電子メール

					2012年04月27日
情報科学類 コンピュータリテラシ

                                       筑波大学 システム情報系 情報工学域
                                       新城 靖
                                       <yas@cs.tsukuba.ac.jp>

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http://www.coins.tsukuba.ac.jp/~yas/coins/literacy-2012/2012-04-27
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■連絡事項

■補足

■電子メール

電子メール は、電話や(普通の)手紙と同じように、個人と個人の間で情報を交換するた めの仕組み。

電子メールを読み書きするプログラムは、 メール・リーダ(mail reader) または、 メーラ(mailer) という。 「リーダ(reader)」といっても、書くこともできる。

種類

■電子メールで重要な考え方と操作

電子メールを使う上で重要な考え方

  1. 電子メールの形式、ヘッダ、本文
  2. 電子メール・アドレス
  3. メール・ボックス(フォルダ)
電子メールの基本的な操作
  1. メールを読む
  2. (新たに)メールを出す
  3. 受け取ったメールに返事を出す(reply)
  4. 受け取ったメールを削除する、整理する
  5. 環境を整える、カスタマイズする

◆電子メールの形式

1通の電子メールは、次のような形式を持っているテキスト(文字データ)。

From: Shiro Yagi <shiro@is.tsukuba.ac.jp>
To: kuro@cc.tsukuba.ac.jp
cc: shiro@is.tsukuba.ac.jp
Subject: Visit my WWW page
Date: Mon, 19 Jan 2010 23:42:25 +0900
Message-Id: <201001231442.k0NEgPTw003900@maple.is.tsukuba.ac.jp>

こんにちは。白やぎです。

WWWページを作ったので見てください。URL は、
	http://www.is.tsukuba.ac.jp/~shiro/
です。

♪♪ 白やぎ
♪♪ http://www.is.tsukuba.ac.jp/~shiro/

多くのメール・リーダでは、1通の電子メールのことを メッセージ(message) と呼んでいる。

電子メールのテキストは、大きくヘッダと本文に分かれる。

ヘッダ(header、頭)
電子メールの先頭から最初の空行まで
本文(body)
空行以降
重要なヘッダ From: には、差出人の、 To:Cc: には、受取人の電子メール・アドレスが置かれる。

電子メール・アドレス(e-mail address) とは、電子メールを届ける時に配送プログラムが使う記号。

現在よく使われている形式:

user@domain
@」より前の部分は、個人を特定するための情報。 「@」より後ろの部分は、 電子メールをどのコンピュータに届ければいいかを示している。 ドメイン形式のホスト名が使われる。

To:: とCc:: は、受取人の電子メール・アドレスが置かれる。どち らにアドレスを書いても同じように届けらるが、To: は、本来の宛先を 書き、Cc: にはついでに連絡したい宛先を書く習慣になっている。Cc は、 Carbon Copy に由来する。

Date: は、電子メールが出された日付と時刻。

Subject: は、題名(題目、表題、件名)。

「件名」という日本語は存在しなかった。

電子メールの本文は、普通のテキストだが、1行の長さがだいたい漢字で30 文字〜35文字、英語のアルファベットで60文字〜70文字になるように、 折り返されている(改行が入っている)。このようにしておくと、引用という 機能を利用する時に便利。

電子メールで 引用 とは、返事などを書いたときに何に対する返事か分かりやすいように他の人の 書いた電子メールの一部を自分の電子メールに含めること。

本文の末尾には、 署名シグニチャ(signature) ) が現われることが多い(付けなくてよい)。

署名とは、普通の手紙の末尾に署名をするのと同じように、末 尾に自分の名前や自分独自の記号を書く。署名は、簡潔で短いものが好まれて いる。1つの目安としては、「4行以内」。

電子メールのメッセージの型式は、RFC822 (その改訂版のRFC2822) で定めら れている。

◆2種類のメール・ボックス

電子メールは、「 メール・ボックス 」と呼ばれている ファイル(またはディレクトリ) に保存される。メール・ボックスは、プログラムによっては、 フォルダ(folder)トレイ(tray) と呼ばれることもある。 メール・ボックスには、次の2種類がある。

配送プログラム用メール・ボックス
電子メールを配送するプログラムが、イ ンターネットから受け取ったメールを個人ごとに分類して保存しておく場所。 「受信トレイ」や メールドロップ(mail drop)ということもある。 多くのシステムでは、 /var/spool/mail/user/var/mail/userという名前のファイル。 (coins では、 各自のホーム・ディレクトリの下の ~/Maildir/ の下。 )
ユーザ用メール・ボックス
メール・リーダが電子メールを保存しておく場所。

メール・リーダが表示するのは、多くの場合、後者のメール・ボックスである。 新しく届いたメールを読む時には、前者から後者へメールを移す必要がある 場合がある。 この作業を、 「 (電子メールを)取り込む(incorporate) 」とう。

配送プログラム用メール・ボックスは、1つのサーバで1人で1つだけだが、 ユーザ用メール・ボックスは、必要に応じていくつか作ることができる。

◆SMTPによる電子メールの転送と発信

電子メールを転送する時には、SMTP (Simple Mail Transfer Protocol)という という通信の仕組み(TCP/IP 上に定義された通信プロトコル、詳しくは、後日) が使われる。

メール・リーダで電子メールを発信する時にも、SMTP という仕組みが使われることがある。

◆POPやIMAP4経由のメール・ボックスのアクセス

電子メールをため込んでいるコンピュータ(サーバ)にあるメールを、手元の コンピュータにコピーするには、 POP (Post Office Protocol)や、 IMAP(Internet Message Access Protocol) という通信の仕組み(TCP/IP 上に定義された通信プロトコル、詳しくは、後日)を使うことがある。

POP では、配送プログラム用メール・ボックスを読み書きする機能がある。 IMAP では、それに加えて、複数のユーザ用メール・ボックスを扱えるように なっている。

図? SMTPによる発信、転送、POP3、IMAP4によるメール・ボックスのアクセス

SMTPによるメールの送信・転送、POP、IMAPによるメール・ボックスのアクセス

◆通信路の暗号化、パスワードの保護

◆メール・リーダの操作

電子メールを出すには、基本的には、 電子メールの形式 で説明したようなテキストを作り、 電子メールを配送するプログラムに渡す。 本文は、自分の好みのテキスト・エディタ(テキストファイルを編集するプロ グラム)が使えることもある。

電子メールで仕事をしていると、単にメールを出すだけではなく、受け取った 電子メールに対して返事を出すことが多い。そのため、メール・リー ダでは、返事を出す作業を簡単に行うことができるようになっている。返事 を出すことを リプライ するともいう。返事を出す時には、To: が自動的に作られるだけで なく、Subject: も同じもの、あるいは、にRe: が付い たものが自動的に付けられる。

電子メールで返事を出す時には、相手のメールの内容を引用することがある。 この時、相手が書いた部分と自分が書いた部分を区別するために、相手 が書いた部分の行の先頭には、引用のための記号を付ける習慣がある。こ の記号には、「>」や 「>>」、 タブがよく使われる。

受け取ったメールを、別の人に送ることを、 転送(forward) という。 多くのメール・リーダでは、手作業で転送できるようになっている。

複数のメール・アドレスがある人は、あるアドレスに届いた「全て」のメールを、 別のメール・アドレスの所に自動的に転送できる場合がある。 については、

メールの数が増えてきたら

多くのメール・リーダは、長いアドレスや複数のアドレスを短い 別名(alias) で参照できるようになっている。 別名には、個人で付けるものの他に、システム全体で付けるものがある。

◆電子メールで名乗りと挨拶

電子メールは、海外に出すこともあるので、From: は、英語にすることが多い。 日本語の名前をメールの先頭に書く習慣がある。
From: Shiro Yagi <shiro@is.tsukuba.ac.jp>
To: s1012345@coins.tsukuba.ac.jp
Subject: Re: [coins-computer-literacy-a] Assignment-3, e-mail reply (2010012345)
Date: Fri, 23 Apr 2010 16:15:25 +0900
Message-Id: <201004251615.k0NEgPTw003900@azalea20.coins.tsukuba.ac.jp>

コンピュータ・リテラシTAの○○さん

こんにちは。コンピュータ・リテラシの授業を受けている白やぎです。
4月24日に出された課題の電子メールを提出します。

> この行と次の行だけを引用してください。返信には、このメールを
> 書いた日付と時刻を入れてください。

2010年4月23日 15:10です。

よろしくお願いします。
				白やぎ

■電子メールに関する知っておきたいこと

■実習

実習時間中には、以下の課題をできるだけ多く行いなさい。全部を行う必要はない。

★練習問題(501) Emacsの復習

Emacs で、ファイルを作成する方法を復習しなさい。

方法1: 引数にファイル名を与える方法。

方法2: 実行後にファイル名を与える方法

★練習問題(502) Thunderbirdの設定(1)

Thunderbird の icon

次の資料を参考にして, Thunderbird で電子メールを 読み書きできるように設定しなさい。

★練習問題(503) Thunderbirdによるメールの受信

「Thunderbirdの設定(1)」が終わった、「受信トレイ」の内容を表示しなさい。 次のようなメールが届いていることを確認しなさい。 Thunderbirdを一度終了しなさい。再び実行して、「受信トレイ」が表示しなさい。

★練習問題(504) Thunderbirdの設定(2)

電子メールは、(HTMLではなく)テキストで送信すべきである。受信する人は、 HTMLや画像を表示できないかもしれない。以下の資料を参考にして、HTML では なくて、テキストで送信できるようにしなさい。

★練習問題(505) Thunderbirdで新たにメールを出す

Thunderbirdで新たに電子メールを出す練習をしなさい。

★練習問題(506) 電子メールのテキストの観察

電子メールの形式を確認しなさい。
  1. Thunderbird で受信したメッセージを選択して内容を表示する。
  2. 「表示」メニューから「メッセージのソース」を選ぶ。
  3. あたらなウィンドウが表示される。その中にある From:, Date:, Subject: を観察する。
その他に、次のようにファイルに保存して観察する方法がある。
  1. Thunderbird で受信したメッセージを選択して内容を表示する。
  2. 「ファイル」メニューから「別名で保存(ファイル)」を 選ぶ。すると、新たなウィンドウが表示される。
  3. 左側の「よく使う項目」で自分のログイ ン名(s1212345のようなもの、家のアイコン)を選ぶ。
  4. 名前: の横の四角に、「mail1.eml」のように、末尾が「.eml」のような 名前を打ち込む。「mail1.eml」ではなくて他の名前でも良い。
  5. 「保存」ボタンを押す。
  6. iTerm の中でシェルのプロンプトに対して、次のようなコマンドを打つ。 プロンプト($)は、打たなくてもよい。cat の後ろには空白が必要である。 mail1.eml は、保存した時と同じ名前のものを使う。
    $ cat mail1.eml [←]
    
    cat コマンドの代わりに lv コマンドや emacs を使う方法もある。
    $ lv mail1.eml [←]
    $ emacs mail1.eml [←]
    

★練習問題(507) Thunderbirdでメールに対して返信を行う(返事を出す、リプライする)

自分自身で送信したメールや隣の人のメールに対して、 Thunderbird の返信機能を使って返事を出しなさい。

★練習問題(508) Thunderbirdの特殊なフォルダ

Thunderbird次のような特殊なフォルダがある。これを確認しなさい。
IMAPサーバ上の名前 Thunderbirdの表示
Sent 送信済みトレイ
Drafts 下書き
Trash ゴミ箱

★練習問題(509) Thunderbirdでその他の操作

Thunderbirdでメールを読む、新たに (新たに)メールを出す、 以外の次のような操作をしなさい。

★練習問題(510) SquirrelMail

SquirrelMail でメールを読み書きしてみなさい。 Thunderbird と同じメールが表示されることを確認しなさい。SquirrelMail の フォルダとThunderbird のフォルダとの対応関係を調べなさい。

★練習問題(511) SquirrelMailの設定

次の手順で、発信するメールの From: に名前(人間用の文字列)を入れなさい。 学籍番号のアドレスでは、受け取った人が分かりにくい。メールは、全世界に 送ることもあるので、英語で記述するとよい。ただし、英語の文字としては、 ASCIIを使うこと。例: Yasushi Shinjo。ASCIIを使うには、ことえりを使わな い(仮名漢字変換を使わない)で直接キーボードから打ち込む。

  1. https://www.coins.tsukuba.ac.jp/webmail/ にログインする。
  2. 一番の横に並んでいるメニューの並びから「オプション」の項目を選ぶ。
  3. 「個人情報」を選ぶ。
  4. 「フルネーム」の所に、自分の名前(英語、ASCII)を入れる。
  5. 最後に「登録」ボタンを押す。

★練習問題(512) Mew/Emacs

Mew を使ってメールを読み書きしなさい。 手引き 3.4節 参照

Thunderbird と同じメールが表示されることを確認しなさい。Mew の % から始 まるフォルダと Thunderbird のフォルダとの対応関係を調べなさい。

★練習問題(513) MacOSX Mail.app

MacOSX 付属の Mail.app を使ってメールを読み書きしてみなさい。 実行したら、以下を目標に、設定する。

図? MacOSX Mail.app IMAP+SSL アカウントの設定。

図? MacOSX Mail.app IMAP+SSL アカウントの設定。(クリックで拡大)

★練習問題(514) IMAP、メールボックスの共有

複数のメール・リーダで IMAP によりメールが読めるように設定しなさい。そ して、複数のメール・リーダで同一のメールボックスが表示されることを確認 しなさい。

★練習問題(515) UCB Mail

The Unix Super Text 15.2節 参照。 UCB Mail (mail コマンド) を使ってメールを送信しなさい。

なお、coins の環境では、UCB Mail コマンドでメールを受信(受け取ったメー ルの表示)をすることはできない。

■課題5 電子メール

次の内容を含む「テキスト」ファイルを作成し、 レポート提出ページから提出しなさい。 今日の課題では、実習時間中に TA に結果を示し、確認番号を受け取りなさい。 レポートには、その確認番号、TA氏名、確認日時を記述しなさい。 確認番号は不要です。

(1) TA からのメールを読みなさい。それに対して、Thunderbird の返信機能を使っ て返事を出しなさい。

名乗りと挨拶 を含めることを勧める。電子メー ルを受け取る人は、人間である。単に宿題を受け付けるための箱ではない。

TAからの返事を、From:, Date:, Subject: が分かる形で表示し、それをレポー トに含めなさい。それには、 練習問題(506) 電子メールのテキストの観察をすると良い。

レポートには、電子メールとしての形状を崩さない形で、かつ、不要な部分は 削除して読みやすい形にしなさい。過度の編集はさけること。たとえば、不要 部分の行単位の削除はよいが、内容の編集、行の結合、改行の挿入等は行って はならない。

(2) The Unix Super Text の次の部分を読みなさい。

そして、項目についてついて調べて、簡単に説明しなさい。

(3) The Unix Super Text の次の部分を読みなさい。

そして、項目についてついて調べて、簡単に説明しなさい。

(4) [加点] 練習問題(510 ) 、および 練習問題(511 ) を実行しなさい。(Thunderbird 等で)自分自身にメールを書き、SquirrelMail を使ってメールをそれを読み、 SquirrelMail の「返信機能」を使って、自分自身に返信を書きなさい。最後の 返信のメールを、次のヘッダが含まれる形で表示し、それをレポートに含めな さい。

(5) [加点] Emacs の中から Mew 実行し、メールを読み書きしなさい。問題 (4) と同じような操作を Mew で行い、同様の内容をレポートに含めなさい。


Last updated: 2012/04/27 11:20:11
Yasushi Shinjo / <yas@cs.tsukuba.ac.jp>