暗号、SSH、Webサーバ・アクセスログ

					2011年05月24日
情報科学類 コンピュータリテラシ

                                       筑波大学 システム情報工学研究科 
                                       コンピュータサイエンス専攻, 電子・情報工学系
                                       新城 靖
                                       <yas@is.tsukuba.ac.jp>

このページは、次の URL にあります。
http://www.coins.tsukuba.ac.jp/~yas/coins/literacy-2011/2011-05-24
あるいは、次のページから手繰っていくこともできます。
http://www.coins.tsukuba.ac.jp/~yas/
http://www.cs.tsukuba.ac.jp/~yas/

■連絡事項

■補足

◆Firefoxのブックマーク

楽に講義のページを表示するには,ブックマークの機能を使うとよい。 手引き 4.1.2節 参照The Unix Super Text 28.2.5項 参照

ブックマークは、次のファイルに保存されているる

$ ls -l  ~/Library/Application\ Support/Firefox/Profiles/*/bookmarks.html

◆Firefoxのプロファイルの再生

Firefox プロファイル(設定、ブックマーク等のデータ)は、次のディレクトリ にある。ディレクトリ名に空白を含む場所があることに注意。また、最後の 「*」には、予測できない文字列にマッチさせている。 プロファイルが壊れると、次のようなことがおきる。 このような場合には、プロファイルを作り直すと回復する。 参考

◆「~ユーザ名」と ~/public_html

coins では、各自の WWW ホーム・ページは、次のファイルになっている。 coins では、各自の WWW ホーム・ページの URL は、次のようになっている。 public_html は含まれない。 URL に public_html は含まれない理由

■ネットワーク上の脅威

悪意を持つ人、プログラムによる脅威。
盗聴
本来の通信相手以外の人が 通信内容のコピーを入手する。例:クレジットカード番号をコピーする(後で使う)。
改ざん
通信内容を書き換える。例:買い物で1個買う所を10個に書き換える。
なりすまし
悪意のある人が、他の人に成り代わる。例: 電子メールの From: を書き換えて送る。
インターネットで流れるデータは、流れるデータを見れば簡単に内容を知るこ とができる。(1つひとつのデータグラムは、はがきと同じ。)

ネットワークには、次のものを含めて考える

■暗号

◆暗号に関する基本用語と安全性

暗号とは、情報の意味が当事者以外にはわからないように情報を変 換することである。

図? 暗号化、復号化、平文、暗号文、解読、鍵

図? 暗号の考え方

平文(ひらぶん(clear text))
元の情報
暗号文(cipher text)
変換された情報
平文、暗号文といっても、文字だけでなく、画像や音声などコンピュータが扱 えるあらゆるデータ(ビット列)が想定されている。

暗号化(encrypt)
平文を暗号文に変換すること。暗号化鍵が必要。
復号化(decrypt)
暗号文を平文にもどすこと。復号化鍵が必要。
鍵(key)
暗号化や復号化に必要な(短い)データ。
解読
当事者以外の第三者が、暗号文を元にもどすこと、あるいは、復号化鍵を得る こと。
暗号化や復号化の方法(アルゴリズム)は、何種類もある。

◆鍵を使うことの重要性

問: 答え:

暗号化の方法が秘密になっていると、一見、より強そうにみえる。しかし、そ の暗号が、強いのか弱いのか調べる方法がない。攻撃すると、簡単に落ちるか もしれない。暗号化の方法を提供している者が信頼できない時には使えない。

◆長い鍵を使うことの重要性

暗号の安全性は、鍵の安全性によっている。

◆暗号の経済学

暗号の安全は、解読にかかるコストを大きくすることで、解読され た平文から得られる利益を相対的に小さくすることに依存している。

鍵を長くするだけで、安全性が指数関数的に高くなる。 鍵を1ビット長くすると、解読時間が2倍になる。 (「鍵の長さを2倍にすると解読時間が2倍になる」は、誤り)。

図? 指数関数

図? 指数関数

図? 指数関数

図? 指数関数

パスワードは、コンピュータの中では、暗号化の鍵として使われる。 長いパスワードは、破られにくい。1文字(大文字小文字数字記号)増やすと、 総当たりで解読に要する時間が、50倍から100倍近くかかるようになる。

◆暗号の応用

◆共通鍵暗号系と公開鍵暗号系

暗号の方法は、大きく2つに分類される

共通鍵暗号系(対称暗号系)
暗号化鍵と復号化鍵が同じ(または片方から片方が簡単に計算できる)。 公開鍵暗号系と比較して軽い(処理が高速である)。
公開鍵暗号系(非対称暗号系)
暗号化鍵から復号化鍵を容易に類推できない。 共通鍵暗号系と比較して重たい(処理が低速である)。

両者を組み合わせて使う。

◆一方向関数

y=f(x) で、x から y を計算することは簡単だが、y から x 逆を計算するこ とは非常に難しい関数。

◆ハッシュ関数(メッセージ・ダイジェスト、メッセージ要約関数)

元データからデータの指紋と呼ぶべきような特徴的な数(普通は元データの長 さによらず固定長)を抽出するもの。

チェックサムや CRC (Cyclic Redundancy Check) にも似ているが、暗号やディ ジタル署名で使われるのは、Collision Proof 性が求められる。

ハッシュ関数の結果を、fingerprint というこがある。

よく使われるハッシュ関数

◆公開鍵暗号系

公開鍵暗号系(非対称暗号系)では2つの異なる鍵を用いる。 便宜上、この2つを公開鍵と秘密鍵と呼ぶ。

これらの鍵は、互いに相手の逆関数になっているものが広く使われている。

図? 公開鍵暗号を使った暗号通信の手順

図? 公開鍵暗号を使った暗号通信の手順

  1. 受手は、公開鍵と秘密鍵の組を作り、公開鍵を誰でも読めるようにする。
  2. 送手は、受手の公開鍵を暗号化鍵として用いて暗号文を作り、送る。
  3. 送手は、受け取った暗号文を、自分の秘密鍵を復号化鍵として用いて復号化し、 元の平文を得る。

ここで、公開鍵から秘密鍵を計算することは難しい。ある平文を公開鍵で暗号 化してみたところで、秘密鍵を得ることは難しい。

◆鍵の管理

公開鍵暗号の利点は、鍵を管理する手間が掛らないこと。
共通鍵暗号の場合
情報を交換する間で鍵を安全に共有しなければならない。しかも、通信 相手ごとに鍵を変える必要がある。
公開鍵暗号の場合
受手ごとに、1つの暗号化鍵を公開するだけでよい。今までに通信をしたこと がない人からでも、暗号化されたメッセージを受け取ることが可能である。
公開鍵暗号系は、暗号通信だけでなくディジタル署名や利用者認証、電子現金 にも応用される。

◆認証

認証とは、情報の正当性や完全性を確保する技術である。

利用者認証
アクセスしてきた人が正当か否かを判定する。 しばしばパスワードや暗唱番号が用いられる。
ディジタル署名(メッセージ認証、電子署名)
通常の署名とおなじく、送られてきたメッセージが送信者本人のもので あることを識別、確認すること。

◆認証の例

◆man-in-the-middle攻撃

いくら暗号通信をしても、通信相手を認証しないと意味がない。 認証しない場合、man-in-the-middle攻撃に弱い。

A=攻撃者、攻撃者=Bで暗号通信

図? man-in-the-middle攻撃

◆ディジタル署名

ディジタル署名では、通常の署名と同様に、次のような性質が必要である。

ディジタル・データでは完全なコピーが簡単に作れるので、紙上の署名や捺印 よりも難しい。

◆公開鍵暗号計によるディジタル署名

公開鍵暗号系を使ってディジタル署名を行うことができる。

図? 公開鍵暗号を使ったディジタル署名の手順

図? 公開鍵暗号を使ったディジタル署名の手順

  1. (受手ではなく)送手は、公開鍵と秘密鍵の組を作り、公開鍵を誰でも 読めるようにする。
  2. 送手は、自分の秘密鍵を暗号化鍵として用いて暗号文を作り、送る。
  3. 送手は、受け取った暗号文を、送手の秘密鍵を復号化鍵として用いて復 号化し、元の平文を得る。この時、きちんと平文が得られた場合、その平文は、 その公開鍵の持ち主から送られてきたことがわかる。

メッセージ全体を暗号化する代わりに、メッセージを平文で送り、それにメッ セージを一方向関数(ハッシュ関数)と呼ばれる方法で計算した結果だけを、 秘密鍵で暗号化したものを送る方法もある。一方向関数では、計算結果から元 の値(メッセージ)を計算することが難しい。

ディジタル署名や利用者認証は、公開鍵暗号系ではなく、共通鍵暗号系を用い ても可能である。ただし、この場合、鍵を管理する信用できる管理センターが 必要となる。

◆公開鍵暗号を使った利用者認証

サーバへのログインを例に、これを説明する。

  1. ユーザは、サーバにログイン・アカウントを登録する時に、公開鍵と秘 密鍵を生成し、公開鍵をサーバに届け、秘密鍵を自分で保持する。
  2. ユーザは、通信回線を通じてサーバにアクセスしてきた時、サーバは乱 数を1つ生成し、その乱数をユーザの「公開鍵」で暗号化し、ユーザに送り返 す。
  3. ユーザは、送られてきた暗号化された乱数を、保持している秘密鍵で復 号化し、サーバに送り返す。
  4. サーバは、ユーザから返された乱数が正しければ、正当なユーザである と判定する。
次回の呼び出しでは、別の乱数を用いることで、通信を記録している傍受者に も対応することができる(challenge-response方式)。

単なる暗証番号の場合、通信を傍受されたら終り。 毎回違う数を使えば、傍受されていても平気。

◆鍵の確認

公開鍵による認証

公開鍵で自由に鍵が得られたとしても、鍵か偽物だと、意味はない。

鍵がが本物であるかをどうやって確認するか。

では、その第三者は、信頼できるのか。

■SSL(Secure Sockets Layer)

SSL は、Netscape 社によって開発された通信路を暗号化する仕組み。認証機能 もある。HTTP に広く使われている(他にも使える)。SSL をインターネットで使 えるさまざまな標準を策定する組織IETF (Internet Engineering Task Force) により標準化したものが、TLS(Transport Layer Security)。

◆SSL が使われる場所

◆3種類認証モデル

良く使われる(HTTPS, POPS, IMAPS, SMTP Over SSL)のは、2番目。

認証には、証明書が使われる。

◆SSLて使われる証明書

含まれている重要な情報

X.509 形式(バイナリ)を、テキストに変換したものの例:

$ openssl x509 -text -noout < coins-www.cert
Certificate:
    Data:
        Version: 3 (0x2)
        Serial Number:
            23:99:a5:01:dd:82:d2:1a
        Signature Algorithm: sha1WithRSAEncryption
        Issuer: C=JP, O=SECOM Trust Systems CO.,LTD., CN=SECOM Passport for Web SR 2.0 CA
        Validity
            Not Before: Mar  4 08:20:34 2010 GMT
            Not After : Mar 31 14:59:59 2014 GMT
        Subject: C=JP, ST=Ibaraki, L=Tsukuba, O=University of Tsukuba, OU=Department of Computer Science, CN=www.coins.tsukuba.ac.jp
        Subject Public Key Info:
            Public Key Algorithm: rsaEncryption
            RSA Public Key: (1024 bit)
                Modulus (1024 bit):
                    00:bf:a8:d2:c6:ca:36:85:52:74:2d:ee:3c:23:f3:
                    71:94:88:85:c0:52:47:5f:50:dd:96:bf:07:b7:82:
                    04:ce:fa:38:b9:80:49:2e:9e:42:c7:d7:1b:2c:6b:
                    da:0b:71:20:61:73:31:92:27:c2:75:9a:13:92:ea:
                    00:0d:d8:77:13:f9:db:54:bf:fc:22:ef:cf:b8:c0:
                    d2:6c:1e:df:5e:30:0b:e4:1f:28:40:82:29:59:69:
                    5b:c1:84:88:a8:d1:bf:84:cf:4d:d5:d8:34:40:4b:
                    1f:98:ec:b0:ec:35:19:ad:ae:19:2b:d9:87:7b:21:
                    cf:d1:ca:53:70:09:88:c4:6d
                Exponent: 65537 (0x10001)
        X509v3 extensions:
            X509v3 Key Usage: critical
                Digital Signature, Key Encipherment
            X509v3 Extended Key Usage: 
                TLS Web Server Authentication
            X509v3 Subject Key Identifier: 
                B0:C1:54:B3:02:01:7C:7C:9B:F8:BA:42:36:09:66:50:98:20:26:9E
            X509v3 Authority Key Identifier: 
                keyid:30:9A:00:57:99:44:63:6B:C9:B2:F2:3D:8D:83:6B:3B:D7:9D:EF:64

            X509v3 Certificate Policies: 
                Policy: 1.2.392.200091.100.741.1
                  CPS: https://repo1.secomtrust.net/spcpp/pfw/pfwsr2ca/

            X509v3 CRL Distribution Points: 
                URI:http://repo1.secomtrust.net/spcpp/pfw/pfwsr2ca/fullcrl.crl

            Netscape Cert Type: 
                SSL Server
    Signature Algorithm: sha1WithRSAEncryption
        a9:aa:27:a3:1f:66:db:25:44:a1:06:ab:a8:2a:95:b9:08:72:
        a5:b9:aa:b9:ac:6a:93:da:74:3f:59:a9:2a:f5:d5:08:ec:6f:
        60:e3:df:fd:79:a3:7c:23:b6:c4:0f:44:a0:46:7e:98:6f:e2:
        a8:4a:a8:38:c8:f0:3c:52:12:e3:f7:e4:7f:70:00:d9:39:cb:
        fe:a6:2e:a9:09:77:25:b1:a9:2b:0a:88:4a:44:c1:94:99:8b:
        0e:64:e1:2c:2a:b4:a2:ac:3b:8e:9c:bf:27:22:6f:df:2f:dd:
        0f:61:83:18:fc:d9:ba:fd:53:92:9e:8f:10:81:9c:46:e0:65:
        7a:99:1b:db:20:2f:8a:35:9f:44:00:23:ce:2a:5d:c5:38:ca:
        f3:77:71:ce:07:90:b3:0c:e2:4d:1f:c1:13:40:a6:95:f5:a1:
        22:24:0d:64:f6:27:07:bb:dc:d1:56:e5:9a:f3:b9:20:2e:a0:
        5c:65:de:40:ef:26:c3:ee:f4:06:e9:19:5d:c7:da:bb:63:da:
        a0:8d:a5:2b:65:77:8e:30:a9:3b:b6:06:21:86:9c:5e:bc:dc:
        e2:23:aa:1f:4d:ce:8d:70:38:7d:2b:0d:70:c1:3d:ba:2d:e9:
        7a:16:92:58:96:7e:3b:f2:a5:54:0c:bc:3d:35:bd:2c:18:46:
        e4:26:8b:26
$ 

◆認証局の階層/信頼の鎖

証明書がついていたとして、それが本物であるかをどうやって確認するか。

認証局(CA, Certificate Authority)に、証明書を発行してもらう。(認証局の 秘密鍵でディジタル署名をしてもらう)

その認証局は、信頼できるか?

WWWブラウザには、ルート認証局の証明書が予め含まれている。

末端のWWWサイトは、ルート認証局、または、中間認証局から発行された証 明書を提示する。

ブラウザ、ルート認証局、中間認証局、末端の証明書。ルートは自己署名。

図? ルート認証局から始まる証明書のチェーン

◆SSLでの暗号系の利用

■SSH

◆r系コマンド

rlogin
remote login。遠隔ログイン。 (文字端末を使っている状態で)別のコンピュータにネットワーク経由で接続し てログインし、別のコンピュータを(文字端末の状態で)利用可能にすること。
rsh
remote shell (sh)。別のコンピュータでプログラムを実行する。
rcp
remote copy (cp)。別のコンピュータとの間でファイルをコピーする。
ftp
file transfer program/protocol。別のコンピュータとの間でファイルをコピーする。
SSH (Secure Sell) とは、これらのプログラムを置き換えたプログラム群の総称/代表。 遠隔(remote)の対になる言葉は、ローカル(local)。

◆r系コマンドの弱点

◆SSHでの解決方法

◆クライアントとサーバ

[クライアントとサーバ再掲(5月13日)] インターネットで通信をプログラムを利用する時、 「クライアント」と「サーバ」という分けて考えることが多い。

例:

コンピュータが1台しかない場合、プログラムは1つでよい。通信をする場合 には、プログラム(コンピュータ)が2つになる。そのうちの1つのプログラ ム(またはコンピュータ)を、「クライアント」、もう1つを「サーバ」とい う。

◆sshにおけるクライアントとサーバ

◆SSHにおけるホストの認証

SSH (scp含む)では、クライアントが接続先のコンピュータ(ホスト)で動いてい るサーバが本物であるかどうかどうかを確認する(ホストを認証する)。ホス トの認証には、公開鍵暗号系を使う。

◆SSHにおけるホストの公開鍵のハッシュ値の確認

ssh (scp, WinSCP, PuTTY, Tera Term含む) で始めてあるホストに接続する時 には、警告が現れる。

ssh コマンド

$ ssh ホスト名 -l ユーザ名 [←]
The authenticity of host 'ホスト名 (IPアドレス)' can't
be established.
RSA key fingerprint is 16進数32桁.
Are you sure you want to continue connecting (yes/no)? yes[←]
Warning: Permanently added 'ホスト名 (IPアドレス)' (RSA)
to the list of known hosts.
Password: (パスワードを打つ。画面には表示されない。)[←]
ホスト名$ [←]

この 16進数32桁 の数は、接続先のホストの公開鍵を、ハッ シュ関数 MD5 にかけた結果である。この32桁の数を目で確認することにより、 接続先のホストが正しい( man-in-the-middle攻撃が 行われていない)ことがわかる。

◆主なホストの公開鍵のハッシュ値

2011年5月現在。変更される可能性もある。
www.coins.tsukuba.ac.jp
3d:78:df:9c:5e:55:88:5f:0c:b2:8e:71:4a:0c:47:13
acacia01-50, burnet00-50, cosmos01-50
44:08:af:d4:56:7d:b9:20:25:d2:dd:0c:03:27:a4:d4
viola01.coins.tsukuba.ac.jp
43:1a:7a:7f:f7:d6:3a:82:5c:10:98:b0:13:58:9e:c7
viola02.coins.tsukuba.ac.jp
c1:07:da:a1:f6:2f:1a:5e:8b:55:4e:e3:bb:1d:c1:df
viola03.coins.tsukuba.ac.jp
7a:bf:35:d6:b0:f3:c2:b9:ab:96:ec:a3:12:0c:95:b5
viola04.coins.tsukuba.ac.jp
0d:83:dc:63:47:1d:ce:de:59:91:77:77:35:e4:d1:90
viola05.coins.tsukuba.ac.jp
7f:29:f7:e7:87:65:c8:b9:02:f5:2a:22:41:ea:73:b9
viola06.coins.tsukuba.ac.jp
13:29:e6:ad:e0:3f:73:7b:f8:9b:b4:03:6e:fe:d3:9b

◆SSHでのユーザの認証

暗号化された通信路が確立された後は、パスワードを流しても安全である。

個人ごとに公開鍵での認証機能を利用したほうがよい。

◆sshにおける公開鍵による認証

SSH では、公開鍵暗号を使った利用者認証 が使える。

■Webサーバ・アクセスログ

Web サーバでは、一般に、クライアントからページがアクセスされるごとに、 記録を残している。この記録を アクセスログ(access log) という。アクセスログには、次のような内容が記録される。 Webブラウザを利用する時には、サーバ側にアクセスログが残されていることを 意識する。

■検索エンジン

The Unix Super Text 28.5節,34章 参照

インターネット上にある膨大な情報から、必要な情報を見つけ出すためには、 次のような方法がある。

リンク集 とは、他のページへのリンクを集めたWWWページ。 なにかWWWページを探したい時には、すぐに「キーワード検索」を思い浮か べるかもしれないが、実際には、 FAQ FAQやリンク集の方が速いことがある。

◆検索に必要な考え方

ヒット率と選択率

ヒット率
欲しかった情報のうち、どのくらい見つかったか。
選択率
見つかった情報のうち、どのくらいが本当に欲しかったものか。

図? ヒット率と選択率

図? ヒット率と選択率

あちらを立てればこちらが立たず。 トレードオフ。

3つの論理演算

外枠は、全体(インターネット上の膨大な数のWWWページ)を表す。 色が付いている所が、見つかったデータを表す。

「keyword1」で検索。

図? キーワードを1つ与えた時

図? キーワードを1つ与えた時

keyword1 AND keyword2 AND keyword3

図? キーワードを3つ与えた時(AND)

図? キーワードを3つ与えた時(AND)

keyword1 OR keyword2 OR keyword3

図? キーワードを3つ与えた時(OR)

図? キーワードを3つ与えた時(OR)

NOT keyword1

図? キーワードを1つ与えた時(NOT)

図? キーワードを1つ与えた時(NOT)

キーワードを1つ与えた時の NOT は使えない。

NOT keyword1 AND keyword2 AND keyword3

図? キーワードを3つ与えた時(AND,NOT)

図? キーワードを3つ与えた時(AND,NOT)

NOT は、AND といっしょにつかう。 NOT 単独では、使えない。

◆絞込検索

絞込検索(しぼりこみけんさく)のイメージ

図? キーワードを1つ与えた時

図? キーワードを1つ与えた時

図? キーワードを2つ与えた時

図? キーワードを2つ与えた時

図? キーワードを3つ与えた時

図? キーワードを3つ与えた時

絞込検索は、実は、AND と同じ。

keyword1 AND keyword2 AND keyword3

図? キーワードを3つ与えた時 図? キーワードを3つ与えた時(AND)

図? キーワードを3つ与えた時(AND)

◆検索エンジンとWWWロボット

検索エンジン(サーチエンジン)
WWWで検索機能を使う時、実際に検索を行うプログラム。 インターネット上のあるWWWサーバで動いていてる。
検索結果は、手元のWWWブラウザの画面に表示される。

検索対象のデータにキーワードを与える方法

自動抽出したものは、ヒット率はよいが選択率が悪い。 人間が整理したものは、選択率はよいがヒット率が悪い。
WWWロボット
WWWページからプログラムでキーワードを自動抽出するプログラム。
WWWロボットの動き
  1. ロボットは、あるURLが与えられると、そのページ を訪れる(ページの内容を得る)。
  2. 得たページの内容を解析して、キーワードを抽出する。
  3. そのページにリンクが含まれていたら、1 に戻って繰り返す。
このような繰り返しの方法を、コンピュータ・サイエンスの用語では 再帰(recursion) とう。ロボットは、世界中の WWWページを歩き回り、キーワードを抽出する。 ただし、一度訪れたことがあるページは記録しておいて、2度訪れないようす る。

◆FAQ

インターネット上の重要な情報源に FAQ がある。 FAQ は、もともとは、 Frequently Asked Questions の略で、「よくある質問」という意味である。 実際には質問だけでなく て答えもいっしょに書かれている。しかも、実用的で非常に品質がよい情報 が集まっていることが多いので、質問したいことがなくても、自分の興味がある 分野の FAQ を探して読むことはよい勉強になる。

FAQ を作る活動は、ネットワーク・ニュースでよく行なわれている。というの も、繰り返しなされる質問をまとめて定期的に投稿することで、記事の質を高 めることができる。インターネットで流通するようなフリー・ソフトウェアで も、マニュアルとは別に FAQ が作られることもよくある。

■Emacs

◆Emacsのモード

Emacs は、編集するテキスト・ファイルの種類に応じて細かい動作を変更する。 この時、Emacs では「モード(mode)」を変更すると言う。

Emacs は、モードを編集するファイルの拡張子を見て自動的に変更する。 Emacs がよく使うモードと拡張子は、次のようになっている。
Emacs のモードと拡張子
モード 拡張子
text-mode .txt, .text
html-mode .html
c-mode .c, .h
lisp-interaction-mode .el
fundamental-mode なし

各モードによりどのような機能(キー操作)があるかは、次の方法でわかる。

◆Emacs HTML モード

HTML を編集するのに適したモード。

◆*scratch*

次のような画面が表示されたら、それを編集してはならない。
;; This buffer is for notes you don't want to save, and for Lisp evaluation.
;; If you want to create a file, visit that file with C-x C-f,
;; then enter the text in that file's own buffer.



-EEE:---F1  *scratch*      All L5     (Lisp Interaction)-------------

日本語訳:
;; このバッファは、保存する必要がない注意事項表示とLisp 評価のためのバッファです。
;; もしファイルを作成したいなら、C-x C-f を使ってファイルを開きなさい。
;; そして、ファイルのバッファへテキストを打ち込みなさい。



-EEE:---F1  *scratch*      All L5     (Lisp Interaction)-------------

このような表示がなされたら、画面の指示に従い、C-x C-f でファイル を開くこと。

■実習

実習時間中には、 以下の課題をできるだけ多く行いなさい。全部を行う必要はない。

★練習問題(1101) sshコマンドによる遠隔ログイン

手引き 9.1節 参照手引き 2.6節 参照The Unix Super Text 29.3.1項 参照。 ssh コマンドを利用して、別のコンピュータに遠隔ログインしてみなさい。
host1$ ssh hostname[←]
Password: (パスワードを打つ。画面には表示されない。)[←]
hostname$ []
hostname は、 cosmos10 など、接続したいコンピュータの名前を入れる。

実習では、別のコンピュータとしては、次のものを利用しなさい。

これらのホスト名には、正確には、coins.tsukuba.ac.jp を付ける。
$ ssh cosmos10.coins.tsukuba.ac.jp [←]
$ ssh www.coins.tsukuba.ac.jp [←]
実習室内では、coins.tsukuba.ac.jp を省略できる。
$ ssh cosmos10 [←]
$ ssh www [←]

一番最初に接続する時には、次のような警告(Warning:)が表示される。

cosmos09:~ yas$ ssh cosmos10[←]
The authenticity of host 'cosmos10 (130.158.86.150)' can't be established.
RSA key fingerprint is 44:08:af:d4:56:7d:b9:20:25:d2:dd:0c:03:27:a4:d4.
Are you sure you want to continue connecting (yes/no)? yes
Warning: Permanently added 'cosmos10,130.158.86.150' (RSA) to the list of known hosts.
Password: パスワード [←]
Last login: Thu May 20 15:02:38 2010 from sharon.hlla.is.tsukuba.ac.jp
cosmos10:~ yas$ []
この fingerprint は、接続先のホストの公開鍵のハッシュ値である。これが 主なホストの公開鍵のハッシュ値 と同じことを確認してから yes と打ち込みなさい。

遠隔ログインが成功すると、ログイン先でシェルが実行される。シェルのプロ ンプトには、(多くの場合)ホスト名が含まれているので、遠隔ログイン後に は、プロンプトが変化する。シェルを終了(exitコマンド)すると、遠隔ログイ ン自身も終了する(ログアウトする)。

ssh で遠隔ログインした後に、シェルのプロンプトが変わることを確認しなさ い。また、exit コマンドを実行すると、ログアウトできることを確認しなさい。

  1. iTerm で端末を開く。シェルが実行される。
  2. プロンプトを観察する
  3. ssh で遠隔ログインする
  4. プロンプトを観察する
  5. exit コマンドで、遠隔ログインのログインシェルを終了する(ログアウトする)
  6. プロンプトを観察する
  7. exit コマンドで、iTerm で最初のシェルを終了する。

★練習問題(1102) ~/.ssh/known_hostsの観察

一度遠隔ログインしたホストについては、~/.ssh/known_hosts にそのホストの 公開鍵が保存される。そのことを確認しなさい。
$ cat ~/.ssh/known_hosts [←]
cosmos10,130.158.86.150 ssh-rsa AAAAB3NzaC1yc2EAAAABIwAAAQEAspu6phmu41bhJX6s6pY6
+OgH+D0wY52m68NsfM+6prj64yhbW3I9s2MJT/gmBt6+dzY/jFYMQUMPtgESveYlgj72gJ0OrKAkhfWF
POWfeyXoULDy+1qroPLBxpWs4VMuohkXinmegcaUFnwedx1nE8i3dCKsgKQDsIHZb8K+oZkDzbWpHLpc
iY+9aNwIgo9YB9+jnB/azTpLx+DwT0yw/0xezAN4rQiJi3CyHN/Dn7zMX7E8xslVnQEjAfsTIz784/tH
+ffqrEMpm6i62teW1Q7p8zhq2dN2P1w1PBVtEBUd2GpnbpukB6FmLthVU7natkNWSMWC2F2Y8sP8T2+N
iQ==
$ []

★練習問題(1103) ssh -l オプションや user@remotehost の形式によるログイン

ログイン先とログインもとでユーザ名が異なる時には、次のように、-l オプショ ンに続きログイン先のユーザ名を使う。

host1$ ssh remotehost -l user[←]
Password: (パスワードを打つ)[←]
remotehost$ []
または、「@」の前にログイン先のユーザ名を指定する。
host1$ ssh user@remotehost[←]
Password: (パスワードを打つ)[←]
remotehost$ []
この -l オプションを利用する方法や @ を利用する方法で遠隔ログインを行っ てみなさい。(注意:同じ場合でも、あえて指定することもできる。)

★練習問題(1104) 遠隔ログインによるコマンドの実行

遠隔ログインを行い、次のコマンドを実行しなさい。そして、遠隔ログインを 行っていない時(ローカルでの実行結果)と比較しなさい。 この実習では、端末を2枚開き、片方の端末で遠隔ログインを行い、もう片方 ではそのまま実行し、2つの結果を比較する。

★練習問題(1105) ssh+ps+kill

★練習問題(1106) 学類 Web サーバのアクセス・ログの観察

次の手順で、学類 Web サーバに保存されている アクセス・ログを観察しなさい。 ログは、次のような形式をしている。
130.158.83.140 - - [12/May/2010:11:50:20 +0900] "GET /~yas/coins/l
iteracy-2010/ HTTP/1.1" 200 5467
この例では、一番左に表示されているものは、クライアントの IP アドレスで ある。その他に、日付やどの URL をアクセスしたか、転送したバイト数(一番 右)も表示されている。

自分自身で、情報科学類の Web ページをアクセスした時に、自分が使っているパ ソコンの IP アドレスが表示されることを確認しなさい。

次のようにして、 grep コマンド で IP アドレスを検索する方法もある。

$ grep 130.158.83.140 access上のlsの結果で置き換える [←]

★練習問題(1107) ssh、ホストの公開鍵の確認

次のようなコマンドで、そのコンピュータのホストの公開鍵を表示してみなさ い。
$ cat /etc/ssh_host_rsa_key.pub [←]
また、次のようにしてハッシュ値を表示しなさい。
$ ssh-keygen -l -f /etc/ssh_host_rsa_key.pub [←]

★練習問題(1108) ssh、known_hosts

ssh コマンドで遠隔ログインをし、ログアウトしなさい。次のようなファイル やディレクトリが作られたこと(存在すること)を確認しなさい。
$ ls -ld ~/.ssh [←]
<結果省略>
$ ls -l ~/.ssh/known_hosts [←]
<結果省略>
$ []
この ~/.ssh/known_hosts には、接続先のホストの公開鍵が 含まれている。これを表示しなさい。
$ cat ~/.ssh/known_hosts [←]
<結果省略>
$ []
また、公開鍵のハッシュ値を表示しなさい。
$ ssh-keygen -l -f ~/.ssh/known_hosts [←]
<結果省略>
$ []

★練習問題(1109) IPアドレスによる ssh コマンドの利用

dig コマンドなどで接続するホストの IP アドレスをしらべなさい。 ssh コマンドの引数としてホスト名の代わりに IP アドレスを指定しなさい。

★練習問題(1110) WWW検索エンジンの利用

WWW検索エンジンで次の演算を実行してみなさい。

★練習問題(1111) 図書検索

http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/,筑波大学付属図書館 で図 書の検索を行いなさい。3つの演算(AND, OR, NOT)をどのようにして利用する かを調べなさい。

★練習問題(1112) よいキーワード

検索エンジンに与えるべきよいキーワードについて考えなさい。 たとえば、次のようなものが考えられる。 これらの点を評価しなさい。また、他にどのようなキーワード、または、その 組み合わせ方法をよいか考えなさい。

★練習問題(1113) Firefoxのブックマーク

Firefox のブックマークの機能を使ってみなさい。 手引き 4.1.2節 参照The Unix Super Text 28.2.5項 参照

登録後にブックマークのファイルを観察しなさい。

$ ls -l  ~/Library/Application\ Support/Firefox/Profiles/*/bookmarks.html [←]
$ lv     ~/Library/Application\ Support/Firefox/Profiles/*/bookmarks.html [←]
$ open   ~/Library/Application\ Support/Firefox/Profiles/*/bookmarks.html [←]

このファイルをFirefox で開いてみなさい。

★練習問題(1114) SSLの証明書の表示

Firefox を使って、Web サーバが提示している証明書を表示してみなさい。
  1. SSL のページを開く。https://www.coins.tsukuba.ac.jp/ce/ 等。
  2. 「ツール」メニューから「ページの情報」項目を選ぶ。 「ページ情報」のウィンドウが開く。
  3. 開かれたウインドで、「セキュリティ」タブを選ぶ。
  4. 「証明書を表示」ボタンを押す。 「証明書ビューア」のウィンドウが開く。
  5. 「詳細」を開く。
次の項目を調べなさい。

★練習問題(1115) Firefoxのルート認証局

Firefoxが保持しているルート認証局のリストを表示しなさい。
  1. 「Firefox」メニューの「環境設定」を選ぶ
  2. 「詳細」ボタンを表示する。
  3. 「暗号化」タブを開く
  4. 「証明書を表示」ボタンを押す
  5. 「認証局証明書」タブを選ぶ
このリストの中に 練習問題(ssl-page-cert) SSLの証明書の表示 で表示したルート認証局が含まれているか確認しなさい。

★練習問題(1116) Emacs C-k

Emacs で C-k は、カーソル以降、行末まで削除する。行末で C-k を打つと、 改行コードを削除する。この機能を確認しなさい。

★練習問題(1117) Emacs *scratch* バッファでの計算

次のような方法で、「*scratch*」 バッファを表示しなさい。

方法(1)

方法(2) 下から2行目の白黒反転した行(モードライン)に次のような表示があることを 確認しなさい。
*scratch*      All L行番号     (Lisp Interaction) ----

「*scratch*」 バッファで、次のようなキー操作を行ってみなさい。

;; This buffer is for notes you don't want to save, and for Lisp evaluation.
;; If you want to create a file, visit that file with C-x C-f,
;; then enter the text in that file's own buffer.

(+ 1 2 3)^J
(- 100 10)^J
(* 100 10)^J
(/ 5 2)^J
(/ 5.0 2)^J
emacs-major-version^J
(getenv "HOME")
注意: 行末の括弧の右の^Jは、Control + J の意味。

★練習問題(1118) Emacs 拡張子によるモードの変化

Emacs C-x C-f で、次のような拡張子を持つファイルを作成してみなさい(内容 は空でもよい)。 モードラインの表示がどうなるか確かめなさい。M-x describe-mode で、 モードの説明を表示しなさい。M-x describe-bindings で、どのような キー操作があるか調べなさい。

★練習問題(1119) ssh、ポート番号の指定

ssh コマンドでは、標準的にはサーバ側(接続を受ける方、遠隔側)では、ポー ト番号 22 が利用される。22 以外のポート番号を利用している時には、-p オ プションによりその番号を指定することができる。-p オプションの動作を確認 しなさい。

★練習問題(1120) sshにおける公開鍵による認証

ssh-keygen コマンドを使って、公開鍵と秘密鍵の組を生成しなさい。鍵の種類 としては、rsa 、または、dsa を使うとよい。生成に成功すると、標準では、 ~/.ssh というディレクトリの下に、2つのファイルが作られる。

前者に、秘密鍵、後者に公開鍵が保存される。秘密鍵の方は、パスフレーズを 鍵とした「対称暗合系」で暗号化されて保護される。パスフレーズは、長く (10-30文字)にする。(この課題で、うまく動作していることを確認するために は、通常のログインのパスワードとは必ず違うものにしなさい。)

ssh でログインする時に、生成した鍵の組を使って認証を行いなさい。 それには、クライアント側に秘密鍵を置き、サーバ側の ~/.ssh/authorized_keys (OpenSSHの場合)に、公開鍵を設定すればよい。 接続時には、秘密鍵を暗号化するために使ったパス レーズを打つ込む。(通常の通常のログインのパスワードを打つことはない。)

coins 内で実験する時には、クライアントもサーバも同じ ~/.ssh を参照する。 したがって、authorized_keys を作成するには、次のようにする (RSAかDSAのどちらか一方を選んで実施する。 両方行った場合、後から行った設定が有効になる。)。

rsaの場合:

$ cd ~/.ssh [←]
$ ls id_rsa* [←]
id_rsa          id_rsa.pub
$ cp id_rsa.pub authorized_keys [←]
dsaの場合:
$ cd ~/.ssh [←]
$ ls id_dsa* [←]
id_dsa          id_dsa.pub
$ cp id_dsa.pub authorized_keys [←]
$ []

authorized_keys を作成する前には、ssh で接続する時に次のように 「パスワード Password 」が聞かれる。

$ ssh cosmos10 [←]
Password:
authorized_keys を作成した後には、ssh で接続する時に次のように 「パスフレーズ passphrase」が聞かれる。
$ ssh cosmos10 [←]
Enter passphrase for key '/home/prof/yas/.ssh/id_rsa': 
これに対して、ssh-keygen でパスフレーズを打ち込む。(公開鍵による認証に 失敗すると、通常のパスワードによる認証に落ちるのが一般的である。システ ムによっては、認証方式に制限を加えていることがある。)

★練習問題(1121) ssh-agentの利用

以下のようにして、ssh-agent を利用してなさい。
$ ssh-agent tcsh [←]
$ printenv SSH_AUTH_SOCK [←]
$ ssh-add -l [←]
		ssh-agentが有効なこと確認
$ ssh-add [←]
                鍵の登録
$ ssh-add -l [←]
	        鍵が登録されたことの確認
$ ssh remote1 [←]
$ ssh remote2 [←]
$ ssh remote3 [←]
                利用
$ exit [←]
                ssh-agentが有効な tcsh の終了
$ []
ssh-agent にコマンド(上の例ではtcsh)を与える代りに、csh の環境変数を設 定させるコマンドを出力させ、eval で実行する方法もある。
$ eval `ssh-agent` [←]
$ printenv SSH_AUTH_SOCK [←]
<以下同じ>
ただし、この方法ではログアウトした時に ssh-agent のプロセスが残ること がある。そうならないように ログアウト時に実行させるプログ ラムで殺す(ssh-agent -k)ようにする。

★練習問題(1122) MacOSX キーチェーンアクセス(Keychain Access.app)

キーチェーンアクセスは、MacOSX に付属している、パスワード等の機密情報を 暗号化して保存するプログラムである。 暗号化には、利用者が指定したパスワードを鍵として使う。 標準では、次のファイルに、暗号化された機密情報を保存している。 このファイルが存在することを ls -l や Finder で確認しなさい。

「キーチェーンアクセス.app」のパスワードとログインの時に打つパスワード を同じにしていると、自動的に機密データの暗号を解いてアプリケーションに 渡す機能がある。注意すべきことは、ログイン・パスワードを変更しても、 「キーチェーンアクセス.app」のパスワードは変更されないことである。 活用するには、ログイン・パスワードを変更したら、 「キーチェーンアクセス.app」のパスワードも変更するとよい。

何も使っていなければ、「キーチェーンアクセス.app」のパスワードは、初期 パスワードのままになっている。重要な情報を保存していなければ、上記のファ イルを削除し、ログインしなおすことで、リセットするとよい。

次のような MacOSX のアプリケーションが、「キーチェーンアクセス.app」を 使って機密情報を暗号化して保存することができる。

「キーチェーンアクセス.app」を実行して、どのような機密データが保持され てるかを見てみなさい。

★練習問題(1123) ディスクユーティリティ.appによるディスクイメージの作成

MacOSX の「ディスクユーティリティ.app (Disk Utility.app) 」は、ハードディス クを管理するためのアプリケーションである。通常は、実際に対して「フォー マット」という作業を行い、ハードディスクを分割して「ファイル」や「ディ レクトリ」を通じてアクセス可能にする。

急に電源が落ちた時などには、ハードディスクの状態が「ファイル」や「ディ レクトリ」としては正常にアクセスできなくなることがある。「ディスクユー ティリティ.app」は、このような時に不整合を修復する 機能がある。コンピュータの電源を入れた時に自動的に実行されることもある。

「ディスクユーティリティ.app」を使うと、1つの大きなファイルを、1個の ハードディスクのように扱うことができる。このように、ディスクに見立てる ことができるデータのことを「ディスク・イメージ」という。「ディスクユー ティリティ.app」を使うと、ディスク・イメージをファイルに保存することが でき、また、ファイルに保存されたディスク・イメージを、「マウント」とい う操作を行い、通常のアプリケーションからファイルとディレクトリの集合と してアクセス可能にする。

MacOSX では、ディスク・イメージを含むファイルの拡張子は、「.dmg」である。

自分で CD-R や DVD-R にファイルを保存する時には、まず、 「ディスクユーティリティ.app」を使って ディスク・イメージをファイルに保存する方法が一般的である。

次のような操作を行い、ディスクイメージを作成し、利用してみなさい。

★練習問題(1124) ディスクユーティリティ.appによる暗号化されたディスクイメージの作成

MacOSX の「ディスクユーティリティ.app (Disk Utility.app) 」を 使って、暗号化されたディスク・イメージを作成しなさい。 暗号化の方式としては、AES が使われることを確認しなさい。

★練習問題(1125) openssl コマンド

openssl コマンドには、次のような機能が含まれている。 man コマンドを用いてこれらの機能を調べなさい。 また、これらの機能を実行してみなさい。

★練習問題(1126) gpg2 コマンド

gpg2 コマンドを使ってみなさい。

★練習問題(1127) openssl sha1コマンド

次の手順で、SHA-1 によりハッシュ値を計算してみなさい。 引数として、sha1 の代わり md5 と指定して、MD5 によるハッシュ値を計算し なさい。

★練習問題(1128) 出席ボタンのIPアドレス表示

講義のトップ・ページ内にある出席ボタン を押しなさい。それにどのような IP アドレスが表示されるかを調べなさい。 また、過去の出席状況を調べなさい。ここで表示される IP アドレスからどの ようなことがわかるかを考察しなさい。

★練習問題(1129) PuTTY、その他のプログラムの利用

手引き 9.1節 参照。 PuTTYやTera Termは、Windows で動作するssh のクライアントである。これら のプログラム、または、類似のプログラムを用いて、coins の外部からcoins 内のコンピュータに接続しなさい。

★練習問題(1130) VPNの利用

VPN (Virtual Private Network) とは、 インターネットという誰もがアクセス可能なネットワークを利用しながら、 事実上専用線(private network) を使っているように安全な通信路を 提供する事実である。VPN を実現するためには、暗号化の技術が使われている。

coins でも、VPN 機能を提供している。 手引き 9.3節 参照。 この機能を利用しなさい。

★練習問題(1131) Thunderbird のディジタル署名と暗号化機能

Thunderbird では、ディジタル署名の機能と暗号化機能を利用することが出来る。 これを動作させてみなさい。

■課題11 暗号、SSH、Webサーバ・アクセスログ

以下の問題、および、回答をテキスト・ファイルに記述し、 レポート提出ページから提出しなさい。

(1) ssh コマンドを使って www (www.coins.tsukuba.ac.jp) にログインしなさ い。次のコマンドを www で実行するとで、ssh にログインできたことを示しな さい。レポートには、www での次のコマンドの実行結果を含めなさい。

(2) 練習問題(1106) を行いなさい。 Web サーバが生成しているアクセスログから、自分自身がアクセスした記録を 抜き出しなさい。それには、まず自分が利用しているコンピュータの IP アド レスを調べ、アクセスログからその IP アドレスが含まれている行を抜き出す とよい。アクセスログのうち、数行をレポートに含めなさい。grep コマンドを 使っても使わなくてもよい。

(3) ssh で最初にあるホストに接続する時に、次のような表示がなされることがある。

RSA key fingerprint is 44:08:af:d4:56:7d:b9:20:25:d2:dd:0c:03:27:a4:d4.
この表示の意味を、今日の授業内容の用語を用いて簡単に説明しなさい。 2回目以降は、この表示がなされない。その理由を簡単に説明しなさい。

(4) 内部的にWWWロボットが利用されていると思われる検索エンジンを利用しな さい。10件以下の Web ページがヒットするような、キーワード(できるだけ少 なく)の組み合わせを探しなさい。この時、AND演算、OR演算、NOT演算を利用し てよい。レポートには、利用した検索エンジンの URL、および、キーワードと 演算子による式を書きなさい。

(5) 手引きの次の部分を読みなさい。

そして次の次の項目について簡単に説明しなさい。

(6) [加点] 選択課題。次の課題を1つ以上行いなさい。

(6a) [加点] sshコマンド、PuTTY、Tera Term、その他の ssh クライアントを 用いて、「自宅」からcoins のコンピュータに接続しなさい。そのことを示す ために、レポートには、どのようなプログラムを使ったのか、ログイン後のコ マンドの実行結果等を含めなさい。

(6b) [加点] sshコマンド、PuTTY、Tera Term、その他の ssh クライアントを 用いて「公開鍵を用いた認証」により、coins のコンピュータに接続しなさい。 そのことを示すために、レポートには、どのようなプログラムを使ったのか、 公開鍵の生成手順、クライアント側の設定、サーバ側の設定を含めなさい。

(6c) [加点] ssh-agent を利用して、パスワード入力なしにリモート・ログイ ンできるようにしなさい。そのことを示すために、レポートには、次のコマン ドの実行結果を含めなさい。

(6d) [加点] 自宅から VPN 機能を使って coins のコンピュータに接続しなさ い。そのことを示すために、レポートには、どのような設定を行ったか、ログ インしたコンピュータの名前、who am i コマンドの結果(VPNを使った時と使わ なかった時の比較)等を含めなさい。

(7) [加点] 選択課題。次の課題を1つ以上行いなさい。

(7a) [加点] openssl コマンド、または、gpg2 コマンドを用いて、ファイルの 暗号化と復号化を行いなさい。ディジタル署名の付加、および、検証を行いな さい。それらが実現されていることがわかるように、シェルとの対話をレポー トに含めなさい。

(7b) [加点] 「ディスクユーティリティ.app」を用いて暗号化されていないディ スク・イメージと暗号化されてたディスク・イメージの2つを作成し、次のよ うにして暗号化の効果を確認しなさい。

  1. それぞれに、同じ内容を含むテキスト・ファイルをコピーする。
  2. ディスク・イメージをアンマウントする。
  3. ディスク・イメージを含むファイルに対して、
     $ strings ディスクイメージを含むファイル | grep 文字列
    
    ここで「文字列」には、1 でコピーしたテキスト・ファイル の内容を指定する。コマンドラインからは漢字を打つことが難しいので、 「文字列」には、ASCIIによる簡単なものを指定しなさい。

    この結果、暗号化されていないものにはその文字列が表示され、暗号化されて いるものには表示されないことを示しなさい。

strings コマンドは、文字列データと文字列以外のデータが混在したファイル から文字列だけを抜き出すコマンドである。ただし、文字列としては、ASCII 文字列しか扱えず、また、完全でもない。strings コマンドで表示されなかった からといって、文字列が暗号化されているとは厳密には言えない。
Last updated: 2011/06/20 16:53:31
Yasushi Shinjo / <yas@is.tsukuba.ac.jp>