

$ []

★練習問題(614) cd、pwd、lsによるディレクトリの観察

次のディレクトリの内容を cd コマンド、pwdコマンド、および、ls コマンド を使って観察しなさい。
$ cd ディレクトリ名 [←]
$ pwd [←]
$ ls [←]
$ ls -l [←]

★練習問題(615) cdコマンドによるホームディレクトリへの移動

次の方法で、ホームディレクトリへ移動してみなさい。

(1) 引数無しで cd コマンドを実行

$ cd / [←]
$ pwd [←]
$ cd [←]
$ pwd [←]
(2) cd コマンドに、「~」を与える。
$ cd / [←]
$ pwd [←]
$ cd ~ [←]
$ pwd [←]
(3) cd コマンドに、「~ログイン名」を与える。
$ cd / [←]
$ pwd [←]
$ cd ~ログイン名 [←]
$ pwd [←]

★練習問題(616) cdコマンドによるホームディレクトリ以下のディレクトリへの移動

ホーム・ディレクトリの下に、どのようなディレクトリがあるかを ls -l で調 べなさい。
$ ls -l [←]
ディレクトリの場合、左端が「d」になっている。 ( ファイルの属性 参照 ) cd コマンドを使って、カレント・ワーキング・ディレクトリを ホーム・ディレクトリの下のディレクトリに変更しなさ い。以下は、Music に変更した例である。
$ cd [←]
$ pwd [←]
$ ls [←]
$ cd Music [←]
$ pwd [←]
$ ls [←]
Music 以外の2〜3のディレクトリについても、類似の操作を行いな さい。

★練習問題(617) ls -aコマンド

ls コマンド(ls -l)、および、ls -a コマンド(ls -al)で、ホーム・ディレク トリを表示しなさい。その違いを観察しなさい。
$ cd [←]
$ ls [←]
$ ls -a [←]
$ ls -l [←]
$ ls -la [←]

★練習問題(618) ls -lRコマンド

ls に -R (Recursively) オプションを付けると、ディレクトリの何か子供のディ レクトリが含まれていた場合、それの子供も含めて全て表示する。ls -lR のよ うに、-l と合わせて使うことが多い。 この機能を確認しなさい。

★練習問題(619) treeコマンド

tree コマンドを利用して、ファイルを木構造が分かりやすいように表示しなさい。

tree コマンドに -N オプションをつけると、ファイル名に漢字を含むものも表 示できる。

$ tree -N ディレクトリ名 [←]
さらに、nkf を使えば、ファイル名を EUC で表示できる。
$ tree -N ディレクトリ名 | nkf -e [←]
nkf コマンドの代わりに lv コマンドを使う方法もある。 (lv コマンドの終了は、q)
$ tree -N ディレクトリ名 | lv [←]
tree コマンドの次のオプションの意味を ls と比較しなさい。 詳しくは、man tree を見なさい。

★練習問題(620) 長い名前のアプリケーションの実行

/Applications/Calculator.app は、電卓のプログラムである。これをシェルか ら実行するためには、次のように open コマンドに対してパス名を与えればよい。
$ open /Applications/Calculator.app [←]
これを、ファイル名置換機能(*,?)を利用して、長い文字列をキーボードから打 たないで実行しなさい。
$ echo /App*/Cal* [←]
(1つしか表示されない確認する。複数あると問題がある。)
$ open /App*/Cal* [←]
同様に、/Applications にあるプログラムを実行してみなさい。

★練習問題(621) システム環境設定/サウンド

システム環境設定を実行しなさい(Dock、または、open "/Applications/System Preferences.app") 。その中の「サウンド」の項目を 開きなさい。次のことを行いなさい。

★練習問題(622) 音量調整と消音

音量調整と消音を次の方法でも行ってみなさい。

★練習問題(623) headとtail

head は、ファイルの先頭の 10 行(または、指定された行数) を表示する。 tail は、ファイルの末尾の 10行(または、指定された行数)を表示する。
$ head /etc/services  [←]
#
# Network services, Internet style
#
# Note that it is presently the policy of IANA to assign a single well-known
# port number for both TCP and UDP; hence, most entries here have two entries
# even if the protocol doesn't support UDP operations.
#
# The latest IANA port assignments can be gotten from
#
#       http://www.iana.org/assignments/port-numbers
$ tail /etc/services  [←]
isnetserv       48128/tcp   # Image Systems Network Services
isnetserv       48128/udp   # Image Systems Network Services
blp5            48129/tcp   # Bloomberg locator
blp5            48129/udp   # Bloomberg locator
#               48130-48555 Unassigned
com-bardac-dw   48556/udp    # com-bardac-dw
com-bardac-dw   48556/tcp    # com-bardac-dw
#                           Nicholas J Howes 
#               48557-49150 Unassigned 
#               49151       IANA Reserved
$ []
このコマンドの動きを確認しなさい。引数として他のファイル名(自分が作成 したレポート等)を指定して実行してみなさい。

★練習問題(624) パイプ

次のコマンドを実行して、パイプの動作を確認しなさい。

★練習問題(625) lsとパイプ

ls コマンドは、画面に表示する時とパイプに表示する時で表示方法が異なる。 このことを確認しなさい。
$ ls [←]
$ ls | cat [←]
$ ls | lv [←]
パイプに出力する時にも、画面と同様の表示をさせるには、-C オプションを付 ければよい。
$ ls -C [←]
$ ls -C | cat [←]
$ ls -C | lv [←]

★練習問題(626) Gimp

/Applications/ にある Gimp.app というプログラムを 実行してみなさい。
$ open /Applications/Gimp.app [←]
画像の作成、画像形式の変換、簡単な図形や文字の追加などを行いなさい。

★練習問題(627) システム環境設定/ディスプレイ

システム環境設定(Dock、または、open "/Applications/System Preferences.app") の中の「ディスプレイ」の項目を開きなさい。画面の画素 数や色数がどうなっているかを調べなさい。

画素数や色数を変更するとどうなるか調べなさい。 観察が終わったら元の状態に戻しなさい。

★練習問題(628) Grab.app

「グラブ.app(Grab.app)」を使って、画面に表示されている内容の一部を取り 込みなさい。このプログラムは、次の場所にある。 取り込む単位としては、次のようなものがある。 単純に保存すると TIFF 形式になる。PNG 等にするには、クリッフポードにコ ピーして、「プレビユー.app」で開き、保存する。

★練習問題(629) netbpm,xv,ImageMagic display,その他

静止画像の形式を変換するには、次のようなプログラムを利用することもでき る。 The Unix Super Text 下巻 54章 画像処理 参照

★練習問題(630) 大学紹介ビデオ、学群紹介ビデオ

次のページにあるビデオから1つを選び、形式を調べなさい。画素数、1秒当 たりのフレーム数、ファイルの大きさ、ビットレートを調べなさい。

次の3つのアプリケーションが利用できる。

"/Applications/QuickTime Player.app"
MP4 (H.264) を生成てきる。 「ウインドウ」メニューの「ムービー情報(Command+I)」を選ぶ
open "/Applications/QuickTime Player.app"
/Applications/coins/VLC.app
MP4 と WMA 形式の両方を再生できる。
open /Applications/coins/VLC.appdnl
"/Applications/coins/Windows Media Player.app"
WMA (Windows Media Player) 形式を再生できる。 「ファイル」メニューの「情報を見る(Command+I)」を選ぶ。
open "/Applications/coins/Windows Media Player.app"
Web ブラウザで URL を調べ、クリップボードにコピーし、アプリケーションで その URL を開く。環境により、Firefox の中で直接表示できるものもある。

★練習問題(631) sayコマンドで音声合成

say は、与えられた英文テキストから音声を合成するコマンドである。標準で は、そのままコンピュータのスピーカに出力する。
$ say "hello,world"       一行分ならそのまま引数に渡す [←]
$ []
$ say [←]
hello,
world
^D             複数行なら、引数なしで実行し最後に Control-D
$ []
次のように -o オプションを指定すると、スピーカではなくファイルに出力す る。
$ say "hello,world" -o hello.aiff [←]
$ []
この機能を利用して、音声データを含むファイルを作成しなさい。

★練習問題(632) saykanaコマンドで音声合成

saykana コマンドは、かな表記の日本語から音声を合成できる say コマンドである。 このコマンドを使って、音声データを含むファイルを作成しなさい。 ただし、文字コードとして、iTerm 標準のEUC ではなく、UTF-8 を用いる。 従って、coins の環境で利用するには、次のように nkf と組み合わせて使う。
$ emacs で平仮名の含むファイルを作る。 [←]
$ nkf -w filename.txt | saykana  [←]
$ nkf -w filename.txt | saykana -o file.aiff [←]
くわしくは、 Webページ を参照しなさい。

★練習問題(633) Audacity.appによるエンコーディング形式の変換

/Applications/coins/Audacity.app を使って、音声データの形式、サンプリン グレート、サンプリング・サイズを観察しなさい。またそれらを変更してみな さい。

★練習問題(634) Switch.appによるエンコーディング形式の変換

/Applications/coins/Switch.app を使って、音声データの形式を変更しなさい。

★練習問題(635) QuickTime Player.appでの録音

アプリケーション(/Applications)にある「"QuickTime Player.app"」 Player.appを使うと、iMac に内蔵されているマイクを使って音声データを取り 込み、それをファイルへ保存することができる。

★練習問題(636) QuickTime Player.appでの録画

アプリケーション(/Applications)にあるQuickTime Player.appを使うと、 iMac に内蔵されている動画像カメラ(iSight)とマイクを使って動画像(音声ふ くむ)データを取り込み、それをファイルへ保存することができる。

方法は、音声データの録音方法とよく似ている。プログラムを実行した後に、 「ファイル」メニューから「新規オーディオ録音」ではなく「新規ムービー録 画」を選ぶ。

★練習問題(637) VLC media player

VLC media player を使ってみなさい。
$ open  open /Applications/coins/VLC.app [←]
付属のドキュメントを読みなさい。
$ open /Applications/coins/VLC.app/Contents/Resources/README.MacOSX.rtf  [←]
演奏できるコーデックとコンテナ・フォーマットを調べなさい。

VLC media player は、保持しているデータを他のコンピュータで実行している VLC media player に配信する機能がある。このことを確認しなさい。

★練習問題(638) soxコマンドとsoxi

sox は、音声データの形式を変更するコマンドである。音量を調整したり、エ コーをかけることもできる。このコマンドを用いてファイルに含まれている音 声データの形式を変更してみなさい。 詳しくは、man sox を見なさい。

soxi コマンドは、音声データが含まれているファイルの中のチャネル数やサン プリングレートを表示するコマンドである。このコマンドを利用してみなさい。 詳しくは、man soxi を見なさい。

★練習問題(639) ffmpeg

ffmpeg は、ビデオの形式を変換したりビットレートを変換するコマンドである。 このコマンドを利用してみなさい。 詳しくは、man ffmpeg を見なさい。

★練習問題(640) Font Book.app

アプリケーション(/Applications)にある 「Font Book.app」を利用すると、 どのようなフォントがいるか調べることができる。 この機能を確認しなさい。

■課題6 音声、静止画像、動画像の符号化、シェル、ディレクトリ

次の内容を含む「テキスト」ファイルを作成し、 レポート提出ページから提出しなさい。 今日の課題では、実習時間中に TA に結果を示し、確認番号を受け取りなさい。 レポートには、その確認番号、TA氏名、確認日時を記述しなさい。

(1) 静止画像について次の操作を行いなさい。 次のいずれかの方法で、静止画像を含むファイルを作成しなさい。

TAにファイルを示し、確認番号を受け取りなさい。 レポートには、どのような方法で作成したかを、書きなさい。

(2) (1) で作成した画像について、次のことを調べなさい。

レポートには、調べた方法も含めて記述しなさい。

(3) (1) で作成した画像の形式を以下で示された形式(元の形式を除く)に変 換しなさい。レポートには、変換方法を記述しなさい。(注意:ファイル名の 拡張子を変えるのではなく、形式変換機能をもつプログラムでファイルの内容 を変更する。)

これらの画像ファイルを ls -l で表示しなさい。その結果(バイト数) を、端 末プログラムのコピー&ペースト機能を使って以下に張りなさい。

(4) 「cd コマンド」、および、シェルのファイル名置換機能を使って /usr/bin にある次のようなファイルをすべて表示しなさい。結果は、ls また は echo コマンドで表示し、コマンドラインを含めてその結果をレポートに含 めなさい。ただし、この課題では、ls、または、echo コマンドには、必ず相対 パス名を指定しなさい。

次のように回答しなさい。
$ cd /usr/bin/ [←]
$ ls ファイル名置換機能を使った表現 [←]
(ここに、ファイル名が q で終わるものが表示される)
$ ls ファイル名置換機能を使った表現 [←]
(ここに、ファイル名のどこかに文字 q を含むものが表示される)
$ []

(5) 次のファイル名(ディレクトリ名も含めたすべて)を、ファイル名置換を使っ てなるべく短く表現しなさい。(cd コマンドは使っても使わなくてもよい。 cd コマンドを使った時には、その結果もレポートに含めること。)

短く表現したものを、ls -ld の引数に与えて表示さなさい。 (最短を目指さなくてよい。全部打つより短くなっていれば良い。)
$ ls -ld ファイル名置換を使った短い表現 [←]
drwxr-xr-x@ 4 mac-admin  admin  136  3 24 20:26 /Applications/Firefox.app/
$ ls -ld ファイル名置換を使った短い表現 [←]
drwxr-xr-x@ 3 mac-admin  admin  102  3 24 20:27 /Applications/Thunderbird.app/
$ ls -ld ファイル名置換を使った短い表現 [←]
-rwxr-xr-x  1 root  admin  31  4 22  2010 /usr/local3/coins/macosx/bin/firefox
$ []

(6) The Unix Super Text の次の部分を読みなさい。

そして、項目についてついて調べて、簡単に説明しなさい。 (7) The Unix Super Text の次の部分を読みなさい。 そして、項目についてついて調べて、簡単に説明しなさい。

(8) [加点] The Unix Super Text 上巻「11.10節 ディレクトリスタック」を読 み、ディレクトリ・スタックの機能を利用しなさい。そのことを採点者がわか るように、端末の表示(コマンドの実行結果)を示しなさい。ただし、11.10節で は、シェルとして tcsh が使われている。coins の標準のシェルは、bash であ る。bash と tcsh では、dirs, pushd, popd コマンドの使い方は共通であるが、 ディレクトリスタックの上から num 番目を参照する機能が異なる。tcsh で =num の所、bash では~num になる。

(9) [加点] 次の課題(9a)から(9b)までで 1 つ以上選んで行いなさい。 (複数行っても採点はするが、ポイントは +1 だけ行う。)

(9a) [加点] 音声について次の操作を行いなさい。

次のいずれかの方法で音声データを作成し、ホーム・ディレクトリ、または、 その子供のディレクトリにファイルに保存(書き出し)しなさい。その方法をレ ポートに記述しなさい。

拡張子、ファイルの大きさ、音声データの標本化レート、量子化数、チャネル 数を調べなさい。形式、音声データの標本化レート、量子化数、チャネル数を 変化させ書き出した時に、ファイルの大きさや拡張子がどうなるか調べなさい。 必ず複数のデータを作成して比較すること。

(9b) [加点] 動画像について次の操作を行いなさい。

次のいずれかの方法で動画像データを作成し、ホーム・ディレクトリ、または、 その子供のディレクトリにファイルに保存(書き出し)しなさい。その方法をレ ポートに記述しなさい。

拡張子、ファイルの大きさ、データレートを調べなさい。形式、画像の大きさ (横、縦のピクセル数)、音声のパラメタなどを変化させ書き出した時に、 ファイルの大きさや拡張子がどうなるか調べなさい。 必ず複数のデータを作成して比較すること。


Last updated: 2012/05/08 16:37:18
Yasushi Shinjo / <yas@cs.tsukuba.ac.jp>