2009年06月16日 情報科学類 コンピュータリテラシ 筑波大学 システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻, 電子・情報工学系 新城 靖 <yas@is.tsukuba.ac.jp>
このページは、次の URL にあります。
http://www.coins.tsukuba.ac.jp/~yas/coins/literacy-2009/2009-06-16
あるいは、次のページから手繰っていくこともできます。
http://www.coins.tsukuba.ac.jp/~yas/
http://www.cs.tsukuba.ac.jp/~yas/
図? コンパイラ方式でのプログラムの実行
図? インタプリタ方式でのプログラムの実行
その中間的な方法もある。図? コンパイラとインタプリタの併用によるプログラムの実行
http://www.coins.tsukuba.ac.jp/syllabus/GB10714_GB10724.html
http://www.coins.tsukuba.ac.jp/syllabus/GB10734_GB10744.html
http://www.coins.tsukuba.ac.jp/syllabus/GB11911_GB11921.html
http://www.coins.tsukuba.ac.jp/syllabus/GB11916_GB11926.html
コンピュータ・リテラシでは、夏休みに予習するために、C言語で書いたプロ グラムをどうやって学類のコンピュータで動作させるかを説明する。
The Unix Super Text 第57章 Cの使いかた 参照。
% mkdir ディレクトリ
% cd ディレクトリ
% cp ~yas/public_html/coins/literacy-2009/2009-06-16/ex/hello.c .
% ls
hello.c
% cat hello.c
#include <stdio.h>
#define NAME "(name)"
int main()
{
printf("Hello, %s\n", NAME );
}
% cc hello.c
% ls
a.out hello.c
% ./a.out
Hello, (name)
%
a.out
という
ファイルに保存される。
% cat error.c
#include <stdio.h>
#define NAME "(name)"
int main()
{
printf("Hello, %s\n", NAME )
}
% cc error.c
error.c: In function 'main':
error.c:8: error: parse error before '}' token
%
この場合は、cc は、実行ファイルを作らない。
ファイル名と行番号をたよりに、プログラムを修正して、
エラーが出なくなるまで cc を実行する。
コンパイル・エラーがでなくなっても、プログラムは完成ではない。コンパイ ラにはわからない(分かり得ない) 間違いは残っている可能性がある。
% ls
a.out hello.c
% rm a.out
% ls
hello.c
% cc -o hello hello.c
% ls
hello hello.c
% ./hello
Hello, (name)
%
#include
で読み込まれる。
stdio.h
などのヘッダ・ファイルは、/usr/include/
以下に
ある。他の場所にある時には、cc コマンドに -I
オプションで
指定する。
libc
(library C)という
ライブラリにある関数を標準で自動的にリンクする。
libc などよくつかわれるライブラリは、
/usr/lib
にある。
libc 以外のライブラリを使う時には、cc に -l オプションを付ける。
/usr/lib
以外の場所にあるライブラリを使うには、-L オプションで
ディレクトリのパス名を与える。
例:f1.c, f2.c, f3.c という3つのファイルに含まれているC言語のプログラ ムをすべてコンパイルして、リンクし、完成した実行可能なプログラムを prog という名前のファイルに保存する。
% ls f1.c f2.c f3.c
f1.c f2.c f3.c
% cc -o prog f1.c f2.c f3.c
%
毎回、全部のファイルをコンパイルすると、遅い。
ソース・ファイルを変更したプログラムだけをコンパイルしたい。
% ls f*.c
f1.c f2.c f3.c
% ls f1.*
f1.c
% cc -c f1.c
% ls f1.*
f1.c f1.o
% ls f2.*
f2.c
% cc -c f2.c
% ls f2.*
f2.c f2.o
% ls f3.*
f3.c
% cc -c f3.c
% ls f3.*
f3.c f3.o
% ls f*.c
f1.c f2.c f3.c
% ls f*.o
f1.o f2.o f3.o
% cc -o prog f1.o f2.o f3.o
% ./prog
This is main().
This is f1().
This is f2().
This is f3().
%
(分割)コンパイルを楽にするためのプログラム。 どのようなファイルをコンパイルすればよいかの 定義を与えると、ファイルの日付を比較して、 自動的にコンパイルとリンクを行う。
% ls *.c
f1.c f2.c f3.c hello.c
% ls *.o
tcsh: ls: No match.
% cat Makefile
all: prog
objs = f1.o f2.o f3.o
prog: $(objs)
$(CC) -o prog $(objs)
% make
cc -c -o f1.o f1.c
cc -c -o f2.o f2.c
cc -c -o f3.o f3.c
cc -o prog f1.o f2.o f3.o
% ls *.c *.o prog
f1.c f1.o f2.c f2.o f3.c f3.o hello.c prog
%
all: prog objs = f1.o f2.o f3.o prog: $(objs) $(CC) -o prog $(objs)
C言語と比べて近代的な機能、豊富なライブラリがある。 「オブジェクト指向」は、難しい。
コンパイラとインタプリタの2つを使って動作する。
% mkdir ディレクトリ
% cd ディレクトリ
% ls
(何も表示されない。mkdir 直後は、ディレクトリは空。)
% cp ~yas/public_html/coins/literacy-2009/2009-06-16/ex/Hello.java .
% ls
Hello.java
% cat Hello.java
class Hello
{
static String Name = "(name)";
public static void main(String args[])
{
System.out.println("Hello, "+Name);
}
}
% javac Hello.java
% ls
Hello.class Hello.java
% java Hello
Hello, (name)
%
javac コマンドは、拡張子 .java
のソース・プログラムを
コンパイルし、結果を
拡張子 .class
のファイルに保存する。
javac コマンドに複数のソース・ファイルを与えてもよい。
それぞれの .java
に対して .class
を生成する。
java コマンドは、拡張子 .class
の、拡張子を取り除いたファイル名
を与える。java name.class
と、.class
まで与える
とエラーになる。
java コマンドに与える .class
ファイルには、特定の形式の main 関
数 (main メソッド) が含まれている必要がある。
学類コンピューティング環境では、Dock に Eclipse を実行すためのアイ コンがある。
ホーム・ディレクトリ、 Desktop や Documents(書類)に、多くのファイルを放置することはよくない。 ディレクトリを作成し、整理すべきである。
% mkdir dirname
この結果、dirname
という名前のディレクトリが作らる。
% mv oldname newname
この結果、ファイルoldfileのファイル名をnewnameに変更される。
ここで、newname のファイルが存在した場合、元の newname は消されてしまう。
% mkdir ~/dir1
% mv oldname ~/dir1/newname
この結果、カレント・ワーキング・ディレクトリにある
ファイルoldfileのファイル名は、
~/dir1/newnameに変更される。
次のように、ディレクトリだけを指定することもできる。
% mv oldname ~/dir1/
この場合、次のものと同じになる。
% mv oldname ~/dir1/oldname
また、変更先にディレクトリを指定する mv では、ファイル名は1個でなくて
も複数でもよい。
% mv file1 file2 file3 ~/dir1
ファイルを消すには、rm (remove) コマンドを用いる。
% rm file1
このファイル file1 が削除される。
rm コマンドで消してしまったファイルは、一般的には2度と戻らない。 消す前に、本当に不要かどうかを確認すること。
alias 等て、rm を rm -i に変えることは、一般的には勧められない。
「rm -i y」という操作が、一連の操作として身に付いてしまうので。
rm コマンドで削除したファイルでも、ディスク上にデータが普通にはアクセス できない形で残されていることが一般的である。場合によっては、そこから機 密情報が漏れることがある。
完全に消し去るには、次のような方法を持ちいる。
文字 | 単語 | 意味 |
r | read | 読込み可 |
w | write | 書込み可 |
x | execute | ファイルの場合、プログラムと として実行できる。 ディレクトリについて、それ以下を検索したり、cd できる。 |
~/public_html/
のモードについて述べた。
% ls -ld ~ ~/public_html
drwxr-xr-x 118 yas prof 4012 Jun 15 13:17 /home1/prof/yas
drwxr-xr-x 63 yas prof 2142 May 14 16:18 /home1/prof/yas/public_html
%
大量の情報を保存するには、木構造を使うしかない。 しかし、木構造だけではうまくいかない。
図13 こうもりの分類(1)
図14 こうもりの分類(2)
木構造は、ファイルを整理するのに非常に強力な構造である。しかし、それだ けでは、ファイルを整理するには不都合が起きる。それを解消するために、次 のような名前で呼ばれる仕組みが用意されている。
注意:csh の alias とファイル名の alias (Macintosh) は、まったくの別物。
図15 こうもりの分類(別名つき)
中間管理職の意味==横方向に情報が流れない。
木構造でしか情報が流れないような組織は、潰れる。木構造を補う意味で、会 社組織では、裏チャネルや同期会が重要となる。
木構造を補う方法として、 ハイパーテキスト を使うことがある。
例:cc と gcc-4.0
% ls -l /usr/bin/cc
lrwxr-xr-x 1 root wheel 7 Jun 6 17:31 /usr/bin/cc -> gcc-4.0
%
シンボリック・リンクは、ls -l で見ると、右端に l (小文字の L) と表示さ
れる。
ファイル /usr/bin/cc を参照すると、gcc-4.0 (/usr/binにある)が使われる。
シンボリック・リンクを作成するには、ln -s コマンドを使う。
% ln -s oldname newname
この結果、newname
でファイルを参照すると、
oldname
というファイルが使われる。(このファイルは、
newname
と oldname
の2つの名前を持つ。)
MacOSX の Finder は、次のような役割を持つ。
デスクトップは、MacOSX では、ホーム・ディレクトリの下の
「~/Desktop
」という名前のディレクトリに対応している。
注意事項
シンボリック・リンクとエイリアスの違い
% javac
(Shift_JISのエラー・メッセージ)
次のように打つと、EUC でエラー・メッセージが表示される。
% javac -J-Dfile.encoding=eucJP
(EUCのエラー・メッセージ)
また、Java言語のソース・プログラムの文字コードとして EUC を利用するには、
次のようにする。
% javac -encoding eucJP file.java
以上のことを確認しなさい。
そのプログラムが、一般のプログラム(機械語)かシェル・スクリプトかは、 file コマンドを使うと調べることができる。
% file /usr/bin/apropos
/usr/bin/apropos: Bourne shell script text executable
% ls -l /usr/bin/apropos
-rwxr-xr-x 1 root wheel 2408 Aug 22 2005 /usr/bin/apropos
% lv /usr/bin/apropos
%
% set dspmbyte=utf8
dspmbyte とは、display mult-byte の意味で、ASCII のような1バイト1文字で
はなく、複数バイトで1文字の符号化に対応することを意味する。
漢字の名前をディレクトリを含むディレクトリで、次のコマンドの結果を比較 しなさい。
% cd 漢字のディレクトリを含むディレクトリ
% ls
% ls -v
% ls | cat
% ls | nkf -e
% ls | nkf -w
端末の中で Emacs を実行し、M-x set-keyboard-coding-system と M-x
set-terminal-coding-system やで、端末の入出力の文字コードて適合させなさ
い。
1つのディレクトリしか表示しない状態でも移動することはできるが、 マウスの操作が難しいので、やらない方がよい。
option キーを押しながらドラッグすると、移動ではなく、コピーになる。
なお、コピーを行った後、元のファイルを消せば実質的に移動(改名)になる。
名称未設定フォルダ
」という名前のフォルダが作成される。
tree コマンドに -N オプションをつけると、ファイル名に漢字を含むものも表 示できる。
% tree -N ディレクトリ名
さらに、nkf を使えば、ファイル名を EUC で表示できる。
% tree -N ディレクトリ名 | nkf -e
詳しくは、man tree を見なさい。
最近では、複数のファイル(ディレクトリを含んだもの)を、1つにまとめる ために使うことが多い。
tar コマンドは、gzip コマンドや compress コマンドなどの圧縮プログラムと 合わせて使われることが多い。 tar コマンド単体では、圧縮の機能はないが、z オプションを付けると自動的 に gzip コマンドを実行する機能がある。
tar ファイルを作成しなさい(tar c)。 手引き 2.6.2 項 参照、 The Unix Super Text 37.2 節 参照。 作成した tar ファイルに含まれているファイルの一覧を、展開することなく 画面に表示しなさい(tar t)。 作成した tar ファイルの内容を、別のディレクトリに展開しなさい(tar x)
tar コマンドと ssh コマンドを組み合わせると、異なるコンピュータ間でファ イルをディレクトリ構造を保ったままコピーすることができる。
作成したファイルを、別のディレクトリに移動して、展開しなさい。展開する には、Finder で、ダブルクリックするか、端末でunzip コマンドを使う。
(1) 「ccコマンド」 の所で用いたhello.c をコピーし、
(name)
を自分の名前で置き換えなさい。これを、コンパイルして実行し
なさい。名前は、漢字ではなく、ASCII 文字だけでローマ字を使いなさい。
端末での、コンパイルと実行の様子を、シェルのプロンプトも含めてテキスト・
ファイルにコピーしなさい。
(2) 「javac コマンドと java コマンド」で用いた
Hello.java をコピーし、
(name)
を自分の名前で置き換えなさい。これを、コンパイルして実行し
なさい。名前は、漢字ではなく、ASCII 文字だけでローマ字を使いなさい。
端末での、コンパイルと実行の様子を、シェルのプロンプトも含めてテキスト・
ファイルにコピーしなさい。
(3) mkdir, rm, ln -s 等のコマンドや Finder を用いて、ファイルを整理しなさい。 レポートには次の項目を含めなさい。
ディレクトリ構成の説明には、tree コマンドの結果を利用してもよい。ただし、
今回整理した部分だけを含めること。~/Library/ など、自分では整理しなかっ
たファイルについては、含めないこと。
「tree -N
」 でファイル名に漢字を含むものも表示できる。
「tree -N | nkf -e
」で、さらにファイル名が EUC に変換される。
課題が出される前に既にディレクトリを作成して既に既に整った状況であった 場合には、問題点の代わりに整理の考え方について説明しなさい。またディレ クトリを新たに作成する代わりに既存のディレクトリについて報告してもよい。
(4) The Unix Super Text の次の部分を読みなさい。
&
」の意味
(5) [加点] ファイルのアーカイブと圧縮について、次のようなことを行ってみなさい。
(6) [加点] 複数のアーカイブ・プログラムを比較して、使いやすさ、圧縮率、 エラーに対する対策をなど観点から評価しなさい。