インターネットと著作権

					2007年05月18日
情報科学類 コンピュータリテラシ

                                       筑波大学 システム情報工学研究科 
                                       コンピュータサイエンス専攻, 電子・情報工学系
                                       新城 靖
                                       <yas@is.tsukuba.ac.jp>

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■連絡事項

■インターネット

インターネットの定義。 なぜ事務室にコピー機があるのか。 情報のコピーにどんな意義があるのか。

◆小文字のan internet

ネットワークのネットワーク、つまり、いくつかのネットワー クが ルータ(router)というコンピュータを使って 相互接続されたもである。

ホスト、LAN、ルータ

最小のinternet(小文字)

ネットワーク とは、それぞれ独立した方針で運営されているコンピュータ・ネットワーク である。

インターネットではないコンピュータ・ネットワーク

LAN は、狭い範囲のコンピュータを接続するためのネットワーク。

◆大文字のThe Internet

固有名詞。 世界最大のインターネット(小文字)は、インターネット(大文字)と呼ばれる。

固有名詞としてのインターネットの意味

  1. TCP/IP という共通の通信プロトコルにもとづくネットワークのネットワーク
  2. このネットワークを活用し発展させる人々のコミュニティー
  3. このネットワークを通じて到達できる資源の集積

◆インターネットの始まり

現在のインターネットは、 ARPANET という、1960年代の終りにアメリカ国防省の資金による研究プロジェクトの結 果作られたネットワークが元になっている。ARPANET の研究成果の1つとし て、TCP/IP という通信プロトコルがある。
プロトコル(protocol), 通信プロトコル(communication protocol)
通信を行う機器、コンピュータ、あるいは、プログラムの間でどのよう な手順で行うかを定めた規則

◆電子メール到達可能

インターネットという言葉は、TCP/IP では到達できなくても、 何らかの方法で電子メールを交換できる範囲を意味することもある。

電子メールが、インターネットの「応用」で最も重要。

方法には、UUCP (Unix-to-Unix system copy, ファイルをダイアルアップでコ ピーする)などがある。

◆インターネットと電話

通信量で見た場合、 1994年まで世界最大のネットワークは、電話であった。 1995年では、インターネット上を流れるデータの通信量が、電話による音 声の通信量を超えた。

ネットワークとして見た時の電話の特徴

  1. つながっている機器は、電話機(音声と電気信号を変換する機械)である。
  2. ネットワークを流れるデータは、音声のみである。
  3. 電話には、電話番号が振られている。
  4. どの電話もどの電話とも接続可能である(例外あり)。
  5. 電話を掛ける時、電話を使う人は、電話番号を指定するだけでよい。 電話を使う人は、途中の通信を中継している交換機の存在を気にしなくてもよい。

インターネットの特徴

  1. つながっている機器は、コンピュータである。
  2. ネットワークを流れるデータは、コンピュータで扱えるデータ(ビットの並び、2進数)である。
  3. コンピュータにはIPアドレスと呼ばれる番号がふられている。
  4. どのコンピュータもどのコンピュータとも接続可能である(例外あり)。
  5. 通信をするとき、使う人は、IPアドレスを指定するだけでよい。 使う人は、途中の通信を中継しているコンピュータ(ルータ)の存在を気にしなくてもよい。

電話にはない、インターネットの特徴は、末端のコンピュータの力を借りて、 さまざまなサービスが提供できることにある。

◆インターネットへの路

問題:あるコンピュータをインターネットに繋ぐにはどうすればよいか。

答え:既にインターネットに繋がっている所になんとかしてつなぐ。

◆アクセスライン

自宅から電話局、または、インターネット接続サービス・プロバタイダまでの 回線を、アクセスラインとよぶ。 アクセスラインの先は、インターネット接続サービス・プロバイダ。

◆インターネット接続サービス・プロバイダ(Internet Service Provider, Network Service Provider)

NTTと同じような通信会社に分類される。ケーブルテレビ局などをのぞいて、 自前で通信媒体を持っている所は少なく、NTTなどから専用線を借りてイン ターネット接続サービスを提供している。

法律用語: 電気通信事業法

第一種通信事業者
自前で回線設備をもっている
第二種通信事業者
第一種通信事業者から回線を借りて通信サービスを提供する

◆接続形態

インターネット接続サービス・プロバイダまでの接続

図? インターネット接続サービス・プロバタイダまでの接続方法

図? インターネット接続サービス・プロバタイダまでの接続方法

NTT Flets 方式 インターネット接続サービス・プロバイダを契約しなくても県内は接続できる。

2007年5月17日の障害。NTT 内のルータで機器故障に伴い、自動的に経路の書き 換えが行われたが、書き換えが多すぎてルータの処理能力を超えた。 http://www.ntt-east.co.jp/release/0705/070516b.html

◆インターネットの基幹(日本国内)

インターネット接続サービス・プロバイダより先は、どうなっているか。

インターネット接続サービス・プロバイダ間も、仕組みとしては、ルータで接 続されている。 ルータ間の接続には、NTTなどから借りた専用線(銅線、光)が使われる。

図? インターネット接続サービス・プロバタイダ間の接続、専用線とルータ

図? インターネット接続サービス・プロバタイダ間の接続

インターネット接続サービス・プロバイダが直接相互接続している場合もあるが、 ある場所に置かれた特別なルータで相互接続されている場合もある。 この相互接続の場所を NSPIXP (Network Service Provider Inter eXchange Pint)CIX (Commercial Internet eXchange) とう。

世界のインターネットの中心は、アメリカである。世界各国は、基本的には、 アメリカのインターネットのどこかに接続する。 アメリカ以外の2国間の通信も、アメリカ経由になることが多い。

国内のインターネット接続サービス・プロバイダのいくつかは、独自の国際専 用回線をアメリカに向けて引いている。

アジアやヨーロッパにもアメリカを通らずに通信する回線も増えて来ている。

■インターネットで使えるサービス

インターネットで現在よく利用されているサービス(アプリケーション、 応用)には、次のようなものがある。

  1. 電子メール
  2. ネットワーク・ニュース
  3. ファイル転送(ftp)
  4. WWW (The World Wide Web)
  5. 遠隔ログイン。文字端末で別のコンピュータを利用する。
  6. 文字、音声、動画像による1対1の対話(インスタント・メッセンジャ)   
  7. 文字、音声、動画像による多地点間を結ぶ会議(遠隔会議、teleconference)   
  8. (文字、)音声、動画像の配信(ストリーミング)

「応用」とは、通信の専門用語。

■通信速度の感覚

◆情報量の感覚(2007年4月20日)

◆通信速度の単位

毎秒何ビット、bps、bit per second、bit/second
1秒間に何ビット送れるか
Bytpe/second、毎秒何バイト
1秒間に何バイトビット送れるか。 1 Byte/sec == 8 bps。
ややこしいことに、データ量はバイトで言うことが多く、通信速度は、「ビッ ト/秒」が使われることが多い。(1本の線で1ビットずつ送る感覚。)

情報量の単位と同様に、通信速度にも次のような係数がことがある。

k (キロ、ケイ)
1024 か 1000
M (メガ)
k の 1024 倍か 1000 倍。1,000,000 くらい。
G (ギガ)
M の 1024 倍か 1000 倍。1,000,000,000 くらい。
T (テラ)
G の 1024 倍か 1000 倍。1,000,000,000,000 くらい。

◆通信速度の感覚

10 k bps
よく普及している携帯電話で得られる速度
32 k bps - 56 k bps
電話回線経由で接続した時に得られる速度。
32 k bps または 64 k bps
PHS (Personal Handy Phone) で得られる速度
64 k bps
ISDN (電話回線と同じ電線で直接ディジタル信号を流す時)
100 k bps
MP3 などで圧縮した音楽を流す時に必要な速度。
128 k bps
ISDN で2回線同時に使った時。
1500 k bps (1.5 M bps)
ISDN (光ファイバでディジタル信号を流す時)
1500 k bps (1.5 M bps)
音楽用 CD を圧縮しないでまま流す時に必要な速度。 (1倍速のCDの速度。)
1500 k bps (1.5 M bps)
ケーブルテレビや ADSL という方式でインターネット接続を した時に得られる速度。
5000 k bps (5 M bps)
DVD-Video を再生している時にディスクから読み出されている データの速度。
10 M bps, 100 M bps, 1000 M bps (1 G bps), 10 G bps
イーサネット(LANでよく使われている)

実習室のパソコンは、1G bps で学内LANに接続されている。

学内LANの基幹部分は、1G bps - 16G bps で接続されている。

学内LANからSINETへの出口は、3 G bps。その先は Super SINET (2007年4月) −> SINET3 (2007年5月)。

■基本的な考え方

◆ホストとIPアドレス

ホスト
ネットワークに接続されているコンピュータ
ホスト名
ホストの名前(文字列)
IPアドレス
ホストを区別するための番号。 現在広く使われている IPv4 (IP version 4) では、32ビット(4バイト)。 普及が待たれる IPv6 (IP version 6) では、128ビット(16バイト)。

◆IPアドレスの表記(IPv4)

例: これは、10進数でいくつになるかを計算したい時には、次のようにして計算 する。

◆IPアドレスの表記(IPv6)

IPv6 の IP アドレスを表記する場合、 128 ビットを 8 ビットずつに区切り、 それぞれを 16 進数で表記する。 区切り 例:

◆TCP、UDP、ポート番号

インターネットで使われている通信方式は、主に次の2つ
TCP
Transmission Control Protocol World Wide Web、電子メール、 遠隔ログインなどの多くのサービスで利用されている。 通信データは連続的。 通信する前に、まず、電話と同様に「接続」を行う。
UDP
User Datagram Protocol DNS (以下参照)や動画像、音声の配信などで使われる。 通信データは断片的。通信する前に、「接続」は不要で、いきなり IP アドレ スとポート番号を指定して送信する。
TCP や UDP で通信を行う時には、IP アドレスの他にポート番号(16ビットの整 数)が必要になる。ポート番号は、1台のホストで複数のサービスを動作させる 時に区別するために使われる。 よく使われるアプリケーション( サービス) には、あらかじめどの番号を使う かが決めらている。これを well-knownポート番号(well-known port number) という。

表? ポート番号とサービスの例

ポート番号 プロトコルの名前 目的
21 FTP(File Transfer Protocol) ファイル転送
22 ssh 遠隔ログイン(ssh)
23 Telnet 遠隔ログイン(telnet)
25 SMTP(Simple Mail Transfer Protocol) 電子メールの転送
53 DNS(Domain Name System) インターネットにおける名前サービス
80 HTTP(HyperText Transfer Protocol) WWWのデータ転送
110 POP(Post Office Protocol Version 3) 電子メールの受信
119 NNTP(Network News Transfer Protocol) ネットワーク・ニュースの記事の転送
143 IMAP(Internet Mail Access Protocol) 電子メールの受信・保管
443 HTTPS(Secure HTTP) WWWのデータ転送(SSLによる暗号通信)

The Unix Super Text 23.4 参照

◆クライアントとサーバ

インターネットで通信をプログラムを利用する時、 「クライアント」と「サーバ」という分けて考えることが多い。

例:

コンピュータが1台しかない場合、プログラムは1つでよい。通信をする場合 には、プログラム(コンピュータ)が2つになる。そのうちの1つのプログラ ム(またはコンピュータ)を、「クライアント」、もう1つを「サーバ」とい う。

◆クライアントとサーバに分けて考える意義

混沌とした通信を「構造化」してわかりやすくする。

図? プロセス5つ、構造化されていない通信パタン

図? 構造化されていないもの

図? プロセス5つ、構造化された通信パタン

図? 構造化されたもの

◆サービスの授受

元々の意味
クライアント(client)
サービスを受ける方、顧客
サーバ(server)
サービス(service)を提供する方

図? サービスの授受によるクライアントとサーバの定義

図? サービスの授受によるクライアントとサーバの定義

◆利用者数

サービスを提供する方は、1つのプログラム(コンピュータ)で複数の利用者 の面倒をみる。その結果、1台のサーバに複数のクライアントがつながる。

クライアント
一人で使うもの
サーバ
複数人で共有するもの

図? 複数のクライアントによるサーバの共有

図? 複数のクライアントによるサーバの共有

■DNS(Domain Name System)

通信相手の識別方法 人間が使う名前を IP アドレスに変換して使う。

◆DNS

インターネットで使われている名前サービス。 基本的には、ホストの名前を IP アドレスに変換する。

DNS では、膨大な数のホスト名を含む名前空間を階層的にドメイン(領域)に 分割して管理している。この空間の構造は、木構造とも呼ばれる。

◆DNSの木構造

DNS(Domain Name System)のドメインとは、 膨大な数のコンピュータの名前を含む名前空間を階層的にドメイン (領域)に分割していることを意味する。 たとえば、次のような名前を考える。

全体の円の中に、af、jp、zwなどの円がある。jp円には、ac、or、coなどの円がある。ac円には、tsukubaなどの円がある。

図3 名前空間のドメインへの分割

azalea1.coins.tsukuba.ac.jp」を 図3で考えると、次のようになる。

根の下に、af..jp..zwという子供がある。jp節には、ac..or..の子供がある。ac節には tsukuba という子供がある。tsukuba には coinsという子供がある。coins には azalea1 という子供がある。

図4 名前空間の木構造としての見方

azalea1.coins.tsukuba.ac.jp」を 図4で考えると、次のようになる。

インターネットでのコンピュータの名前は、「.」 で区切られた文字列(文字の並び)である。この文字列で使える文字は、アル ファベット(大文字も小文字も同じだが普通は小文字だけが使われる)と数字、 ハイフン(マイナス)である。 DNS で名前は、ファイルのパス名 とは逆で、右から左に向かって解釈される。上のコンピュータの名前をこれを ファイルのパス名のように書くと、

/jp/ac/tsukuba/coins/azalea1
となる。

◆ディレクトリの木構造

コンピュータのディレクトリ(フォルダ)は、全体では 木構造(tree structure) になっている。階層化ディレクトリ(hierarchical directory)と呼ばれるこ ともある。

◆URL

World Wide Web では、他のデータへの参照を実現するために URL (Uniform Resource Locator) という形式を使う。

◆URL中の2つの木

URL には、2つの木構造の表記方法が混じっている。

◆URLを間違えた時/URLが変更された時

2種類のエラー 長い URL のどの部分が怪しいかを区別できるようにする。

エラーが出た時には、木構造で親を探してみる。 ただし、www というよく使われる節の名前は付けてみる。

■著作権

インターネットは、「史上最強のコピー・マシン」である。 1人ひとりが、新聞社や放送局を持っている。

他人の著作物を、自分のWWWページやネットワーク・ニュースの記事 に利用する時には、著作権を侵害してないか、注意する。

新聞記者や放送局の記者は、自分が知っていることを何でも報道するわけでは ない。他人の著作権の他に、他人の名誉やプライバシーを損ねてはならない。

◆保護の必要性

◆考え方

著作物
創作的な表現。新規性が必要。 保護の対象は、「表現」。 アイディアは、保護されない。 誰が書いも同じになるものは、保護されない。 著作者の死後50年まで保護される。
著作権
著作者が著作物持つ権利
著作者人格権
著作者の名誉を守るためのもの。 著作者の名誉を害するような著作物の利用を妨げる権利。 公表権、氏名表示権、同一性保持権からなる。 保護期間がない。譲渡不能。
公表権
著作者が創作したものを何らかの手段で公表する権利。 未公表のものを、いつ、どのように公表できるか決める権利。
氏名表示権
公表された時に著作者の氏名が表示される権利。
同一性保持権
改変されたものを無断で公表されない権利。
翻案
既存の著作物の内面的な表現形式を維持しつつ外面的な表現形式を変更する
二次著作物
翻案により作成された著作物
著作隣接権
演奏家、俳優、放送業者、レコード作成者など、 著作物の創作者ではないが、 著作物の伝達に重要な役割を果たしている人の権利。
著作物の利用方法と権利(財産) 複製とは 印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製すること。 脚本の上映、放送、録画を含む。 建築の著作物では、建物を作ることを含む。

WWWページに置くことは、「公衆送信」に相当。

著作物の登録

1886年ベルヌ条約の「無方式主義」。創造性などの条件を満たせば、表現とし て現出した時点で著作物と見なす。日本はこれ。

「方式主義」。決められた方式で登録したものだけが著作物。

1952年万国著作権条約。無方式主義の国の著作物を方式主義の国で保護するた めの手続き。次のものを表示されていればよい。

順番は入れ替えてもよい。

◆ソフトウェアと著作権

単に「複製」の制御だけでは足りない部分は、別途「ライセンス」を結ぶ。

◆著作権法抜粋

[全文]

著作権法
(昭和四十五年五月六日法律第四十八号)

				最終改正:平成一八年一二月二二日法律第一二一号
 
   第一章 総則

    第一節 通則

(目的)

第一条  この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し
著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利
用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与する
ことを目的とする。

(定義)

第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定め
るところによる。

    一  著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美
    術又は音楽の範囲に属するものをいう。

    二  著作者 著作物を創作する者をいう。

    七の二  公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又
    は有線電気通信の送信(有線電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他
    の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している
    場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラ
    ムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。

    八  放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信され
    ることを目的として行う無線通信の送信をいう。

    九の二  有線放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に
    受信されることを目的として行う有線電気通信の送信をいう。

    九の四  自動公衆送信 公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行う
    もの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう。



   第二章 著作者の権利

    第一節 著作物

(著作物の例示)

第十条  この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
    一  小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
    二  音楽の著作物
    三  舞踊又は無言劇の著作物
    四  絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
    五  建築の著作物
    六  地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
    七  映画の著作物
    八  写真の著作物
    九  プログラムの著作物

2  事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物
に該当しない。

3  第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物
を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合
において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。

    一  プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及
    びその体系をいう。

    二  規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての
    特別の約束をいう。

    三  解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。

     第五款 著作権の制限

(私的使用のための複製)

第三十条  著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作
物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内に
おいて使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に
掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

    一  公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製
    の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機
    器をいう。)を用いて複製する場合

    二  技術的保護手段の回避(技術的保護手段に用いられている信号の除去又は
    改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除
    く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能
    とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じな
    いようにすることをいう。第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)
    により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その
    事実を知りながら行う場合

2  私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器
(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性
能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能
として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であつて政令で定めるもの
により、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体
であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著
作権者に支払わなければならない。


(図書館等における複製)

第三十一条  図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする
図書館その他の施設で政令で定めるもの(以下この条において「図書館等」と
いう。)においては、次に掲げる場合には、その営利を目的としない事業とし
て、図書館等の図書、記録その他の資料(以下この条において「図書館資料」
という。)を用いて著作物を複製することができる。

    一  図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表
    された著作物の一部分(発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個
    個の著作物にあつては、その全部)の複製物を一人につき一部提供する場合

    二  図書館資料の保存のため必要がある場合

    三  他の図書館等の求めに応じ、絶版その他これに準ずる理由により一般に入
    手することが困難な図書館資料の複製物を提供する場合

(引用)

第三十二条  公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合
において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、
研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

2  国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一
般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報
資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料とし
て新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止
する旨の表示がある場合は、この限りでない。

(時事問題に関する論説の転載等)

第三十九条  新聞紙又は雑誌に掲載して発行された政治上、経済上又は社会上
の時事問題に関する論説(学術的な性質を有するものを除く。)は、他の新聞
紙若しくは雑誌に転載し、又は放送し、若しくは有線放送することができる。
ただし、これらの利用を禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。

2  前項の規定により放送され、又は有線放送される論説は、受信装置を用い
て公に伝達することができる。

(政治上の演説等の利用)

第四十条  公開して行なわれた政治上の演説又は陳述及び裁判手続(行政庁の
行なう審判その他裁判に準ずる手続を含む。第四十二条において同じ。)にお
ける公開の陳述は、同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いず
れの方法によるかを問わず、利用することができる。

2  国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人にお
いて行われた公開の演説又は陳述は、前項の規定によるものを除き、報道の目
的上正当と認められる場合には、新聞紙若しくは雑誌に掲載し、又は放送し、
若しくは有線放送することができる。

3  前項の規定により放送され、又は有線放送される演説又は陳述は、受信装
置を用いて公に伝達することができる。

(時事の事件の報道のための利用)

第四十一条  写真、映画、放送その他の方法によつて時事の事件を報道する場
合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞
かれる著作物は、報道の目的上正当な範囲内において、複製し、及び当該事件
の報道に伴つて利用することができる。

(翻訳、翻案等による利用)

第四十三条  次の各号に掲げる規定により著作物を利用することができる場合
には、当該各号に掲げる方法により、当該著作物を当該各号に掲げる規定に従
つて利用することができる。

    一  第三十条第一項、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を
    含む。)、第三十四条第一項又は第三十五条 翻訳、編曲、変形又は翻案
    二  第三十一条第一号、第三十二条、第三十六条、第三十七条、第三十九条第
    一項、第四十条第二項、第四十一条又は第四十二条 翻訳
    三  第三十七条の二 翻案(要約に限る。)

(出所の明示)

第四十八条  次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、
その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示
しなければならない。

    一  第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含
    む。)、第三十三条の二第一項、第三十七条第一項若しくは第三項、第四十二
    条又は第四十七条の規定により著作物を複製する場合

    二  第三十四条第一項、第三十七条の二、第三十九条第一項又は第四十条第一
    項若しくは第二項の規定により著作物を利用する場合

    三  第三十二条の規定により著作物を複製以外の方法により利用する場合又は
    第三十五条、第三十六条第一項、第三十八条第一項、第四十一条若しくは第四
    十六条の規定により著作物を利用する場合において、その出所を明示する慣行
    があるとき。

2  前項の出所の明示に当たつては、これに伴い著作者名が明らかになる場合
及び当該著作物が無名のものである場合を除き、当該著作物につき表示されて
いる著作者名を示さなければならない。

3  第四十三条の規定により著作物を翻訳し、編曲し、変形し、又は翻案して
利用する場合には、前二項の規定の例により、その著作物の出所を明示しなけ
ればならない。

◆著作権法の大事な部分

著作権法は、次の2つのバランスをとるためのもの。 著作者の権利を無限に認めたものではない。

著作権法で保護されないもの

キャラクタの表現は、著作物になる。

公衆送信の4つの形態

放送
公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目 的として行う無線通信の送信をいう。
有線放送
公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されること を目的として行う有線電気通信の送信をいう。
自動公衆送信
衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放 送に該当するものを除く。)をいう。
その他
 放送でも有線放送でも自動公衆送信でもないもの
World Wide Web は、「自動公衆送信」。第39条、40条は、「有線放送」と 「放送」について規定している。「自動公衆送信」は、できない。

雑誌のコピーは、許される。本は許されない。ただし、図書館で本をコピーするのは、許される。

公表された著作物を「引用」するのは、常によい。ただし、「公正」の視点で、 「正当な範囲」でなら。著作権をたてに引用を拒絶できない。

映画、音楽(歌詞、楽譜)関係は、非常に厳しい。

◆WWWと著作権

ハイパーリンクは、著作権法上何の問題もない。 自分のページにリンクを貼られることを拒否できない。

フレーム機能は、問題を含んでいると思われる(判例はない)。

<frameset cols="180,*" border=1>
<frame name="side" src="side.html">
<frame name="body" src="main.html">
<noframes>
<body>
<p><A HREF="main.html">フレームなし</A></p>
</body>
</noframes>
</frameset>

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検索エンジンのキャッシュは、米国の裁判では問題ないという判決が出ている。

■実習

★練習問題(140) IPアドレスの調査(MacOSX,Unix系)

実習室の自分が利用している iMac の IP アドレスを調べなさい。
% ifconfig -a [←]
% ifconfig en0 [←]
en0 に、そのコンピュータの IP アドレスが表示されている。

ifconfig コマンドは、MacOSX だけでなく、Linux を含む Unix 系のオペレー ティング・システムで利用できる。コマンドが見つからない時には、man ifconfig で探しなさい。

★練習問題(141) IPアドレスを調べる(Windows)

(自宅などにある) ネットワークに接続されてる Windows パソコンで、IP アド レスを調べなさい。
  1. 「コマンドプロンプト」を実行する。
  2. そのウインドウで次のように打つ。
    C> ipconfigdnl
    

★練習問題(142) DNSサーバにIPアドレスを問い合わせる

dig コマンドは、名前サーバと通信し、IP アドレスを調べるコマンドである。 次のようにして、引数として調べたいホスト名を与えると、ANSWER SECTION の IN A の部分に、IP アドレスが表示される。
% dig +noquestion +noadditional +noauthority +nocomment +nocmd +nostats balsam1.coins.tsukuba.ac.jp [←]
balsam1.coins.tsukuba.ac.jp. 86400 IN   A       130.158.86.81
% []
時には、IP アドレスではなく、CNAME と表示されることがある。これは、その 行の名前は、別名であり、別に正式名(canonical name) があることを示してい る。また、IP アドレスが複数個返されることもある。

次のホストについて、IP アドレスを調べなさい。

★練習問題(143) Web サーバのIPアドレスによるアクセス

情報学類のホーム・ページを ドメイン名を使った URL http://www.coins.tsukuba.ac.jp/ の代わりに IP アドレスを使った URL http://130.158.86.207/ を使って アクセスしてみなさい。

さらに、自分自身で作成した Web ページを、IP アドレスで表示してみなさい。

★練習問題(144) /etc/services

ファイル /etc/services には、よく使われるポート番号が記述されて いる。これを観察しなさい。

★練習問題(145) GNU Project

GNU プロジェクトについて調べなさい。

◆課題10 インターネット

締め切りは、2007年5月22日火曜日とする。 以下の問題、および、回答をテキスト・ファイルに記述し、 レポート提出ページから提出しなさい。

(1) 漢字800文字からなる文書を考える。漢字1文字を2バイト(16ビット)で符号 化すると、何バイト(何ビット)必要か。この文書を、通信速度が8k bps で転 送すると、何秒かかるか。計算過程も含めて示しなさい。

(2) 容量が 700Mバイト の CD がある。この CD に含まれている情報を、通信 速度が 1.5M bps のネットワークで送信した時に、何秒かかるか。計算過程も 含めて示しなさい。

(3) ドメイン名 balsam20.coins.tsukuba.ac.jp を木構造で考えた時、親の節 は何か。

(4) ドメイン名 balsam20.coins.tsukuba.ac.jp を木構造で考えた時、兄弟の 節の例を示しなさい。

(5) 各自、自分が利用しているコンピュータのドメイン名と IPv4 の IP アド レスを書きなさい。IPv4 の IP アドレスは、 8ビットずつ区切り、0から 255 までの4 つの10進数で表記しなさい。また、それを、16進数、および、通常の10進数で 表記しなさい。計算過程も含めて示しなさい。

(6) [加点] The Unix Super Text の次の部分を読みなさい。そして、GPL にお ける著作権の逆説的な利用方法について、5行-10行でまとめなさい。


Last updated: 2008/05/20 13:12:14
Yasushi Shinjo / <yas@is.tsukuba.ac.jp>