電子メールに関する知っておきたいこと

					2007年04月27日
情報科学類 コンピュータリテラシ

                                       筑波大学 システム情報工学研究科 
                                       コンピュータサイエンス専攻, 電子・情報工学系
                                       新城 靖
                                       <yas@is.tsukuba.ac.jp>

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■電子メールに関する知っておきたいこと

◆Re:について

Re: は、「〜に関して」という意味の単語で、英和辞書にも載っている。英語の 手紙、特にビジネスの分野では、日常的によく使われる。返事をする時に使 われるので、reply の略だと思っている人も多い。

電子メールでも普通の手紙でも、最初にメールを送る時には、 Re:がないSubject: で出し、それについて返事を出す時には、 元のサブジェクトの前に Re: を付けた形の Subject:を使う。 一般的な習慣では、返事に対する返事の場合でも、Re: の数は 増えない。

◆電子メールのヘッダのまとめ

ヘッダには、次のような項目 ( フィールド(field) ) が含まている。

From:
その電子メールを書いた人( 差出人 )の電子メールのアドレス。
To:
その電子メールの 受取人 の電子メールのアドレス( 宛先 )。
Cc:
その電子メールを受取人の電子メールのアドレス。 To: には、本来の宛先を書き、Cc: にはつい でに連絡したい宛先を書くために書く。電子メールを送る時に、 Cc: に自分の電子メール・アドレスを書けば、自分が送った 電子メールを保存することができる。Cc は、Carbon Copy に由来する。
Subject:
サブジェクト。 電子メールの題名(題目、表題、件名)。 大量の電子メールを受け取るようになると、題名は、電子メールを分類するた めの重要なキーワードになる。
Date:
電子メールが出された日付と時刻。
Message-Id:
メッセージ識別子 (メッセージID、Message-ID, Message identifier)。これは、その電子メー ルに対して世界中で重複がないように付けられた名前。IDというのは、 身分証などの意味のIDカードのIDと同じ意味。
Reply-To:
返事を出す時に使われるアドレス。電子メールを読むプログラムには、 返事を出す機能がある。その時、普通は、From: に書かれているア ドレスが使われる、Reply-To: がある場合には、それが優先される。
In-Reply-To:
返事を出した時に元のメールを差し示す情報。普通、返事を出す時に自 動的にMessage_Id:From:Date: から作られる。
Received:
電子メールが通過したコンピュータと時刻の記録。 電子メールがループしているかを調べる時に使われる。
ヘッダのフィールドは、それぞれ次のような形式になっている。
name: value
1行に収まらない時には、2行目以降の行の先頭 にタブや空白が置かれる。たとえば、次のような形式になる。
Subject: Long long long long long
	 long long long very long subject

◆Bcc: と Fcc:

Cc: とよく似たものにBcc:Fcc: がある。

Bcc: は、blind carbon copy という意味で、そこに電子メールのアドレスを書くと To:Cc: と同じように電子メールが送られるが、 Bcc: は、電子メールを送るプログラムによって 削られてしまうので、最終的なメールには残らない。 Bcc: は、コピーを送ったことをTo:Cc: に知られたくない時や自分用の控えのために使われる。

Fcc: は、file carbon copy という意味で、そこには電子メールのアドレスではな く、ファイル名を書く。メール・リーダは、メールの内容をそのファイル に保存し、配送プログラムに渡す前にFcc: を削除する。

Bcc: はほとんどのメール・リーダで使えるが、 Fcc: はメール・リーダによっては使えない。

◆電子メール・アドレスの形式

電子メールのアドレスが、From:To:Cc: に現われ る時には、次のような形で現われることもある。

From: shiro@is.tsukuba.ac.jp (Shiro Yagi)
ここで、括弧の中には、ユーザの本名を英語やローマ字で書いたものが現われ る。この部分は、人間が読むためのもので、電子メールを配送するプログラ ムは使わない。ユーザの本名は、次のような形式で付加されることもある。
From: Shiro Yagi <shiro@is.tsukuba.ac.jp>
この場合、電子メール・アドレスは、必ず <> で括る。

電子メールを出す時には、To:Cc: に 「,」で区切って複数のアドレスを書く こともでる。

To: shiro@is.tsukuba.ac.jp, kuro@is.tsukuba.ac.jp
もし、1行に入り切らない時には、次のように複数行に分けて書く。
To: shiro@is.tsukuba.ac.jp, kuro@is.tsukuba.ac.jp,
	aka@is.tsukuba.ac.jp, momo@is.tsukuba.ac.jp,
	midori@is.tsukuba.ac.jp
2行目以降は、行の先頭にタブや空白を置く。

◆漢字の扱い

電子メールの本文には、漢字を使ってもよい。 電子メールでは、漢字コードとしては、JIS を使うことになっている。

ヘッダ部分は、漢字を使うことにはいくつか問題がある。まず、 From:To:Cc:などの電子メールのアドレスを書くべき 所には、JISコードで直接漢字を入れることはできない。 MIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)という形式を使って符号化して漢字を 含める機能を持っているメール・リーダもある。

◆spamメール

現在の電子メールの技術では、基本的には、送られてきた電子メールは受け取 るしかない。この性質を悪用して、商品の広告などを、望んでいない大 勢の人に送り付ける行為を繰り返す会社が出てきた。そのようなメール を spamメールUCM(Unsolicited Commercial Mail) 、 または、 UBM(Unsolicited Bulk Mail) という。spamメールの内容は、あまりまともなものはなく、怪しげな商品の広告、 チェーン・レター、spamメールでの広告代行に関する広告であることが多い。


Last updated: Date:
Yasushi Shinjo / <yas@is.tsukuba.ac.jp>