2010年04月23日 情報科学類 コンピュータリテラシ 筑波大学 システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻, 電子・情報工学系 新城 靖 <yas@is.tsukuba.ac.jp>
このページは、次の URL にあります。
http://www.coins.tsukuba.ac.jp/~yas/coins/literacy-2010/2010-04-23
あるいは、次のページから手繰っていくこともできます。
http://www.coins.tsukuba.ac.jp/~yas/
http://www.cs.tsukuba.ac.jp/~yas/
ファイルを Finder で無闇にダブルクリックしないこと。テキスト・ファイル を表示するには、iTerm の中で cat コマンド、lv コマンド、Emacs 等を使い なさい。コンピュータ・リテラシの課題は、これらのコマンドを使いこなせる ようになることである。練習すること。
文書(レポート)を書く時には、読む人の立場になって書く。
レポートには次のような考え方でよい題名を付ける。
F1, F2, ..., 等のキーは、ファンクション・キーと呼ばれ、よく使う機能を簡 単に実行できるために使われる。iMac のキーボードにも、F1, F2, ..., と印 刷されたキーがあるが、そのままでは動作しない。これらをファンクション・ キーとして使うためには、キーボードの下段にある Fn というキーを押しなが らF1, F2, ..., を押す。
Emacs には、iTerm の中で動くもの(シェルから emacs コマンドで実行するも の)と、Dockからクリックで実行するものがある。
電子メール は、電話や(普通の)手紙と同じように、個人と個人の間で情報を交換するた めの仕組み。
電子メールを読み書きするプログラムは、 メール・リーダ(mail reader) または、 メーラ(mailer) という。 「リーダ(reader)」といっても、書くこともできる。
種類
電子メールを使う上で重要な考え方
1通の電子メールは、次のような形式を持っているテキスト(文字データ)。
From: Shiro Yagi <shiro@is.tsukuba.ac.jp>
To: kuro@cc.tsukuba.ac.jp
cc: shiro@is.tsukuba.ac.jp
Subject: Visit my WWW page
Date: Mon, 19 Jan 2010 23:42:25 +0900
Message-Id: <201001231442.k0NEgPTw003900@maple.is.tsukuba.ac.jp>
こんにちは。白やぎです。
WWWページを作ったので見てください。URL は、
http://www.is.tsukuba.ac.jp/~shiro/
です。
♪♪ 白やぎ
♪♪ http://www.is.tsukuba.ac.jp/~shiro/
多くのメール・リーダでは、1通の電子メールのことを メッセージ(message) と呼んでいる。
電子メールのテキストは、大きくヘッダと本文に分かれる。
From:
To:
Cc:
Date:
Subject:
From:
には、差出人の、
To:
と Cc:
には、受取人の電子メール・アドレスが置かれる。
電子メール・アドレス(e-mail address)
とは、電子メールを届ける時に配送プログラムが使う記号。
現在よく使われている形式:
user@domain
「@
」より前の部分は、個人を特定するための情報。
「@
」より後ろの部分は、
電子メールをどのコンピュータに届ければいいかを示している。
ドメイン形式のホスト名が使われる。
To:
: とCc:
: は、受取人の電子メール・アドレスが置かれる。どち
らにアドレスを書いても同じように届けらるが、To:
は、本来の宛先を
書き、Cc:
にはついでに連絡したい宛先を書く習慣になっている。Cc は、
Carbon Copy に由来する。
Date:
は、電子メールが出された日付と時刻。
Subject:
は、題名(題目、表題、件名)。
「件名」という日本語は存在しなかった。
電子メールの本文は、普通のテキストだが、1行の長さがだいたい漢字で30 文字〜35文字、英語のアルファベットで60文字〜70文字になるように、 折り返されている(改行が入っている)。このようにしておくと、引用という 機能を利用する時に便利。
電子メールで 引用 とは、返事などを書いたときに何に対する返事か分かりやすいように他の人の 書いた電子メールの一部を自分の電子メールに含めること。
本文の末尾には、 署名 ( シグニチャ(signature) ) が現われることが多い(付けなくてよい)。
署名とは、普通の手紙の末尾に署名をするのと同じように、末 尾に自分の名前や自分独自の記号を書く。署名は、簡潔で短いものが好まれて いる。1つの目安としては、「4行以内」。
電子メールのメッセージの型式は、RFC822 (その改訂版のRFC2822) で定めら れている。
電子メールは、「 メール・ボックス 」と呼ばれている ファイル に保存される。メール・ボックスは、プログラムによっては、 フォルダ(folder) や トレイ(tray) と呼ばれることもある。 メール・ボックスには、次の2種類がある。
/var/spool/mail/user
や
/var/mail/user
という名前のファイル。
(coins では、メールサーバ(mail.coins.tsukuba.ac.jp)の /var/spool/imap/user/user
)
メール・リーダが表示するのは、多くの場合、後者のメール・ボックスである。 新しく届いたメールを読む時には、前者から後者へメールを移す必要がある 場合がある。 この作業を、 「 (電子メールを)取り込む(incorporate) 」とう。
配送プログラム用メール・ボックスは、1つのサーバで1人で1つだけだが、 ユーザ用メール・ボックスは、必要に応じていくつか作ることができる。
メール・リーダで電子メールを発信する時にも、SMTP という仕組みが使われることがある。
POP では、配送プログラム用メール・ボックスを読み書きする機能がある。 IMAP では、それに加えて、複数のユーザ用メール・ボックスを扱えるように なっている。
SMTPによるメールの送信・転送、POP、IMAPによるメール・ボックスのアクセス
電子メールで仕事をしていると、単にメールを出すだけではなく、受け取った
電子メールに対して返事を出すことが多い。そのため、メール・リー
ダでは、返事を出す作業を簡単に行うことができるようになっている。返事
を出すことを
リプライ
するともいう。返事を出す時には、To:
が自動的に作られるだけで
なく、Subject:
も同じもの、あるいは、にRe:
が付い
たものが自動的に付けられる。
電子メールで返事を出す時には、相手のメールの内容を引用することがある。
この時、相手が書いた部分と自分が書いた部分を区別するために、相手
が書いた部分の行の先頭には、引用のための記号を付ける習慣がある。こ
の記号には、「>
」や 「>>
」、
タブがよく使われる。
受け取ったメールを、別の人に送ることを、 転送(forward) という。 多くのメール・リーダでは、手作業で転送できるようになっている。
複数のメール・アドレスがある人は、あるアドレスに届いた「全て」のメールを、 別のメール・アドレスの所に自動的に転送できる場合がある。 については、
メールの数が増えてきたら
多くのメール・リーダは、長いアドレスや複数のアドレスを短い 別名(alias) で参照できるようになっている。 別名には、個人で付けるものの他に、システム全体で付けるものがある。
From: Shiro Yagi <shiro@is.tsukuba.ac.jp>
To: s1012345@coins.tsukuba.ac.jp
Subject: Re: [coins-computer-literacy-a] Assignment-3, e-mail reply (2010012345)
Date: Fri, 23 Apr 2010 16:15:25 +0900
Message-Id: <201004251615.k0NEgPTw003900@azalea20.coins.tsukuba.ac.jp>
コンピュータ・リテラシTAの○○さん
こんにちは。コンピュータ・リテラシの授業を受けている白やぎです。
4月24日に出された課題の電子メールを提出します。
> この行と次の行だけを引用してください。返信には、このメールを
> 書いた日付と時刻を入れてください。
2010年4月23日 15:10です。
よろしくお願いします。
白やぎ
C-SPC
または C-@
で設定する。
うまくいくと、ミニバッファに Mark set と表示される。
カーソルを動かしても移動しない。
次に新しいマークをセットするまで有効。
C-w
)
M-w
または Esc w)
indent-region
)
Emacs の得意技。インクリメンタル・サーチ。 C-s, C-r の後、RET で通常の検索になる。
M-x query-replace (M-%, Esc %) が便利。
M-q runs the command fill-paragraph which is an interactive compiled Lisp function in `textmodes/fill'. It is bound to M-q.M-q または Esc q で、標準で 70 以内になるように次のように整える。
M-q runs the command fill-paragraph which is an interactive compiled Lisp function in `textmodes/fill'. It is bound to M-q.整える範囲は、上下に空行で区切られた範囲である。長過ぎる行は、改行が入 れられる。英単語の場合には、途中で改行することはない。日本語の場合には、 標準では、35文字で改行される。 文字数を変えたい場合には、set-fill-column を使う。
C-u 数 C-x fdnl
Thunderbird で電子メールを 読み書きできるように設定しなさい。 手引き(4.2節)には、間違いが多い。 コンピューティング環境にある説明 に説明がある。
Thunderbird を実行するには、Dock 上のアイコンをシングルクリックする。 あ るいは、シェル(iTerm)に対して次のようなコマンドを実行する。
$ thunderbird
最初に実行した時(あるいは「メールアカウントを追加」の操作を行った時)は、
次のような画面が現れる。
図? Thunderbirdの設定画面。名前、メールアドレス、パスワードの打ち込み。(クリックで拡大)
@coins.tsukuba.ac.jp
」
図? Thunderbirdの設定画面。受信サーバ、送信サーバ、IMAP、SSL/TSLの設定。(クリックで拡大)
これに対して、次のように打ち込む。lilac-nwd.coins.tsukuba.ac.jp
」
lilac-nwc.coins.tsukuba.ac.jp
」 (nwD ではなくて nwC )
IMAP
」を選ぶ。
SSL/TSL」を選ぶ。
- SMTP の右の「接続の保護なし」の部分をクリックし、メニューを表示し、「
SSL/TSL
」を選ぶ。
- 最後に、「接続テスト」ボタンを押す。
図? Thunderbirdの設定画面。受信サーバ、送信サーバ、IMAP、SSL/TSLの設定。確認。(クリックで拡大)
この画面では、以下の点を確認する。lilac-nwd.coins.tsukuba.ac.jp
」、
IMAP、993、SSL/TSLになっていることを確認する。
lilac-nwc.coins.tsukuba.ac.jp
」、
SMTP、465、SSL/TSLになっていることを確認する。
図? Thunderbirdの設定画面。デフォルトクライアントの確認。(クリックで拡大)
このような表示がなされたら、以下のことを行う。設定が完了すると、Thundirbird は、「受信トレイ」を表示しようとする。こ れは、 「配送プログラム用のメールボックス」である。 「受信トレイ」を表示するためには、ユーザ名とパスワードが必要になる。こ の時には、次のような表示がなされる。
図? Thunderbirdの設定画面。デフォルトクライアントの確認。(クリックで拡大)
これに対して、以下のことを行う。@lilac-nwd.coins.tsukuba.ac.jp
」となっていることを確認する。
ログイン名@coins.tsukuba.ac.jp
)
の下の「編集とアドレス入力」をクリックする。
図? Thunderbirdの設定画面。アカウント設定>編集とアドレス入力。(クリックで拡大)
IMAPサーバ上の名前 | Thunderbirdの表示 |
---|---|
Sent | 送信済みトレイ |
Drafts | 下書き |
Trash | ゴミ箱 |
@coins.tsukuba.ac.jp
」)、パスワード(ログイン)を打ち込む。
lilac-nwd.coins.tsukuba.ac.jp
」、
ユーザ名は、ログイン名、
パスワードとしては、ログインパスワードを打ち込む。
「続ける」ボタンを押しても進まない時には、キャンセルして続ける。
lilac-nwc.coins.tsukuba.ac.jp
」と打つ。
「説明」には、「coins smtp」等とうつ。
「認証を使用」のチェックを入れる。ユーザ名とパスワードを打つ。
最後に「続ける」ボタンを押す。
@coins.tsukuba.ac.jp
」、
ユーザ名が「ログイン名 」
lilac-nwd.coins.tsukuba.ac.jp
」、
「SSL:」が「入」。
lilac-nwc.coins.tsukuba.ac.jp
」、
「SSL:」が「入」。
図? MacOSX Mail.app IMAP+SSL アカウントの設定。(クリックで拡大)
なお、coins の環境では、UCB Mail コマンドでメールを受信(受け取ったメー ルの表示)をすることはできない。
キー | 説明 |
---|---|
C-x C-s | バッファを保存。 |
C-x C-c | Emacsを終了。 |
C-x C-f | ファイルを探して編集、または、新規作成。 |
C-p | カーソルを移動(previous) |
C-n | カーソルを移動(next) |
C-f | カーソルを移動(forward) |
C-b | カーソルを移動(backward) |
Delete | 左の文字の削除 |
C-k | カーソルの位置から行末まで削除。行末の場合は、改行の削除。 |
C-g | 何か困った時には、何度か打つ。 |
C-_ または C-x u | 取り消し(undo) |
C-SPC または C-@ | 領域(region)の先頭を決める(マーク) |
C-w | 領域をカット |
ESC w | 領域をコピー |
C-y | 領域をペースト |
C-SPC
または C-@
で
現在のカーソルの位置にマークを設定する。
うまくいくと、ミニバッファに Mark set と表示される。
C-w
でカットする。
C-y
でペーストする。
C-y
でペーストする。(複数回ペーストできる)
C-w
でカットする代わりに、M-w
または Esc w
を使う
と、領域(リージョン)がコピーされる。このことを確認しなさい。
C-x C-f
でファイルを開く時
C-x C-r
でファイルを読み込み専用で開く時
M-x
または Esc x で名前付きの関数を実行する時
M-x help RET f
で関数の説明を表示する時
i
は、C-i
ではなく、ただの i
である。
M-q または Esc q で、折返し整列の機能を確認しなさい。
C-u 数 C-x f
Emacs 上で動作するメール・リーダ Mew を 使って、メールの読み書きを行ってみなさい。 ただし、手引きとは次の点が異なる。
%
」から始まる。
%from.addr
」のようなフォルダを使おうとする。
レポート提出ページの指示に従い、Emacs でテキス ト・ファイルを作成しなさい。それを、そのページの指示に従い、提出しなさ い。以下の(1) では、Emacs の機能C-x i (insert-file) が便利であ る。行をきれいに折り返すには、Emacs の機能 M-q または Esc q (fill-paragraph) が便利である。
(1) TA からのメールを読みなさい。それに対して、Thunderbird の返信機能を使っ て返事を出しなさい。
TAからの返事を、From:, Date:, Subject: が分かる形でファイルに保存しなさ い。それには、たとえば「ファイル」メニューから「別名で保存」を選択する 方法がある。それを、Emacs の C-x i等を使ってレポートに含めなさい。
レポートには、電子メールとしての形状を崩さない形で、かつ、不要な部分は 削除して読みやすい形にしなさい。過度の編集はさけること。たとえば、不要 部分の行単位の削除はよいが、内容の編集、行の結合、改行の挿入等は行って はならない。
(2) このページの電子メールに関する説明、および、 電子メールに関する知っておきたいことを読み、 大事なことを10行-15行でまとめなさい。この時、Emacs の fill-paragraph (M-q, Esc q) の機能を使って、折返し整列えをしなさい。
(3) まず次のテキストを、コピー&ペースト機能を使って、レポートのテキス トファイルをコピーしなさい。そして、Emacs の query-replace (M-%) の機能 を使って、"Emacs" という文字列を自分の学籍番号に変えなさい。
---------------------------------------------------------------------- GNU Emacs is a version of Emacs, written by the author of the original (PDP-10) Emacs, Richard Stallman. The primary documentation of GNU Emacs is in the GNU Emacs Manual, which you can read on line using Info, a subsystem of Emacs. Please look there for complete and up-to-date documentation. This man page is updated only when someone volunteers to do so; the Emacs maintainers' priority goal is to minimize the amount of time this man page takes away from other more useful projects. The user functionality of GNU Emacs encompasses everything other Emacs editors do, and it is easily extensible since its editing commands are written in Lisp. ----------------------------------------------------------------------
(4) まず次のテキストを、コピー&ペースト機能を使って、レポートのテキス トファイルをコピーしなさい。Emacs のカット&ペーストの機能を使って、次 の -f の説明と -l の説明の順番を行番号ごと入れ替えなさい。(1-2行と3-4行 を入れ替える。)
---------------------------------------------------------------------- 1: -l file Load the lisp code in the file file. 2: 3: -f function 4: Execute the lisp function function. ----------------------------------------------------------------------(5) The Unix Super Text の次の部分を読みなさい。
(6) [加点] 3種類以上のメール・リーダを実行して、比較しなさい。それぞれ の特徴、利点、および、問題点を述べなさい。
(7) [加点] Emacs のチュートリアルを「英語」で実施しなさい。単純に実行す ると日本語のチュートリアルが実行される。それを避けるためは、次のような キー操作を行いなさい。
C-u M-x help リターン t English リターン
次の情報をレポートに含めなさい。