共通科目情報処理(上級)、インターネットの仕組み、2005年12月06日
電子・情報工学系
新城 靖
<yas@is.tsukuba.ac.jp>
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インターネットの表面的な「使い方」
10年後も通用する、一般的な原理と技能を身につける。
個人ごとに目標を設定する。
- 「インターネット」という言葉には、いろいろな意味がある。技術の他に、人や資源が大事である。
- インターネットの仕組みは、電話や郵便と対比すると、根本的な部分は
よく似ている。
- インターネットでは、電子メールやWWWを始めとして、いろいろなサー
ビスがある。
- インターネットを使う時に、次のような技術について知っておきたい。
- プロトコルスタック(の意義)
- データグラム(パケット)
- ルータとホスト
- IPアドレス
- データ量や通信速度の感覚
- (DNS)
- (クライアントとサーバ)
インターネット
(
an internet
)
とは、もともとネットワークのネットワーク、つまり、いくつかのネットワー
クが
ルータ(router)というコンピュータを使って
相互接続されたもである。

最小のinternet(小文字)
ネットワーク
とは、それぞれ独立した方針で運営されているコンピュータ・ネットワーク
である。
インターネットではないコンピュータ・ネットワーク
LAN は、狭い範囲のコンピュータを接続するためのネットワーク
(後述)。
世界最大のインターネットは、インターネットと呼ばれる。これは、英
語で書くと、固有名詞のということで頭を大文字にして
the Internet
と綴られる。今日の話題は、この固有名詞としてのインターネットである。
固有名詞としてのインターネットは、次のような意味を含む。
- 以下で説明する TCP/IP という共通の通信プロトコルにもとづくネットワークのネットワーク
- このネットワークを活用し発展させる人々のコミュニティー
- このネットワークを通じて到達できる資源の集積
(2), (3) の意味合いも大事。
現在のインターネットは、
ARPANET
という、1960年代の終りにアメリカ国防省の資金による研究プロジェクトの結
果作られたネットワークが元になっている。ARPANET の研究成果の1つとし
て、TCP/IP という
通信プロトコルがある。
プロトコル(protocol)、
あるいは、
通信プロトコル(communication protocol)
とは、通信を行う機器、コンピュータ、あるいは、プログラムの間でどのよう
な手順で行うかを定めた規則である。
インターネットという言葉は、TCP/IP では到達できなくても、UUCP
(Unix-to-Unix system copy, ファイルをダイアルアップでコピーする)などの
何らかの方法で電子メールを交換できる範囲を意味することもある。(電子メー
ルが、インターネットの応用で最も重要。)
電話のネットワークと比較することで、インターネットの説明をする。通信量
で見た場合、1994年まで世界最大のネットワークは、電話であった。
1995年では、インターネット上を流れるデータの通信量が、電話による音
声の通信量を超えた。
ネットワークとして見た時の電話の特徴
- つながっている機器は、電話機(音声と電気信号を変換する機械)である。
- ネットワークを流れるデータは、音声のみである。
- 電話には、電話番号が振られている。
- どの電話もどの電話とも接続可能である(例外あり)。
- 電話を掛ける時、電話を使う人は、電話番号を指定するだけでよい。
電話を使う人は、途中の通信を中継している交換機の存在を気にしなくてもよい。
インターネットの特徴
- つながっている機器は、コンピュータである。
- ネットワークを流れるデータは、コンピュータで扱えるデータ(ビットの並び、2進数)である。
- コンピュータにはIPアドレスと呼ばれる番号がふられている。
- どのコンピュータもどのコンピュータとも接続可能である(例外あり)。
- 通信をするとき、使う人は、IPアドレスを指定するだけでよい。
使う人は、途中の通信を中継しているコンピュータ(ルータ)の存在を気にしなくてもよい。
電話にはない、インターネットの特徴は、末端のコンピュータの力を借りて、
さまざまなサービスが提供できることにある。
インターネットでは、大きなデータを小さなデータの断片(データグラム、
パケット)に分割して送る。
データグラム(datagram)は、データと電報(telegram)から作られた造語。
データグラムに分割することで、次のような利点がある。
- 複数人で使う時に効率よくネットワークが使える。
ある人が大きなデータを流しても、ネットワーク占有してしまうことはない。
- 大きなデータの一部が壊れたとしても、壊れた部分だけを再送すればよい。
- 複数の回線を束ねて高速化できる。1つの通信のデータグラムを複数の
回線にばらす。
- 最大長を定めたり、大きさを固定にすることで処理が簡単になる。
特にハードウェアで扱う時に。
- ルータが故障したり回線が故障した時に迂回できる。
問題:あるコンピュータをインターネットに繋ぐにはどうすればよいか。
答え:既にインターネットに繋がっている所になんとかしてつなぐ。
- LAN をつかう。Ethernet または無線LAN
- アクセスラインのサービスを利用する。
自宅から電話局、または、インターネット接続サービス・プロバタイダまでの
回線を、アクセスラインとよぶ。
- 電話回線、ISDN
- ADSL
- 光ファイバを使ったもの
- ケーブルテレビの線
- 携帯電話、PHS、無線LAN技術の応用
アクセスラインの先は、インターネット接続サービス・プロバイダ。
NTTと同じような通信会社に分類される。ケーブルテレビ局などをのぞいて、
自前で通信媒体を持っている所は少なく、NTTなどから専用線を借りてイン
ターネット接続サービスを提供している。
法律用語: 電気通信事業法
- 第一種通信事業者
- 自前で回線設備をもっている
- 第二種通信事業者
- 第一種通信事業者から回線を借りて通信サービスを提供する
インターネット接続サービス・プロバイダまでの接続
- 常時接続
- ダイアルアップ接続(使うときだけ電話経由で)

図? インターネット接続サービス・プロバタイダまでの接続方法
インターネット接続サービス・プロバイダより先は、どうなっているか。
インターネット接続サービス・プロバイダ間も、仕組みとしては、ルータで接
続されている。
ルータ間の接続には、NTTなどから借りた専用線(銅線、光)が使われる。

図? インターネット接続サービス・プロバタイダ間の接続
インターネット接続サービス・プロバイダが直接相互接続している場合もあるが、
ある場所に置かれた特別なルータで相互接続されている場合もある。
この相互接続の場所を
NSPIXP (Network Service Provider Inter eXchange Pint)
や
CIX (Commercial Internet eXchange)
とう。
世界のインターネットの中心は、アメリカである。世界各国は、基本的には、
アメリカのインターネットのどこかに接続する。
アメリカ以外の2国間の通信も、アメリカ経由になることが多い。
- アメリカは、高い国際回線の費用を負担していない(国際条約違反)
- アメリカは、他の国の間の通信を傍受できる。
国内のインターネット接続サービス・プロバイダのいくつかは、独自の国際専
用回線をアメリカに向けて引いている。
アジアやヨーロッパにもアメリカを通らずに通信する回線も増えて来ている。
インターネットで現在よく利用されているサービス(アプリケーション、
応用)には、次のようなものがある。
- 電子メール
- ネットワーク・ニュース
- ファイル転送(ftp)
- WWW (The World Wide Web)
- 遠隔ログイン
- 文字による対話、
- 音声、動画像
情報処理の実習でやったものは、インターネットの「応用」。「応用」は、通
信の専門用語。
◆遠隔ログイン
遠隔ログインとは、遠く離れたコンピュータを直接接続されているコンピュー
タと同じように利用するための仕組みである。この機能を利用すると、遠くの
コンピュータの計算パワーを利用したり、そのコンピュータで動いているデー
タベースを利用することができるようになる。主に、文字による対話的な利用
で使われる。
筑波大学教育用コンピュータでは、icho というサーバを遠隔ログインで利用
することもできる。遠隔ログインすると、Unix というオペレーティング・シ
ステムで動作するさまざまなプログラムを利用することができる。

図? 遠隔ログインによるプログラムの実行の様子
電子メールでもWWWでも、TCP/IPという仕組みを用いて通信を行っている。
この節では、TCP/IP の仕組みについて簡単に説明する。
大事な考え方には、次のようなものがある。
- プロトコル・スタック
- クライアントとサーバ
- DNS
電子メールでもWWWでも、TCP/IPを用いた通信では、
図のように、4つの
プロトコルの
層(layer)(
通信の手順を決めた規則)
が使われる。TCP/IP自身は、
TCP層
と
ipそう
という2つのプロトコルから成り立っている。
ネットワーク通信では、
さまざまなプロトコルが決められ、全体として層をなしている。この様子を、
プロトコル・スタック(protocol stack)
と呼ぶ。

TCP/IPにおけるプロトコル・スタック
IP (Internet Protocol)
は、(信頼性がない)データグラム転送サービスを提供する通信プロトコルである。
IPのデータグラムは、次のような性質を持つ。
- データの送り手と受けての間に結合(connection,通信路)が作られない
- 複数回に分けて送り出したデータの順番が入れ替わる可能性がある
- 送り出したデータが途中で失われることもある
データグラムは、
パケット
と呼ばれることもある。
データグラムは、葉書に似ている。IPのデータグラムが配達
されるときに使われる番号が、
IPアドレス
である。IPアドレスとしては、現在32ビットの整数が使われている。
(IPv6 では、IP アドレスは、128ビットになる。)

ルータによるデータグラムの転送
ルータは、IPアドレスを見て、データグラムの送り先を判断する。
郵便局で、住所を見て、送り先を判断するのと似ている。郵便局は、一番末端
のもの(ポストから集配したり家に配ったりする)ではなくて、中間的な集配を
する郵便局がある。
同様に、ルータも、自分自信は、最終到達地点のコンピュータを知らなくても、
別のルータに送るだけのようなものもある。
ルータは、隣のルータや回線が故障した時には迂回路を探す。
迂回絽がなければ通信は途絶する。
ルータとルータは、どの回線やルータが生きているか、通信速度はどうなって
いるか等の情報を交換し会う。これらの情報を元に、各ルータは、受け取った
データグラムを次の最適の経路/ルータに送る。
IPアドレス
を表現する時には、普通、8ビットずつ区切って、0から255までの10進
数を4つで表現される。たとえば、次のように書く。
12.34.56.78
これは、10進数でいくつになるかを計算したい時には、次のようにして計算
する。
(((12 * 256)+34)*256+56)*256+78
TCP(Transmission Control Protocol)
は、IP の機能を利用して、信頼性のある(reliable)双方向の
ストリーム転送サービス(stream transport service)
を提供する通信プロトコルである。
(図)。
ストリーム
には、次のような性質がある。
- データの送り手と受けての間に結合(connection,通信路)が作られる
- 複数回に分けて送り出したデータの順番が入れ替わることはないが、データの区切りは保存されない
- 送り出したデータが相手に届くようにする(途中で失われた時には、再
送する)
TCPで通信をする時に、通信相手を識別するにはIPアドレスと
ポート番号(port number)
が使われる。ポート番号は、16ビットの整数で、よく使われる
アプリケーション
(
サービス
)
には、あらかじめどの番号を使うかが決めらている。これを
well-knownポート番号(well-known port number)
という。

TCP/IPによりより提供されるストリーム
TCP層の上には、
応用層
が定義されている。この層では、電子メールの転送、ファイル転送、遠隔ログ
イン、WWW、といった TCP/IP を利用するプログラムの間の通信方法が定義さ
れている。
TCP/IPを使った通信は、まるでコンピュータ同士(プログラム同士)が電話で
会話するように進められる。
表? TCP/IPの上に定義されているプロトコルの例
--------------------------------------------------------------------
ポート番号 プロトコルの名前 目的
--------------------------------------------------------------------
21 FTP(File Transfer Protocol) ファイル転送
23 Telnet 遠隔ログイン(telnet)
25 SMTP(Simple Mail Transfer Protocol) 電子メールの転送
79 finger fingerコマンド
80 HTTP(HyperText Transfer Protocol) WWWのデータ転送
110 POP(Post Office Protocol Version 3) 電子メールの受信
119 NNTP(Network News Transfer Protocol) ネットワーク・ニュース
の記事の転送
143 IMAP(Internet Mail Access Protocol) 電子メールの受信・保管
513 login 遠隔ログイン(rlogin)
--------------------------------------------------------------------
IPのデータグラムを転送するためには、さまざまな物理的な媒体
(電線、光ケーブル、電波)
が使わる。
IP の視点からは、LAN や アクセスライン も物理層と見なす。OSI 7層モデルでは違う。
ダイアルアップなどを使った通信では、 PPP(Point to Point Protocol)とい
うプロトコルの上に、IPデータグラムが転送される。
- ホスト
-
ネットワークに接続されているコンピュータの中で、ネットワークに1ヵ所の
出入り口(
ネットワーク・インタフェース(network interface)
)を持っているもの
- ルータ
- 2ヵ所以上の出入り口を持っているコンピュータ
ルータは、ネットワークとネットワークを接続するた
めのコンピュータである。
ルータは、入ってきたIPのデータグラムのIPアドレスを見
て、どのネットワークに送ればよいかを判断する。
ルータは、
ゲートウェー(gateway)
と呼ばれることもある。
- 電話的定義
- 電話回線より速い
- 通信の専門用語
- 変調を行い、1つの線に複数の信号を同時に流す
- 世俗的な定義
- 500 k bps 以上のアクセスライン
通信速度の単位。毎秒何ビットおくれるか。
ディジタル情報の量を図る単位。
部屋の中から大学キャンパス程度までの範囲を接続するためのネットワーク。
イーサネットと無線LANがよく使われる。
イーサネット
- もともとはコピー機で有名な Xerox 社が開発したLANの仕組み。
IEEE (Institute of Electrical and Electronic Engineers,
アイトリプルイー) という学会に設置された委員会で標準化された。
委員会の名前は、IEEE 802.3。
- 通信速度としては、10 M, 100 M, 1 M, 10G 等の種類がある。
(実習室のパソコンは 100M。)
- 物理媒体は、同軸ケーブル(テレビのアンテナの引き込み線でも使われている)、
非シールドより対線(Unshielded Twisted Pair Cable)、
光ファイバが使われる。
無線LAN
- 主に免許が要らない周波数帯の電波を使う。
(以前は赤外線を使うもの使われていた。)
- 規格としては、IEEE 802.11b, IEEE 802.11g, IEEE 802.11a などがある。
イーサネットのデータグラムをそのまま流せる。
- 速度は、最大 11M bps から 54M bps 程度と言われているが、
実際にはそれほどは出ない。雑音や混信に弱い。
Wi-Fi (Wireless Fidelity, ワイファイ) は、アメリカの業界団体が無線LAN
の相互接続認定した機器。
ディジタル信号の0、1の並びを、電気信号へ変換する。
- 振幅変調 (AM, Amplitude Modulation)
- 周波数変調 (FM, Frequency Modulation)
- 位相変調 (QM, Phase Modulation)
直交振幅変調 (QAM Quadrature Amplitude Modulation) は、AM とQM を組み
合わせる。
音声を流すための銅線(光ではない線)に、音声では使わない高い周波数の信
号を流してデータ通信を行う仕組み。DSL (Digital Subscriber Line, ディジ
タル加入者回線)の一種。Asymmetric とは、上り下りを非対称にして、下りを
高速にしたもの。
- 音声
- 3.4KHz 以下
- 上り
- 25KHz-150KHz
- 下り
- それ以上
変調は、QAM。
スプリッタは、音声の通信とデータ通信(上り/下り)を分ける。
NTT 等の電話会社は、光ファイバによるアクセスラインを商品としては、
100Mbps で売っている。技術的にはもっと高速な通信(10G bps程度) は可能。
線の部分よりも、ルータの速度が問題で押さえている。
銅線を使うものより、混信(漏話、cross talk)や雑音に強いので、電話局よ
り離れても安定している。配線には銅線より手間がかかる。
輪切りにすると、中心から、導線、絶縁体、外部導体(シールド)がある。単
純な線より、雑音に強い。イーサネット、テレビのアンテナ線(丸いもの)、
ケーブルテレビの配線にも使われる。
外側の導線が雑音を防ぐ。
イーサネットにも配線にも使われていたが、最近はイーサネットはより対線や
光ファイバが多い。
ケーブルテレビ会社が提供するインターネット接続サービスでは、各家庭には、
ADSL と同様に、スプリッタとモデム(ケーブルモデム)を置く。
モデムは、電話回線やケーブルテレビの線など
もともとアナログ信号しか通らないような回線でディジ
タル情報(ビットの並び)を送るための機器。電話回線につなぐモデムでは、
ディジタル情報(ビットの並び)は、音声(表す電気信号)に変換されて
アナログの回線に送られる。反対側では、再びディジタル情報に戻される。
UTPケーブル、より線ということもある。
線がよってあるので、雑音が相殺される。
イーサネットで使われているものは、線が8本(4ペア)。
速度によって、利用するペアが違う。
2種類ある。
- ストレート
- 単純に結線されている。ハブとコンピュータを接続する時に使う。
- クロス
- ペアが逆になるように結線されている。ハブとハブを接続するために使う。
ハブがない時でも、2台のコンピュータを接続する時にも使える。
最近のハブやコンピュータは、ケーブルの違いを自動的に認識することが多い
ので、ケーブルの種類に悩まなくてもよくなりつつある。古い機器では、区別
が大事。
多重接続(Multiple Access)とは、同じ周波数帯で複数の局が同時に利用する
意味。同時といっても、複数の通信を区別する必要がある。その方法にはいく
つかの方法がある。
- FDMA。周波数で分ける。初期の自動車電話。
- TDMA。時間で分ける。PDC (Personal Digital Cellular)。PHS。コードレス電話。
- CDMA。符合でわける。
携帯電話でデータ通信の方法
- 固定電話と同じように音声信号に変換して送る。
- パケットととしてディジタルのまま送る。
携帯電話の音声の通信でも、内部的には連続的な音声の信号を、ディジタル・
データに変換し、分割してパケットとして送り出している。
携帯電話の課金の方法には次の2つの方法がある。
TCP/IP のネットワークは、Best Effort のネットワークである。
- データを送信したとしても、途中で失われることがある。その場合、TCP
では再送して回復を試みるが、必ず送り届けられる保証はない。
(UDP では、
自動的には再送はされない。)
時間切れで遅れなかったと報告されても、実際には送られていたということもある。
- 利用可能な通信帯域(あるいは、通信速度)が、変動する。混んでくる
と、データが失われないまでも、帯域が狭くなる(速度が遅くなる)。
Best Effort に対して、予約ができるネットワークもある。
- 通信を開始する時点で、途中のルータ(交換機)で利用可能な帯域
が予約できる。予約できない時には、そもそも通信の開始ができない。
(電話なら通話中になる。)
- メッセージを送信できたか、送信できなかったかが必ずわかる。
コンピュータをネットワークに接続する時に、設定を自動的に配布する。重要
な設定としては、次のものがある。
- IP アドレス
- 近くのルータの IP アドレス(デフォルトルート)
- DNS名前サーバ(来週)のIP アドレス
IP アドレスは、一定時間だけ、そのコンピュータに貸される。
IP アドレスのうち、決してインターネットでは使わないと約束されている領
域がある。
- 10.0.0.0 - 10.255.255.255
- 172.16.0.0 - 172.31.255.255
- 192.168.0.0 - 192.168.255.255
この部分は、インターネットに接続しない機器を、組織内で接続するために使っ
てもよい。
プライベートではない、普通のアドレスは、グローバル IP アドレスと
呼ぶことがある。
ルータで、IP アドレスやポート番号を変換することがある。
- NAT(Network Address Translation)
- NAPT(Network Address Port Translation)
- IP Masquerade
変換する目的には、次のようなもがある。
- プライベート IP アドレスを持つ機器をインターネットに接続する。
- グローバル IP アドレスを節約する。たとえば、複数のパソコンには、
それぞれ重複しないようにプライベート IP アドレスを割り当てる。ルータで
は、それら複数のプライベート IP アドレスを1個のグローバル IP アドレス
に変換する。
- 「方向」を考えながら変換することで、セキュリティを高める。
たとえば、内部から外部への TCP/IP の接続を許し、
外部から内部への接続を許さないように設定すれば、
内部のパソコンはインターネット上の Web ページにアクセスできるが、
外部から内部のパソコンに接続して攻撃することは防げる。
- IP アドレスを変更する時に一時的に使う。
- 内部的には複数台で構成しているコンピュータを外からは1台に見せかける。
情報量は、日常的な単位で時間以外のものと対応させるとわかりやすい
(かもしれない)。長さ、重さ、面積、体積など。
情報量の単位。
- ビット(bit,b)
- コンピュータで扱う情報の最小単位。
- バイト(byte,B)
- (アメリカなら)1文字を扱える程度の情報量。
1バイトは、8ビットに等しい。
情報量には次のような係数がことがある。
- k (キロ、ケイ)
- 1024 か 1000
- M (メガ)
- k の 1024 倍か 1000 倍。1,000,000 くらい。
- G (ギガ)
- M の 1024 倍か 1000 倍。1,000,000,000 くらい。
- T (テラ)
- G の 1024 倍か 1000 倍。1,000,000,000,000 くらい。
情報量の感覚
- 1 ビット
- 白と黒の区別
- 1 バイト (8ビット)
- ヨーロッパ系文字 1 文字。256色。
- 2 バイト (16ビット)
- 日本語の漢字 1 文字。60000色。
- 3 バイト (24ビット)
- 1677万色(2の24乗)。コンピュータのモニタの画素の色数。
- 4 バイト (32 ビット)
- 現在広く使われているコンピュータが
一度に計算できる情報量。整数なら40臆程度まで。
- 256 ビット (32バイト)
- 16ドット×16ドットの白黒の画像(ビットマップ)で
漢字 1 文字を表現した時の情報量。
- 数 k バイト
- 典型的な電子メール1通の大きさ。数千文字。
- 8k バイト (8000 バイト、64 k ビット, 64,000 ビット)
- 1秒間に電話の品質で音声を記録した時の情報量。
- 1 M バイト (1,000,000 バイト, 8,000,000 ビット)
- フロッピディスク1枚に保存できる情報量。
- 230M バイト
- 光磁気ディスク(MO)1枚に保存できる情報量。
(230M バイト以外にも、128MB/640MB/1.2GBのMOもある)
- 64M バイト〜512M バイト
- 一度にメインメモリに入る量(構成によって違う)
- 640M バイト (640,000,000 バイト)
- CD 1 枚に保存できる情報量。
- 4.7G バイト (5,000,000,000 バイト)
- DVD 1 枚(片面2層)に保存できる情報量。
- 20 G バイト〜400G バイト
- ハードディスクの容量(構成によって違う)
通信速度の単位。
- 毎秒何ビット、bps、bit per second、bit/second
- 1秒間に何ビット送れるか
- Bytpe/second、毎秒何バイト
- 1秒間に何バイトビット送れるか。
1 Byte/sec == 8 bps。
ややこしいことに、データ量はバイトで言うことが多く、通信速度は、ビット
/秒が使われることが多い。
情報量の単位と同様に、通信速度にも次のような係数がことがある。
- k (キロ、ケイ)
- 1024 か 1000
- M (メガ)
- k の 1024 倍か 1000 倍。1,000,000 くらい。
- G (ギガ)
- M の 1024 倍か 1000 倍。1,000,000,000 くらい。
- T (テラ)
- G の 1024 倍か 1000 倍。1,000,000,000,000 くらい。
通信速度の感覚
- 10 k bps
- よく普及している携帯電話で得られる速度
- 32 k bps - 56 k bps
- 電話回線経由で接続した時に得られる速度。
- 32 k bps または 64 k bps
- PHS (Personal Handy Phone) で得られる速度
- 64 k bps
- ISDN (電話回線と同じ電線で直接ディジタル信号を流す時)
- 100 k bps
- MP3 などで圧縮した音楽を流す時に必要な速度。
- 128 k bps
- ISDN で2回線同時に使った時。
- 1500 k bps (1.5 M bps)
- ISDN (光ファイバでディジタル信号を流す時)
- 1500 k bps (1.5 M bps)
- 音楽用 CD を圧縮しないでまま流す時に必要な速度。
(1倍速のCDの速度。)
- 1500 k bps (1.5 M bps)
- ケーブルテレビや ADSL という方式でインターネット接続を
した時に得られる速度。
- 5000 k bps (5 M bps)
- DVD-Video を再生している時にディスクから読み出されている
データの速度。
- 10 M bps, 100 M bps, 1000 M bps (1 G bit / second)
- イーサネット(LANでよく使われている)
実習室のパソコンは、100M bps で学内LANに接続されている。
学内LANの基幹部分は、1G bps - 16G bps で接続されている。
学内LANからSINETへの出口は、??M bps。その先は
注意:大学の Windows 2000 では、GUI の方法は権限がなくて失敗するかもしれない。
(1) GUI
- スタート
- 設定
- コントロールパネル
- ネットワークとダイヤルアップ接続
- ローカルエリア接続
- スタート
- プログラム
- アクセサリ
- システムツール
- システム情報
- コンポーネント
- ネットワーク
- アダプタ
(2) コマンドプロンプトから
ipconfig
複数のパソコンで実行して、IPアドレスが全部違うことを確認しなさい。
- スタート
- プログラム
- アクセサリ
- コマンドプロンプト
コマンドプロンプトで次のように打つ。
ping 130.158.66.10
4回くらい繰り返したら自動的に止まるはずである。
強制終了は ^C (コントロールキーを押しながら C キーを押す)。
IP アドレスとして、別のものを指定しなさい。たとえば、次のようなものが
考えられる。
- 隣の PC
- 電源が入っていないもの
- 電源が入っているもの
- 電源が入っているが、ケーブルを抜いた状態のもの
- 自分自身(そのPCのIPアドレス)
http://www.ipe.tsukuba.ac.jp/ という URL の代わりに次の URL を使ってペー
ジを開きなさい。
http://130.158.65.1/
次週へ移動
次週へ移動
次週へ移動
次の画面で、パスワードを登録しなさい。
[パスワード登録画面]
このパスワードは、次回以降、出席や講義の内部ページのアクセスに利用する。
電子メールのアドレスは、必ず有効なものを指定しなさい。講義に関する重要
な連絡事項を流します。実習期間中には変更しないこと。もし変更があった場
合には、実習時間内に新城に連絡すること(電子メールでの要望には受付けま
せん)。
締め切りは、2005年12月13日(火曜日) 23:59:59 とする。
実習時間中に行うことが望ましい。
Tiki による講義の掲示板に、今週の授業内容に関す
る書き込みを行いななさい。
締め切りは、2005年12月13日(火曜日) 23:59:59 とする。
実習時間中に行うことが望ましい。
講義の期間中ずっと有効なアドレス(携帯電話は不可)から新城に次のような形
式の電子メールを送りなさい。
To: yas@is.tsukuba.ac.jp
Subject: [ipe-inet-2005] Assignment-3, Survey
学籍番号
名前
(内容)
このように、英語で題名(題目、表題)をつけること。この題名は、電子メー
ルを分類するために使う。題名が間違っていた場合には、返事が遅れることが
ある。
内容としては、次のようなものを含めなさい。
- 情報処理(実習)を含めて、どの程度のコンピュータに関する技量があ
るか。扱えるソフトウェアなど。
- 自宅にパソコンがある人は、その種類(オペレーティング・システム)。
- 自宅にパソコンがインターネットに接続可能ならば、その手段。
- この科目に期待している内容。
この時発信に用いた電子メールのアドレスは、講義のメーリング・リストを作
成するために用いる。
締め切りは、2005年12月13日(火曜日) 23:59:59 とする。
実習時間中に行うことが望ましい。
電子メールには返信を返す。
この講義で、各自の目標を設定しなさい。
前回までの例:
- 外部コンピュータから自宅コンピュータを遠隔操作する
- JavaScriptについて勉強し、自分のWebページのデザインに活かす
- ファイル転送・ファイル共有の仕組みについて理解する
- Internet Explorer の詳細な設定の意味について理解する
- ウイルスやトロイの木馬の仕組みと対策について理解する
- ファイルサーバの仕組みを理解し運用する
- Web やその他のアプリケーションをサークル活動で活用する
- 検索エンジンを有効に利用するためのノウハウを調べる
- P2P通信の仕組みと様々な方式
- 相互参加できるwebサイト
- 無線LANのセキュリティ
- Webブラウザの種類とその違い
よい目標とは、次のようなものである。
- 現在は、その目標が達成されていない。
- 講義が終わる頃までには、その目標が達成可能である。
- その目標は、達成可能な範囲で、難しいものが望まれる(この講義だけ
の立場では)。簡単すぎるもの、難しすぎるものは不可。
- 具体的なもの。
このような目標を考えて、Wiki による講義の掲示板
で発表しなさい。
- 名前(漢字)、学籍番号、学類、学年
- 課題のタイトル(1行、40文字以内)
- 課題の内容(10行〜20行、400文〜800字)。何をどこまで
達成したいか。現在の知識や技量と、それをどこまで伸ばしたいか。
第1回締め切りは、2005年12月13日15:00。第2回締め切りは、20日15:00 と
する。2005年12月13日と20日の講義の時間に設定した課題について、レビュー
を行う。
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・[12月6日]
→[12月13日]
Last updated: 2005/12/19 23:48:17
Yasushi Shinjo / <yas@is.tsukuba.ac.jp>