電子メールとネットワーク・ニュース

					2007年04月27日
情報科学類 コンピュータリテラシ

                                       筑波大学 システム情報工学研究科 
                                       コンピュータサイエンス専攻, 電子・情報工学系
                                       新城 靖
                                       <yas@is.tsukuba.ac.jp>

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http://www.coins.tsukuba.ac.jp/~yas/coins/literacy-2007/2007-04-27
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http://www.coins.tsukuba.ac.jp/~yas/
http://www.cs.tsukuba.ac.jp/~yas/

■連絡事項

  • 次回5月1日火曜日は、教室 3A309 に集合。
  • 手引き(教育用計算機システム使用の手引き)を持って来る。
  • The Unix Super Text の次の章を読んでくる。 上巻7章、下巻49章、53章、54章。
  • ■電子メール

    電子メール は、電話や(普通の)手紙と同じように、個人と個人の間で情報を交換するた めの仕組み。

    電子メールを読み書きするプログラムは、 メール・リーダ(mail reader) または、 メーラ(mailer) という。 「リーダ(reader)」といっても、書くこともできる。

    種類

    ■電子メールで重要な考え方と操作

    電子メールを使う上で重要な考え方

    1. 電子メールの形式、ヘッダ、本文
    2. 電子メール・アドレス
    3. メール・ボックス(フォルダ)
    電子メールの基本的な操作
    1. メールを読む
    2. (新たに)メールを出す
    3. 受け取ったメールに返事を出す(reply)
    4. 受け取ったメールを削除する、整理する
    5. 環境を整える、カスタマイズする

    ◆電子メールの形式

    1通の電子メールは、次のような形式を持っているテキスト(文字データ)。

    From: Shiro Yagi <shiro@is.tsukuba.ac.jp>
    To: kuro@cc.tsukuba.ac.jp
    cc: shiro@is.tsukuba.ac.jp
    Subject: Visit my WWW page
    Date: Mon, 23 Jan 2006 23:42:25 +0900
    Message-Id: <200601231442.k0NEgPTw003900@maple.is.tsukuba.ac.jp>
    
    こんにちは。白やぎです。
    
    WWWページを作ったので見てください。URL は、
    	http://www.is.tsukuba.ac.jp/~shiro/
    です。
    
    ♪♪ 白やぎ
    ♪♪ http://www.is.tsukuba.ac.jp/~shiro/
    

    多くのメール・リーダでは、1通の電子メールのことを メッセージ(message) と呼んでいる。

    電子メールのテキストは、大きくヘッダと本文に分かれる。

    ヘッダ(header、頭)
    電子メールの先頭から最初の空行まで
    本文(body)
    空行以降
    重要なヘッダ From: には、差出人の、 To:Cc: には、受取人の電子メール・アドレスが置かれる。

    電子メール・アドレス(e-mail address) とは、電子メールを届ける時に配送プログラムが使う記号。

    現在よく使われている形式:

    user@domain
    @」より前の部分は、個人を特定するための情報。 「@」より後ろの部分は、 電子メールをどのコンピュータに届ければいいかを示している。 ドメイン形式のホスト名が使われる。

    To:: とCc:: は、受取人の電子メール・アドレスが置かれる。どち らにアドレスを書いても同じように届けらるが、To: は、本来の宛先を 書き、Cc: にはついでに連絡したい宛先を書く習慣になっている。Cc は、 Carbon Copy に由来する。

    Date: は、電子メールが出された日付と時刻。

    Subject: は、題名(題目、表題、件名)。

    「件名」という日本語は存在しなかった。

    電子メールの本文は、普通のテキストだが、1行の長さがだいたい漢字で30 文字〜35文字、英語のアルファベットで60文字〜70文字になるように、 折り返されている(改行が入っている)。このようにしておくと、引用という 機能を利用する時に便利。

    電子メールで 引用 とは、返事などを書いたときに何に対する返事か分かりやすいように他の人の 書いた電子メールの一部を自分の電子メールに含めること。

    本文の末尾には、 署名シグニチャ(signature) ) が現われることが多い(付けなくてよい)。

    署名とは、普通の手紙の末尾に署名をするのと同じように、末 尾に自分の名前や自分独自の記号を書く。署名は、簡潔で短いものが好まれて いる。1つの目安としては、「4行以内」。

    電子メールのメッセージの型式は、RFC822 (その改訂版のRFC2822) で定めら れている。

    ◆2種類のメール・ボックス

    電子メールは、「 メール・ボックス 」と呼ばれている ファイル に保存される。メール・ボックスは、プログラムによっては、 フォルダ(folder)トレイ(tray) と呼ばれることもある。 メール・ボックスには、次の2種類がある。

    配送プログラム用メール・ボックス
    電子メールを配送するプログラムが、イ ンターネットから受け取ったメールを個人ごとに分類して保存しておく場所。 メールドロップ(mail drop)ということもある。 多くのシステムでは、 /var/spool/mail/user/var/mail/userという名前のファイル。 (coins では、メールサーバ(mail.coins.tsukuba.ac.jp)の /var/spool/imap/user/user)
    ユーザ用メール・ボックス
    メール・リーダが電子メールを保存しておく場所。

    メール・リーダが表示するのは、多くの場合、後者のメール・ボックスである。 新しく届いたメールを読む時には、前者から後者へメールを移す必要がある 場合がある。 この作業を、 「 (電子メールを)取り込む(incorporate) 」とう。

    配送プログラム用メール・ボックスは、1つのサーバで1人で1つだけだが、 ユーザ用メール・ボックスは、必要に応じていくつか作ることができる。

    図? メール・リーダとメール・ボックス

    図? メール・リーダとメール・ボックス

    ◆SMTPによる電子メールの転送と発信

    電子メールを転送する時には、SMTP (Simple Mail Transfer Protocol)という という通信の仕組み(TCP/IP 上に定義された通信プロトコル、詳しくは、後日) が使われる。

    メール・リーダで電子メールを発信する時にも、SMTP という仕組みが使われることがある。

    ◆POPやIMAP4経由のメール・ボックスのアクセス

    電子メールをため込んでいるコンピュータ(サーバ)にあるメールを、手元の コンピュータにコピーするには、 POP (Post Office Protocol)や、 IMAP(Internet Message Access Protocol) という通信の仕組み(TCP/IP 上に定義された通信プロトコル、詳しくは、後日)を使うことがある。

    POP では、配送プログラム用メール・ボックスを読み書きする機能がある。 IMAP では、それに加えて、複数のユーザ用メール・ボックスを扱えるように なっている。

    図? POP3、IMAP4サーバ経由のメール・ボックスのアクセス

    POP、IMAPサーバ経由のメール・ボックスのアクセス

    ◆メール・リーダの操作

    電子メールを出すには、基本的には、 電子メールの形式 で説明したようなテキストを作り、 電子メールを配送するプログラムに渡す。 本文は、自分の好みのテキスト・エディタ(テキストファイルを編集するプロ グラム)が使えることもある。

    電子メールで仕事をしていると、単にメールを出すだけではなく、受け取った 電子メールに対して返事を出すことが多い。そのため、メール・リー ダでは、返事を出す作業を簡単に行うことができるようになっている。返事 を出すことを リプライ するともいう。返事を出す時には、To: が自動的に作られるだけで なく、Subject: も同じもの、あるいは、にRe: が付い たものが自動的に付けられる。

    電子メールで返事を出す時には、相手のメールの内容を引用することがある。 この時、相手が書いた部分と自分が書いた部分を区別するために、相手 が書いた部分の行の先頭には、引用のための記号を付ける習慣がある。こ の記号には、「>」や 「>>」、 タブがよく使われる。

    受け取ったメールを、別の人に送ることを、 転送(forward) という。 多くのメール・リーダでは、手作業で転送できるようになっている。

    複数のメール・アドレスがある人は、あるアドレスに届いた「全て」のメールを、 別のメール・アドレスの所に自動的に転送できる場合がある。 については、

    メールの数が増えてきたら

    多くのメール・リーダは、長いアドレスや複数のアドレスを短い 別名(alias) で参照できるようになっている。 別名には、個人で付けるものの他に、システム全体で付けるものがある。

    ◆電子メールで名乗りと挨拶

    電子メールは、海外に出すこともあるので、From: は、英語にすることが多い。 日本語の名前をメールの先頭に書く習慣がある。
    From: Shiro Yagi <shiro@is.tsukuba.ac.jp>
    To: i07012345@coins.tsukuba.ac.jp
    Subject: Re: [coins-computer-literacy-a] Assignment-3, e-mail reply (2007012345)
    Date: Fri, 27 Apr 2007 16:15:25 +0900
    Message-Id: <200604251615.k0NEgPTw003900@azalea20.coins.tsukuba.ac.jp>
    
    コンピュータ・リテラシTAの○○さん
    
    こんにちは。コンピュータ・リテラシの授業を受けている白やぎです。
    4月27日に出された課題の電子メールを提出します。
    
    > この行と次の行だけを引用してください。返信には、このメールを
    > 書いた日付と時刻を入れてください。
    
    2006年4月27日 16:10です。
    
    よろしくお願いします。
    				白やぎ
    

    ■電子メールに関する知っておきたいこと

    ■ネットワークニュース

    ネットワーク・ニュース(network news)、あるいは、ネットニュース (netnews)は、電子メールと並び古くから使われているインターネットのアプ リケーション。 World Wide Webよりずっと古い。

    ネットワーク・ニュースのメッセージを読み書きするには、ニュース・リーダ と呼ばれるプログラムを使う。

    ◆ニュース・リーダの種類

    Thunderbird Thunderbird の icon
    電子メールが本業。 MacOS, Linux, Windows, Windows その他で動作する。 手引き 5.2節 95ページ 参照
    Netscape Messenger, Mozilla
    Thunderbird に引き継がれた。
    GNUS (にゅーず)
    Emacs の中で使える。メールも読める。 The Unix Super Text 26.3節 参照, 手引き 3.5節 参照
    Mew
    Emacs の中で使える。本業は、メール。 手引き 3.4 参照, The Unix Super Text 25.7節 参照
    Wandarlust
    Emacs の中で使える。本業は、メール。 手引き 3.6 参照
    vin (びん)
    筑波大学の卒業生、佐藤豊氏の作品。メールも読める。 The Unix Super Text 26.4項 参照
    mnews(えむにゅーす)
    階層構造に基づくニュース・リーダ。電子メールも読 み書きできる。もともとは、重たい vin を mini にして軽くしようとしたが、 mnews 自体も独自の発展を遂げた。 The Unix Super Text 26.2項 参照
    Outlook Express
    Windows 用。
    Google Groups
    Google は、ネットワーク・ニュースの記事を Web ブラウザでアクセスできる ようにしている。ただし、操作性がよくない。 http://groups.google.co.jp/

    ■ネットワーク・ニュースの基本的な考え方と操作

    ネットワーク・ニュース(network news) あるいは、 ネットニュース(netnews) は、インターネットで「1対多の通信」を実現するための仕掛けの1つ。 Usenet と呼ばれることもある。 ネットワーク・ニュースでは、ある書き手が発したメッセージを、大勢の人が 読む。ネットワーク・ニュースでは、メッセージの事を新聞に たとえて「 記事(article) 」と呼ぶ。 1つひとつの記事は、電子メールと同じく、基本的にはテキストである。

    ◆記事の転送、サーバ、保存期間

    図?は、ネットワーク・ニュースの記事が配送される様子を表わしている。

    ネットワーク・ニュースの記事転送の仕組み

    図? ネットワーク・ニュースの記事転送の仕組み

    各LAN上のどれかのコンピュータでは、ネットワーク・ニュースのサーバ (NNTPサーバ) とよばれるコンピュータ が動いている。そのサーバは、LAN内の他のコンピュータで動いているニュー ス・リーダからの要求に従って、自分が保存している記事を提供する。また、 投稿された記事や他のサーバから受け取った記事を、他のサーバへ転送する。 この時、サーバ間、および、サーバとニュース・リーダの間で使われる、 通信の仕組みは、 NNTP (Network News Transfer Protocol) と呼ばれている。

    このように、ネットワーク・ニュースの記事はサーバ間で次々にコピーされる 形で伝わっていく。この時、世界中の数百万のサーバの中には、コピーに 失敗することがある。こういう現象を、「記事が落ちる」という。 また、コピーには、どうしても遅れか生じる。電子メールが1分もかからな いで届くような間でも、ネットワーク・ニュースの場合は、数時間はかかると こともある。また、途中のサーバが止まっていると、記事が落ちな いまでも、そこで何日か足止めされることがある。

    ニュース・リーダ(news reader) は、ユーザと対話しながら、サーバから記事を取り寄せたりサーバに記事を送っ たりするプログラムである。

    ネットワーク・ニュースでは、毎日膨大な量の記事が投稿されている。それ を保存するためのディスク容量には、限りがある。よって、記事は、あ る保存期間が過ぎると自動的に消されるようになっている。 これを、 エクスパイア(expire) するという。保存期間は、サーバによって異なるか、普通は2週間程 度である。 coins では、3ヶ月。

    ◆記事の形式

    ネットワーク・ニュースの記事は、次のようなテキスト。

    Newsgroups: fj.news.reader
    From: shiro@is.tsukuba.ac.jp (Shiro Yagi)
    Subject: E-Mail facility of news readers
    Date: Thu, 11 May 2006 00:55:50 GMT
    Organization: Institute of Information Sciences and Electronics, Univ of Tsukuba
    Message-ID: <SHIRO.10May20065550@is.tsukuba.ac.jp>
    
    こんにちは。白やぎです。
    
    ニュース・リーダの電子メールも読み書き機能では、どれが便利一
    番便利でしょうか。GNUS でも、メールが読めると聞いたのですけ
    れど。
    
    ♪♪ 白やぎ
    ♪♪ http://www.is.tsukuba.ac.jp/~shiro/
    

    ネットワーク・ニュースの記事の構造は、 電子メールと共通である。 電子メールもネットワーク・ニュースの記事も、空行で ヘッダ(header、頭)本文(body) にわかれる。

    電子メールと共通のフィールド:

    ネットワーク・ニュースに独自のフィールドで、特に重要なもの

    ◆ニュース・グループの木構造

    記事は、 ニュース・グループ(newsgroup) と呼ばれる仕組みを使って分類されている。世界中で1日に投稿される記事 は、数百万にもなる。それらの記事を全部読むことはできない。 ニュース・グループという仕組みを利用して記事を分類し、各自が興味を持っ ている記事を簡単に見つけられるようにしている。 それぞれの記事のヘッダのNewsgroups: フィールドには、その記事がど のニュース・グループに属しているかが書かれている。

    ニュース・グループには、次のように、「.」で区切られたアルファベット や数字などで名前が付けられている。

    fj.rec.music
    日本関係のニュース・グループ群 fj (From Japan)で、レクリエーション (recreation)関係で、音楽に関する記事を集めるためのニュース・グループ
    fj.comp.lang.c
    日本関係のニュース・グループ群 fj (From Japan)で、コンピュー タ関係で、言語関係で、C言語についての記事を集めるためのニュー ス・グループ

    ニュース・グループの名前は、英語で、かつ長いものは省略形で 付けられている。

    ニュース・グループの名前は、全体として、 木構造 になっている。木構造が使われている理由は、 ファイルの名前付け と同様に、非常に数多くのニュース・グループを扱えることによる。 節の区切りは、「/」ではなく、「.」。

    ニュース・リーダの中でも、mnews や vin は、ユーザがニュー ス・グループの木構造にそってニュース・グループを選んでいくことになる。 ニュース・リーダによっては、ユーザは、木構造をあまり意識せず、自分が 興味があるグループを自分が好きな順序で選んでいくことができるようになっている。

    1つの記事は、普通、1つのニュース・グループにだけ現われる。記事を投 稿する時に、複数のニュース・グループに現われるようにすることを、 クロスポスト という。

    よいニュース・リーダなら、クロスポストされた記事を見つけると、一度 だけユーザに提示し、別のニュース・グループでは既読として扱い、提示しな いという機能がある。クロスポストの機能を使わずに、同じ内容の記事を 複数のニュース・グループに別々に投稿することを マルチポスト という。マルチポストは、特別な場合を除いて、避けるべきである。い くら大事で有益な情報でも、何度も同じ記事を読むことを望む人はいない。

    ◆配布範囲

    配布範囲 ( Distribution: とは、 普通、記事が配られる範囲を制限する(小さくする)機能である。 配布範囲の例としては、 学内、社内、市内などが考えられる。典型的な使い方は、 たとえば、fj などのもともと世界区のニュース・グループに、学内に限定し た話題を投稿する時に、配布範囲として「学内」を指定して投稿するというこ とである。

    特別な配布範囲:

    local
    そのサーバ内。
    world
    そのニュース・グループを講読している全てのサーバ。

    配布範囲の機能は、現在の所、あまりうまく活用されていない。 多くの場合は、空のままでよい。配布範囲が空の場合、 world という意味になる。

    ◆ニュース・リーダの操作

    ニュース・リーダの操作には、次のようなものがある。
    1. 記事を読む
    2. 記事を書く(ポストする、投稿する)
    3. ある記事に続けて記事を書く(フォローアップする)
    4. 電子メールで返事を出す
    5. 記事をキャンセルする
    6. 記事を保存する
    7. 環境を整える
    記事を読むには、まず、ニュース・グループを選ぶことから始まる。 次に、Subject: や From: を見て、その記事を読むかどうかを 決める。

    ニュース・グループの中には、自分には興味がないものもある。ニュース・ リーダには、そのようなニュース・グループを、表示しない機能がある。 このことを、ニュース・グループを購読しない状態にするとか、 アンサブスクライブ(unsubscribe) するという。多くのニュース・リーダは、新しいニュース・グループを 購読する状態 ( サブスクライブ(subscribe) された状態 ) にする。ユーザは、興味があればそのままの状態にしておき、興味がなけれ ば、アンサブスクライブする。

    1つのニュース・グループでは、各記事には、サーバが受け取った順に付けら れた番号が付けられている。 記事番号 と呼ぶことがある。ニュース・リーダは、標準では、この記事番号の順番 に記事を提示する。Subject: や、 スレッド の順序で並べ変えて関連する話題を連続的に読めるように提示する機能がある ニュース・リーダもある。記事番号、ニュース・サーバごとに異なる。 記事を参照する時には、 Message-ID: を使う。

    記事を書くには、記事の形式で説明 したようなテキストを作成し、サーバ・プロセスに渡すことになる。この 作業を、記事を投稿する、 あるいは、 ポストするという。

    ネットワーク・ニュースの記事を投稿するのは、電子メールを出すことと非常 によく似ている。異なる点は、 電子メールの受取人の電子メールのアドレス(To:)の代わりに、ニュー ス・グループ名(Newsgroups:)を指定する所、および、 配布範囲 (Distribution:)を指定することである。

    投稿された記事は、すぐには読めない。これは、効率のため、ある程度ため 込んでまとめて処理されるからである。うまく投稿されたかどうかを確認するに は、場合によっては10分〜15分ほど待つ必要がある。そして、1度 ニュース・リーダをを終了して、再び実行しなおすか、新着記事をチェックす る操作を行うと、見えるようになる。

    ネットワーク・ニュースでは、記事を投稿する時に、他の人が書いた記事を引 用しつつ自分の意見を書き加える形で行なうことがよく行われる。この方法の 投稿ことを、 フォローアップ(followup) という。ネットワーク・ニュースの記事を読むと直ぐに気が付くように、 記事の大部分はフォローアップ記事である。どのニュース・リーダも、フォ ローアップ記事を簡単に投稿できるような機能を持っている。

    記事をクロスポスト記事するには、 Newsgroups: ヘッダに、ニュース・グループを「,」で区切りながら並べる。 また、クロスポストする時には、同時に Followup-To: を付け、以後の議論が続けたいニュース・グループを指定することができる。 これが付いた記事にフォローアップしようとすると、ニュース・リーダは、こ こに指定されたニュース・グループをNewsgroups: に設定する。

    ネットワーク・ニュースでは、フォローアップで話を進めていくことが基本だが、 記事を書いた人に電子メールを出して詳しい話を聞いたり、 詳しい情報提供をしたりすることも行われる。 このことを、電子メールと同様に、 リプライ(reply) するという。

    電子メールと違って、ネットワーク・ニュースでは、一度投稿した記事を 取り消すことができる。これを、記事を キャンセル(cancel) するという。キャンセルできるのは、自分が投稿した記事だけである。 普通のニュース・リーダなら、キャンセルする機能がある。

    記事は、保存期間が終ると消えるので、ネットワーク・ニュースの記事で、有 益なものを見つけた時には、ファイルに保存する必要がある。ニュース・ リーダでは、記事を保存する機能がある。

    ◆サーバの選択

    ニュース・リーダは、LAN上で動いているネットワーク・ニュースのサーバ を探して接続する。この時、どのサーバを使うかを指定する方法には、 ニュース・リーダの設定画面や プログラムを実行する時に与えるパラメタ (引数や環境変数 NNTPSERVER ) が使われる。ポー ト番号は、標準では 119 が使われるので、普通は、ホスト名だけを指定する。 ニュース・リーダの中には、119 以外のポート番号に接続できるものや、複数 のサーバに接続できるものもある。

    ◆記事ファイルを直接アクセスする

    サーバ・プロセスが動いているホストでは、直接、サーバが管理しているファ イルを参照して、記事を読むこともできる。NNTP が普及する前は、この方 法が一般的であった。現在では、自宅のパソコンでオフラインでニュースを読む時 にこの方法が使われることがある。 この場合、次のようなファイルやディレクトリが重要になる。

    activeファイル。
    現在有効なニュース・グループの名前と記事の番号の範囲を保持したファ イル。/usr/local/news/etc/active/usr/lib/news/active という名前のファイルが使われることが多い。
    スプール・ディレクトリ
    記事本体を保持している場所。 /usr/local/news/spool/articles//var/spool/news/ という名前 がよく使われる。各記事は、このディレクトリ以下に、ニュース・グループ名 の「.」「/」に変えたディレクトリの下の 記事番号の名前のファイルに保存される。

    ■ネットワーク・ニュースに関する知っておきたいこと

    ■ニュース・リーダ vin

    ■資料

    Active Newsgroups List of fj
    http://www.fj-news.org/active/ ([ローカル・キャッシュ])
    情報学類/分散システムの資料
    技術的には、冗長リンクで、記事を落ちないようにしていることと、記事の重 複対策に Message-ID: を遣っていることが重要である。

    ■Wiki

    Wiki、あるいは、WikiWiki Web は、WWW(World Wide Web) を利用 した共同作業と議論を支援するツール。

    普通の WWW は、直接的にはページを編集する機能を提供していないので、情 報の発信者と受信者は明確に区別されていた。Wiki では、基本的にはページ を表示することができれば、簡単な操作でそれを編集することができる。これ により、気軽な双方向のコミュニケーションが実現される。wikiwiki とは、 ハワイの言葉で、「素早い、形式張らない、急ぐ」ということを意味している。

    Wiki では、WWW ページを記述する時に、HTML のようなマークアッ プ言語を用いず、基本的にはテキストを用いる。ただし、次のよう な簡単なルールがあり、HTML に近い表現能力を持つ。

    Wiki は、Ward Cunningham氏が開発したものの他に、Wikiクローン と呼ばれる同等品が多数開発されている。多くのクローンは、Perl や Ruby のようなスクリプト言語により記述されており、WWW サー バが持っている、外部のプログラムを実行する機能(CGI機能) を用 いて動作する。

    ◆Wikiの種類

    オリジナルの Wiki に続いて、様々な種類の Wiki が開発された。 日本製が多い。

    ◆Wikiでできること

    問題点

    ◆ウィキペディア(Wikipedia)

    Wiki を利用した世界規模の共同作業の例として、フリーの百科事 典を作るプロジェクト。

    http://ja.wikipedia.org/
    ウィキペディア(日本語)

    ■実習

    実習時間中には、以下の課題をできるだけ多く行いなさい。全部を行う必要はない。

    ★練習問題(45) Thunderbirdの設定

    Thunderbird で電子メールを 読み書きできるように設定しなさい。 手引き 5.2節 93ページ 参照

    Thunderbird の icon 実行するには、Dock 上のアイコンをシングルクリックする。

    手引きには、POP を利用するように説明されている(図5.8, 94ページの説明)。 POP ではなく、IMAP を使うことを勧める。IMAP のアカウントを設定したら、 不要な POP のアカウントは、削除するとよい。

    図? Thunderbirdの設定画面。IMAP、SMTP、サーバ。

    図? Thunderbirdの設定画面。IMAP、SMTP、サーバ。(クリックで拡大)

    Firefox で POP アカウントを使い続ける場合でも、「サーバに残す」という設 定にすると、他のメール・リーダで読める状態になる。そうでないと、「取り 込まれて」しまい、他のメール・リーダでは読めなくなる。

    1. 「ツール」メニューの「アカウント設定」を開く。
    2. 目的のアカウント名の下の「サーバ設定」の画面で、次の部分を調べる。
    注意:IMAP を利用する場合には、このような項目はない。

    図? Thunderbirdの設定画面。POPでサーバに残す。

    図? Thunderbirdの設定画面。POPでサーバに残す。(クリックで拡大)

    Thunderbird (Firefoxも) は、「マスターパスワード」を設定すれば、パスワー ドを暗号化して保存する機能がある。「マスターパスワード」を設定せずに 「パスワードマネージャ」を使うと、暗号化されないパスワード(生のパスワー ド)がそのまま「ファイル」に保存されるので、危険である。

    電子メールは、(HTMLではなく)テキストで編集するには、次の設定を変更する。

    1. 「ツール」メニューの「アカウント設定」を開く。
    2. 目的のアカウントの下の「編集とアドレス入力」の画面で、次の部分を調べる。
      図? Thunderbirdの設定画面。

    ★練習問題(46) Thunderbirdで新たにメールを出す

    Thunderbirdで新たに電子メールを出す練習をしなさい。

    ★練習問題(47) Thunderbirdでテキストの観察

    受信したメッセージを選択し、「表示」メニューから「メッセージのソース」 を使って、電子メールのテキストを表示しなさい。

    ★練習問題(48) Thunderbirdでメールに対して返信を行う(返事を出す、リプライする)

    自分自身で送信したメールや隣の人のメールに対して、 Thunderbird の返信機能を使って返事を出しなさい。

    ★練習問題(49) Thunderbirdでその他の操作

    Thunderbirdでメールを読む、新たに (新たに)メールを出す、 以外の次のような操作をしなさい。

    ★練習問題(50) SquirrelMail

    SquirrelMail でメールを読み書きしてみなさい。

    ★練習問題(51) MacOSX Mail.app

    MacOSX 付属の Mail.app を使ってメールを読み書きしてみなさい。 MacOSX Mail.app pop アカウントの設定

    ★練習問題(52) IMAP、メールボックスの共有

    複数のメール・リーダで IMAP によりメールが読めるように設定しなさい。そ して、複数のメール・リーダで同一のメールボックスが表示されることを確認 しなさい。

    ★練習問題(53) Mew/Emacs によるメールの読み書き

    注意:この操作をすると、電子メールが Mew の メールボックスに「取り込まれる」ので、 他のメール・リーダでは読めなくなってしまう。

    Emacs 上で動作するメール・リーダ Mew を 使って、メールの読み書きを行ってみなさい。 手引き 3.4節 参照

    ★練習問題(54) Thunderbirdでのニュース・リーダの設定

    Thunderbirdでネットワーク・ニュースの記事を読めるようにしなさい。 手引き 5.2.4項 参照

    ★練習問題(55) ニュースグループの調査

    自分が興味があるニュース・グループを探しなさい。

    たとえば、fj では次のような方法がある。

    ★練習問題(56) 記事の保存

    自分が興味がある記事を保存しなさい。 保存した記事を lv コマンド(手引き)、Emacs などで観察しなさい。

    ★練習問題(57) 記事の投稿、フォローアップ記事、キャンセル

    coins.test など coins から始まるニュースグループに記事を投稿してみなさ い。フォローアップ記事を投稿してみなさい。また、キャンセルの練習のため の記事を投稿し、それをキャンセルしてみなさい。

    ★練習問題(58) vinの利用

    ニュース・リーダ vin を利用してネットワーク・ニュース の記事を読みなさい。

    ★練習問題(59) その他のニュース・リーダの設定

    その他のニュース・リーダを設定して、記事が読めるようにしなさい。

    ★練習問題(60) newsrcファイルの観察

    ニュース・リーダは、未読記事と既読記事の管理を newsrc というファイルを使って行う。 記事を読みながら、そのファイルの内容がどのように変化するかを観察しなさい。

    ■課題5 電子メールとネットワーク・ニュース

    以下の問題について、(1) は、電子メールによる返信で回答しなさい。 (2), (3), (7) は、テキスト・ファイルに記述し、 レポート提出ページから提出しなさい。 (4), (5), (6) については、 所定のWikiページに置きなさい。

    (1) TA からのメールを読みなさい。それに対して、TA にメールの返事を出し なさい。次のような点に注意すること。

    名乗りと挨拶 を含めることを勧める。電子メー ルを受け取る人は、人間である。単に宿題を受け付けるための箱ではない。

    (2) このページの電子メールとネットワーク・ニュースに関する説明を読み、 大事なことを5行-10行でまとめなさい。

    (3) [加点] 文書「電子メールに関する知っておき たいこと」および、「ネットワーク・ニュースに 関する知っておきたいこと」を読み、大事なことを 10行-15行でまとめなさい。

    (4) 読んだ記事の中で、面白い記事、または、将来役立ちそうな記事を保存し なさい。この時、次のヘッダをきちんと保持しなさい。

    保存した記事を、Emacs 等のテキスト・エディタで表示できることを確認しな さい。

    ファイルに保存した記事を、各自の Wiki ページに対する添付ファイルとして 参照できるようにしなさい。

    1. メール・リーダの機能を利用して記事をファイルに保存する。
    2. 保存したファイルの名前の末尾を、mv コマンド、または、Finder を使っ て .txt 、または、.text にする。
    3. 保存したファイルをテキスト・エディタ Emacs で開き、不要な部分があ れば削除する。記事が漢字の場合、漢字コードを EUC に変換する。
    4. 最後に、Hiki のページの「編集」の中で、添付ファイルの機能を用いてページに添付する。

    添付ファイルを表示するには、次のような記述をページの本文に置く。

    {{attach_view(filename.txt,学績番号-NetNews)}}
    
    または、次のようにしてリンクで参照する。
    {{attach_anchor(filename.txt,学績番号-NetNews)}}
    

    (5) 保存した記事に対する批評(よい所、悪い所、賛成できる所、意見が異な る部分を書く)を行いなさい。

    (6) [加点] Wiki ページにある他の人の批評に対して、議論を行いなさい。ま たは、自分のページに書き込まれた反論にたいして再反論を行いなさい。

    (7) [加点] 複数のニュース・リーダを実行して、比較しなさい。そして、それ ぞれの利点の述べなさい。


    Last updated: Date:
    Yasushi Shinjo / <yas@is.tsukuba.ac.jp>