ハードウェア、数、文字の表現

					2018年04月27日
情報科学類 コンピュータリテラシ

                                       筑波大学 システム情報系
                                       新城 靖
                                       <yas@cs.tsukuba.ac.jp>

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http://www.coins.tsukuba.ac.jp/~yas/
http://www.cs.tsukuba.ac.jp/~yas/

■連絡事項

■情報処理の3つの形態

コンピュータは、情報を扱うための機械。 情報や情報処理の定義は、けっこう難しい。

新城の定義。情報とは、コピーしても同じものと思えるもの。物は、コピーす ると別のものになる。お金は、情報だがコピーしてはいけない。

新城の定義(その2)。情報とは、情報処理の対象となるもの。情報処理とは、 次の3つ。

計算(computation)
数の加減乗除、文字列の比較・置き換え、選択など。 プログラミング言語でできることは、主にこれ。 メモリ中のものしか計算の対象にならない。 CPUは、メモリ中のデータしか書き換えられない。
通信(communication)
データをあるコンピュータ(プロセス)のメモリから別のコンピュータ(プロ セス)のメモリにコピーすること。
記憶(storage)
「整理」して、永続的な記憶にコピーする。
実際には、いろいろな要素が混じって、厳密には分類不可能。

ディジタル・コンピュータによる情報処理

人間による情報処理

内部でどうやっているかは、よくわからない。

外から見える人間の情報処理

人間の対話では、実は、non-verbal な情報(文字にならない情報)のやり取り が多い。非言語的な情報は、コンピュータで扱うことは苦手。

講義内容も、印刷された資料/Webの資料の情報量よりも非言語的な情報が多い。

■コンピュータの構成要素

The Unix Super Text 2章 参照 ハードウェアは、分解するすると目に見える。 ソフトウェアは、(有用な)ビット列(ビットの並び)。目に見えない。

◆ハードウェア

CPU、メモリ、ディスプレイ、ディスク、キーボード、ネットワーク
図? ハードウェアの構成要素

◆記憶のためのハードウェア

メモリ(メインメモリ)、RAM(Random Access Memory)、主記憶
実行中のプログラムを保持する。加工するデータを一時的に保持する。 IC(Integrated Circuit、シリコンという元素による半導 体で作られた電気回路)で作られているので、速い。 容量は、ハードディスクよりは小さい。値段が高い。 (揮発的(電源を切ると消えてしまう)。)
ハード・ディスク (HD(Hard Disk), HDD(Hard Disk Drive))、 ストレージ、二次記憶
プログラムやデータをデータを保持する。 容量は、メモリより大きい。値段が安い。 (永続的である(電源を切っても残っている)。)

保存する==書く、取り出す==読む

ハード・ディスク(HDD) の代わりに、SSD (Solid State Drive) を備えている コンピュータも多い。SSD は、IC でできているが、電源を切っても内容が消え ない。フラッシュメモリという技術がよく使われる。

ビット(bit)

ディジタル・コンピュータであつかえる情報の最小単位。

1ビットの情報で表現できること

1ビットでは、あまり大したことはできないので、複数ビットまとめて(ビッ トの並び、ビット列)にしてあつかう。

バイト(byte)

コンピュータでは、8ビットをまとめて扱うことが多い。 その場合、8ビット==1バイトという。 (以前、1バイトが9ビットのコンピュータも存在した。)

1バイトあるとできること

メモリには、数字で番地(アドレス)が付いている。 バイト単位で番地がついているコンピュータが主流。 番地を指定して、1バイトのデータを保存したり、番地を指定して1バイトの データを取り出せたりする。

◆ワード

あるコンピュータで最も効率よく計算できるビットの数。コンピュータによっ て異なる。パーソナル・コンピュータでは、32ビット(4バイト)や 64 ビット (8バイト)のものが多い。

◆ブロック

ハードディスクなどの記憶媒体とは、1ビット単位や1バイト単位では情報を 読み書きできない。もっと大きな単位でしか読み書きできない。 入出力する単位をブロックと呼ぶ。

1ブロックは、512バイト〜8192バイトが多い。 記憶媒体によって違う。

◆計算のための部品

CPU (Central Processing Unit、中央処理装置、中央演算装置)は、コンピュー タの計算を行う部品である。プロセッサ(processor)、 MPU (Micro Processing Unit) と言われることも ある。

CPU は、内部に 数が少ないが、計算の中間結果を置くための高速な 小容量の記憶のための部品(レジスタ)と 計算のための部品(ALU、Arithmetic Logic Unit)を持つ。

CPU は、次の動作を、ひたすら繰り返す

CPU は、メモリ(主記憶)に入っいているプログラムに従って、やはりメモリ (主記憶)に入っいているデータを操作する。CPU が実行できるプログラムは、 機械語と呼ばれる。

CPU の種類によって、プログラム(機械語)が違う。 プログラム(ソフトウェア)を買う時には、CPU の種類に気をつける。

CPU は、コンピュータの速度を決める重要な要素となる。 (CPUだけ速くても他の部品が遅いと、全体として遅くなることがある。)

CPUが速いほど、計算は速い。CPUの速さは、クロックの周波数(単位は、Hz)を 目安にできる。たとえば、2GHz の CPU は、1GHz の CPU の2倍の速度が 出ると期待できるが、実際には周波数以外の技術で高速化がなされることも 多い。CPU の種類が違うと周波数の比較の意味はない。

◆CPUが行う計算の種類

コンピュータでは、 「×」を「*」、「÷」を「/」で表記することが多い。

◆通信のためのハードウェア

日を改めて。

■情報量

◆単位

情報量の単位。

ビット(bit,b(小文字))
コンピュータで扱う情報の最小単位。
バイト(byte,B(大文字))
欧米(ASCII, Latin-1)なら1文字を扱える情報量。 普通、1バイトは、8ビットに等しい。

情報量の単位、ビットやバイトには、次のような係数とともに使われる。

K (キロ(kilo-)、ケイ)
1 K == 1000 または 1024
M (メガ(Mega-))
1 M == 1000 K または 1024 K または 1,000,000 (100万)
G (ギガ(Giga-))
1 G == 1000 M または 1024 M または 1,000,000,000 (10億)
T (テラ(Tera-))
1 T == 1000 G または 1024 G または 1,000,000,000,000 (1兆)
P (ペタ(Peta-))
1 P == 1000 T または 1024 T または 1,000,000,000,000,000 (1000兆)
E (エクサ(Exa-))
1 E == 1000 P または 1024 P または 1,000,000,000,000,000,000 (100京)
1024 == 210

◆情報量の感覚

慣れないうちは空間や距離の感覚に置き換えるとよい。
1 ビット
白と黒の区別
1 バイト (8ビット)
ヨーロッパ系文字 1 文字。256色。
2 バイト (16ビット)
日本語の漢字 1 文字。60000色。
3 バイト (24ビット)
1677万色(2の24乗)。コンピュータのモニタの画素の色数。
4 バイト (32 ビット)
現在広く使われているコンピュータが 一度に計算できる情報量。整数なら40臆程度まで。
256 ビット (32バイト)
16ドット×16ドットの白黒の画像(ビットマップ)で 漢字 1 文字を表現した時の情報量。
数 k バイト
典型的な電子メール1通の大きさ。数千文字。
8k バイト (8000 バイト、64 k ビット, 64,000 ビット)
1秒間に電話の品質で音声を記録した時の情報量。
1 M バイト (1,000,000 バイト, 8,000,000 ビット)
フロッピディスク1枚に保存できる情報量。
256M バイト〜32GB バイト
典型的なパソコンで、一度にメインメモリに入る量(構成によって違う)
640M バイト (640,000,000 バイト)
CD 1 枚に保存できる情報量。
4.7G バイト (5,000,000,000 バイト)
DVD 1 枚(片面1層)に保存できる情報量。
1G-1T バイト
USBフラッシュメモリ, SD(SDHC)カード 1 個に保存できる情報量。
25/50/100/128 G バイト
Blu-ray Disc 1 枚に保存できる情報量。
80 G バイト〜8T バイト
ハードディスクの容量(構成によってかなり違う)

■符号化

コンピュータで扱えるように、情報をビット列(符合、コード)に対応させる。

■数の符号化

The Unix Super Text 下巻56章 参照

◆数の意味と表現

数の意味(数値、数)
「2」、「二」、「II」と書いても同じ
数の表現
「2」、「二」、「II」は意味は同じでも表現は違う

◆非負整数

0、1、2、・・・の表現を考える。 有限の文字(数字,digit)の組み合わせが便利。<−>(one,two,...,ten,eleven,twelve,thirteen,...)と対比して。

n進法
n個の数字で数値を表現する方法
n進数
n進法で表現された数字
基底(base)
n進法のn。基底自身は10進法で表現するのが普通。

◆n進数

表現:  P <SUB>m-1</SUB>  P <SUB>m-2</SUB> ...  P <SUB>2</SUB>  P <SUB>1</SUB>  P <SUB>0</SUB>

意味:   P <SUB>m-1</SUB> × n <SUP>m-1</SUP> +
  P <SUB>m-2</SUB> × n <SUP>m-2</SUP> +
...  +
  P <SUB>2</SUB> × n <SUP>2</SUP> +
  P <SUB>1</SUB> × n <SUP>1</SUP> +
  P <SUB>0</SUB> × n <SUP>0</SUP>

◆10進数

表現: 101

意味: 1 × 10 <SUP>2</SUP> + 
0 × 10 <SUP>1</SUP> + 
1 × 10 <SUP>0</SUP>

◆2進数

表現: 101

意味: 1 × 2 <SUP>2</SUP> + 
0 × 2 <SUP>1</SUP> + 
1 × 2 <SUP>0</SUP>

◆8進数、16進数

n=8, n=16の意味。2進数で3桁、4桁をまとめて表す。 16進数では、10進数の10〜15を表すのに、A〜Fを使う。

16進数を表すのに、頭に 0x を付けることがある。C 言語の表記方法。 8進数を表すのに、頭に 0 を付けることがある。C 言語の表記方法。

16進数を転記する必要がでてくることがある。

次のような計算が必要になることがある。

◆2進数、8進数、16進数、10進数

             2進数   8進数   10進数   16進数
                0       0       0      0 
                1       1       1      1 
               10       2       2      2 
               11       3       3      3 
              100       4       4      4 
              101       5       5      5 
              110       6       6      6 
              111       7       7      7 
             1000      10       8      8 
             1001      11       9      9 
             1010      12      10      A 
             1011      13      11      B 
             1100      14      12      C 
             1101      15      13      D 
             1110      16      14      E 
             1111      17      15      F 
            10000      20      16     10 
           100000      40      32     20 
          1000000     100      64     40 
         10000000     200     128     80 
        100000000     400     256    100 
       1000000000    1000     512    200 
      10000000000    2000    1024    400 
     100000000000    4000    2048    800 
    1000000000000   10000    4096   1000 
   10000000000000   20000    8192   2000 
  100000000000000   40000   16384   4000 
 1000000000000000  100000   32768   8000 
10000000000000000  200000   65536  10000 

◆10進数を2進数で表現する

方法1

10進数の21を2進数で表現する
図? 10進数の21を2進数で表現する

方法2

  1. 上の表を見て、10進数の桁で大きなものから引けるものを引く。
  2. 1. で引けた2進数を全部加える。
方法3
  1. 16進数で表現する。
  2. 16進数の各桁を、2進数で表現する。

◆10進数を16進数で表現する

方法1
  1. 16で割る。
  2. 余りを16進数で1番右の桁に書く。
  3. 商を16進数で表現して左につなげる。
方法2
  1. 2進数で表現する。
  2. 2進数の表現を16進数に変換する。

◆2進数を16進数へ変換する

  1. 下位から4ビットごとに区切る。
  2. それぞれを16進数で書く。

◆コンピュータで扱える数の種類

整数と小数に分けられる。

◆整数

ビット数によって、扱える範囲が違う。 正の数だけでなくて負の数も扱う時には、正か負かを表すために1ビット使う。 普通は、「2の補数」という方式を使うので、負の部分が1つ大きい。

nビットで表現している場合、2n-1以上の数は、 その数から 2nを引いた数を表現していると解釈する方法。

2の補数は、算盤で負の数を扱う時と同じ方法。2の補数では、負の数 -n を、 「n を加えると、(桁あふれして) 0 になるような値」として表現する。

例: n == 4 (4ビット)の場合の解釈

4ビット表現	符号無し数	2の補数表現
0000	         0	         0
0001	         1	         1
0010	         2	         2
0011	         3	         3
0100	         4	         4
0101	         5	         5
0110	         6	         6
0111	         7	         7
1000	         8	        -8
1001	         9	        -7
1010	        10	        -6
1011	        11	        -5
1100	        12	        -4
1101	        13	        -3
1110	        14	        -2
1111	        15	        -1

The Unix Super Text 56.1.2節 参照

◆小数

表記する時には、小数点を使う。

表現:  P <SUB>m-1</SUB>  P <SUB>m-2</SUB> ...  P <SUB>2</SUB>  P <SUB>1</SUB>  P <SUB>0</SUB> .  P <SUB>-1</SUB>  P <SUB>-2</SUB> ...  P <SUB>-i</SUB> (小数点の左側に m 桁、右側に i 桁)

意味: 
  P <SUB>m-1</SUB> × n <SUP>m-1</SUP> +
  P <SUB>m-2</SUB> × n <SUP>m-2</SUP> +
...  +
  P <SUB>2</SUB> × n <SUP>2</SUP> +
  P <SUB>1</SUB> × n <SUP>1</SUP> +
  P <SUB>0</SUB> × n <SUP>0</SUP> +
  P <SUB>-1</SUB> × n <SUP>-1</SUP> +
  P <SUB>-2</SUB> × n <SUP>-2</SUP> +
...  +
  P <SUB>-i</SUB> × n <SUP>-i</SUP>

整数は、任意の進法で正確に表現できるが、小数は表現できないことがる。 コンピュータの内部で、小数を2進法で扱う方法が主流だが、 会計分野等で10進法で扱う場合もある。

◆小数の符号化

固定小数点は、ドルを考えるとわかる。整数 100 を、1 と思う。

◆浮動小数(floating point)

小数を次のように考え、 指数部 e と小数部(仮数部) f の整数の組で表現する。 

f × b e

b は、2 が使われることが多い。(10 が使われることも、16 が使われることも ある。)

浮動小数点に関して、標準規格(IEEE 754)がある。b=2。 単精度(float)は、全体で 32 ビット(符号(正負)1ビット、f に 23ビット、e に 8 ビット)。 倍精度(double)は、全体で 64 ビット(符号(正負)1ビット、f に 52ビット、e に 11 ビット)。

◆その他

直接利用できるプログラミング言語もある。

◆誤差とオーバーフロー

数の計算でも、コンピュータは、間違えることがある。

その前に、そもそもプログラム(コンピュータを制御するための手順)は人間 が作ったものである。

◆基数の変換

■文字の符号化

The Unix Super Text 下巻56章 参照

文字集合(文字セット、character set)

利用する文字を明確に限定したも。

コンピュータとは関係ない文字集合

文字の符号化

文字の符号化(encoding)とは、文字とビット列(または整数)を対応させるこ とである。対応のさせかたには何種類もある。
A	1
B	2
C	3
...
Z	26
モールス符合。

あ	11
い	12
う	13
え	14
お	15
か	21
...
さ	31
...

◆ASCII(アスキー)

英語のアルファベット(大文字、小文字)や数字や記号などの文字を符号化す るために、現在もっともよく使われている対応表は、ASCII(American Standard Code for Information Interchange)。 国際標準としては、ISO 646。

英文の電子メール、C言語のプログラミングなどで使われている。

ASCII というと、符号化の方法だが、文字集合を意味することもある。 文字集合では、ASCIIのうち印刷可能な94文字を意味する。ASCII では、 印刷可能な文字以外に、印刷できない制御文字も定義している。

ASCII では、7ビットで文字を表現している。10進では0から127, 16進では 0 から 7F までである。

ASCII コード表 
+---------------------------------------------------------------+
| 00 NUL| 01 SOH| 02 STX| 03 ETX| 04 EOT| 05 ENQ| 06 ACK| 07 BEL|
| 08 BS | 09 HT | 0A NL | 0B VT | 0C NP | 0D CR | 0E SO | 0F SI |
| 10 DLE| 11 DC1| 12 DC2| 13 DC3| 14 DC4| 15 NAK| 16 SYN| 17 ETB|
| 18 CAN| 19 EM | 1A SUB| 1B ESC| 1C FS | 1D GS | 1E RS | 1F US |
| 20 SP | 21  ! | 22  " | 23  # | 24  $ | 25  % | 26  & | 27  ' |
| 28  ( | 29  ) | 2A  * | 2B  + | 2C  , | 2D  - | 2E  . | 2F  / |
| 30  0 | 31  1 | 32  2 | 33  3 | 34  4 | 35  5 | 36  6 | 37  7 |
| 38  8 | 39  9 | 3A  : | 3B  ; | 3C  < | 3D  = | 3E  > | 3F  ? |
| 40  @ | 41  A | 42  B | 43  C | 44  D | 45  E | 46  F | 47  G |
| 48  H | 49  I | 4A  J | 4B  K | 4C  L | 4D  M | 4E  N | 4F  O |
| 50  P | 51  Q | 52  R | 53  S | 54  T | 55  U | 56  V | 57  W |
| 58  X | 59  Y | 5A  Z | 5B  [ | 5C  \ | 5D  ] | 5E  ^ | 5F  _ |
| 60  ` | 61  a | 62  b | 63  c | 64  d | 65  e | 66  f | 67  g |
| 68  h | 69  i | 6A  j | 6B  k | 6C  l | 6D  m | 6E  n | 6F  o |
| 70  p | 71  q | 72  r | 73  s | 74  t | 75  u | 76  v | 77  w |
| 78  x | 79  y | 7A  z | 7B  { | 7C  | | 7D  } | 7E  ~ | 7F DEL|
+---------------------------------------------------------------+

たとえば、「ABC」という3文字は、コンピュータの内部では、41 42 43 (16 進)と表現されている。「123」という3文字は、31 32 33 (16進)と表現さ れている。このように、文字と数字は違う。「1」という文字が数値と しは16進で 31 (10進では48) と表現される。

ASCII コード表で、16進で 00 から 1F と 7F は、普通の文字ではない。 これらは、制御文字(control character,制御コード)と呼ばれている。 制御文字は、通信速度の制御に使ったり、行末を表わしたり文字を 消したりするのに使われる。キーボードで、Control-A と打つと、制御文字 を打ったことになる。

重要な制御文字

0D (CR, Carriage Return)
復帰(リターン)
0A (NL, New Line)
改行
09 (HT, Horizontal Tab)
水平タブ
08 (BS, Back Space)
後退
1B (ESC, Escape)
エスケープ
7F (DEL, Delete)
削除

ASCII のバックスラッシュ 「\ (16進数で5C)」は、日本語のJISローマ字文字 集合で円記号「¥ (16進数で5C)」と同じ値になっている。

◆ISO Standard ISO8859-1 Latin-1

Latin-1コード表

8ビット符号。 20(16進)から7F(16進)までは、ASCII と同じ。 西ヨーロッパでよく使われている。

◆JIS X 201

0 から 255 (0x00-0xFF) に英数字とカタカナを割り当てたもの。 英字部分は、ほとんど同じだが、5C (16進数) と 7E が違う。

JIS X 201 コード表

◆JIS X 0208

94 区 × 94 点の 8836 の空間を使う。 漢字は、第一水準 2965 文字、第二水準 3384 文字、追加、6文字を含む。 その他に、ギリシャ文字、キリル文字、経線素片、記号を含む。

◆JIS X 0212

「補助漢字」とも呼ばれる。5801文字の漢字とその他の記号を含む。

◆JIS X 0213

第三水準、第四水準を定義して、JIS X 0208 と合わせて 11223 文字が表せる。

◆その他

◆よく使われる文字集合とエンコーディング

文字集合は、コンピュータの内部に取り込まなくても意味がある。 ある文字集合に含まれる文字を、コンピュータの内部に取り込んで処理するためには、 文字をどのようなビット列(整数)で表すかを決める必要がある。 このビット列での表し方を決めたものがエンコーディング。

ASCII は、7 ビットであるが、1バイト(8ビット)にそのまま入れる。 (1ビット無駄になるが気にしない。)

Latin-1 は、1バイト(8ビット) なので、そのままメモリに入れる。

日本語の場合、次のエンコーディングがよく使われる
エンコーディング 文字集合
JISコード JIS X 0201, JIS X 0208, JIS X 0212
EUC-JPJIS X 0201, JIS X 0208, JIS X 0212
Shift_JIS JIS X 0201, JIS X 0208
UTF-8 Unicode, USC
注意

◆JISコード

文字集合ASCII, JIS X 0201, JIS X 0208, JIS X 0212 を切り替えながら表現 する。切り替えるためのマークを、エスケープシーケンス(Escape Sequence)と いう。

ASCII, JIS X 0201 は、エスケープシーケンスを挟んで そのまま使う。 JIS X 0208, JIS X 0212 については、区番号と点番号に 10進で32、 16進で20を加える。

JIS漢字コード表の一部

参考:

http://www.hlla.is.tsukuba.ac.jp/~yas/classes/ipe/nitiniti2-enshu-1996/1996-11-18/kanji-code.html
漢字コードに関する解説

◆漢和辞典

漢和辞典では、JIS漢字コードを目にすることがある。

漢和辞典

旺文社漢和辞典より。1986年。ISBN 4-01-077522-X。

残念ながら、漢字コードから漢字が引けない。

◆漢字をコンピュータへ打ち込む

現在、かな漢字変換が主流だが、読み方がわからない時、かな漢字変換用辞書 に載っていないときには漢字コードで指定することもできる。

macOS では、「文字ビューア」も使える。

◆文字の符号化の意義

文字を符号化することには、いくつかの意義がある。 比較できることは、検索の時に便利。画像では検索しにくい。

逆に文字を符号化してしまうと、個人の性質を出したい時には、問題がある。 たとえば、署名やラブレター。

◆文字化け

文字の符号化には、何種類もある。符号化の方法を知らないと「文字化け」を 起こす。

コンピュータ上では同じビット列でも、文字コードの違いにより解釈が異なる。 間違った文字コードで解釈すると、「文字化け」を起こす。

あいうえお<−>12345<−ABCD
図? 複数の符号化の方法による解釈

文字化けを起こした時には、解釈方法(文字コード)切り替えてみると直るこ とがある。

■実習

放課後などに実施してください。

★練習問題(501) macOS 文字ビューア

macOS の文字ビューアを使いなさい。

macOSの文字ビューア、文字コード、漢のあたり。 (クリックで拡大)
図? macOSの文字ビューア

「文字ビューア」で次の文字を調べなさい。

★練習問題(502) Firefox、Webページの文字コード

Web ページでは、様々な文字コードが使われている。いくつかの Web ページで、 どのような文字コードが使われているかを調べなさい。
  1. Firefox で調べたい Web ページを表示する。
  2. 一番上のメニューバーで「ツール」をクリックし、「ページの情報」を選ぶ。
  3. 「一般」タブを開く。
  4. 「テキストエンコーディング」の所を調べる。
    Firefox の「ページの情報」、一般タブ、URL,型、テキストエンコーディング、サイズ、更新日時 (クリックで拡大)

★練習問題(503) Firefox、文字コードの切替え

Firefox では、Web ページの文字コードを自動的に認識する。 しかし、時々、自動認識が失敗して、 文字化け を起こす。 次の手順で、Firefox の文字コードを切り替えてみなさい。そして、意図的に 文字化けをおこしたり、文字化けを起こしたページを修復したりしなさい。
  1. Firefox で Web ページを表示する。
  2. 一番上のメニューバーで「表示」をクリックしメニューを表示する。
  3. 「テキストエンコーディング」にマウスカーソルを合わせる。
  4. 変更したいエンコーディングにマウスカーソルを合わせ、クリックする。 たとえば、「Unicode」や「日本語(ISO-2022-JP)」に合わせて、クリックする。
    Firefox、表示、テキストエンコーディング、日本語(ISO2022-JP) (クリックで拡大)
  5. 元に戻すには、「再読み込み」の操作を行う。 (Command+R)

★練習問題(504) Firefox、ファイルの表示

この練習問題に取り組む前に、 Finderの表示方法の変更、サイドバー を行いなさい。そうでないと、「家」のアイコンが表示されない。

Firefox は、Web ページだけでなく、ファイルを表示することもできる。 次の方法で、ファイルを表示してみなさい。

  1. Firefox を実行する。
  2. 一番上のメニューバーにある「ファイル」をクリックし、メニューを開く。
  3. 開いたメニューから「ファイルを開く」をクリックし、選択する。 するとウィンドウが開かれる。
  4. 開きたいファイルを探す。
  5. 最後に、ファイルをクリックして選び、「開く」ボタンを押すとファイルが開かれる。
表示できたら、 練習問題 Firefox、Webページの文字コード をやってみなさい。 文字化けしたら、 練習問題 Firefox、文字コードの切替え をやってみなさい。

★練習問題(505) 端末の文字コードの確認

端末では、標準の文字コードが決まっている。次のようなコマンドを実行する と、それを確認することができる。
$ echo $LANG [←]
ja_JP.UTF-8
$ locale [←]
LANG="ja_JP.UTF-8"
LC_COLLATE="ja_JP.UTF-8"
LC_CTYPE="ja_JP.UTF-8"
LC_MESSAGES="ja_JP.UTF-8"
LC_MONETARY="ja_JP.UTF-8"
LC_NUMERIC="ja_JP.UTF-8"
LC_TIME="ja_JP.UTF-8"
LC_ALL=
$ []
この例では、言語が日本語、文字コードが UTF-8 であることがわかる。

iTerm 等の端末で、上のコマンドを実行してどうなるか調べなさい。

★練習問題(506) lv コマンド

手引き 2.7.2 参照。 lvコマンドは、長いテキスト・ファイルを対話的に1ページずつ表示するコマン ドである。lvコマンドで次のような長いテキスト・ファイルを表示してみなさ い。 例:
$ lv ~/literacy-a2.txt [←]
<表示省略。>
<「:」は、lv コマンドのプロンプト。>
<「:」に対して、lv コマンドを操作するキーを打つ事ができる。>
:[]
そして、次の機能を確認しなさい。 次のようにして、マニュアルを表示しなさい。
$ lv -h [←]
$ man lv [←]
次のキーの動作を確認しなさい。
キー 説明
スペース 1ページ進める
q 終了
f 1ページ進める(forward)
b 1ページもどる(back)
j 1行進める
k 1行もどす
g 先頭にもどる
G 末尾にもどる
/str 文字列 str をファイルの末尾に向かって探す
?str 文字列 str をファイルの先頭に向かって探す
n 直前の検索をファイルの末尾に向かって繰り返す(next)
N 直前の検索をファイルの先頭に向かって繰り返す(next)
= ファイル名、位置(行数)、文字コードを表示する

★練習問題(507) lvコマンドによるファイルの文字コードの自動変換の確認

lv コマンドは、ファイルの文字コードを自動的に判定し、端末の文字コードに 変換して表示する機能がある。このことを確認しなさい。

たとえば、コンピュータリテラシの課題を含むファイルの漢字コードは、最初 は、EUC-JP になっている。そのファイルをcat コマンドで表示しても、文字化 けする。

$ cat literacy-a2.txt [←]
<表示省略。文字化け>
$ []
このファイルを lv コマンドで表示すると、きちんと表示される。
$ lv literacy-a2.txt [←]
<表示省略。正しく表示>
<終了するにはqキーを押す>
:q
$ []

★練習問題(508) lvコマンドによるファイルの文字コードの自動判定結果の表示

lv コマンドは、ファイルの文字コードを自動的に判定している。「=」 キー使うと、判定結果を表示することができる。
$ lv literacy-a2.txt [←]
<表示省略>
:=
literacy-a2.txt 1/124 [EUC-JP|UTF-8|UTF-8|UTF-8]:[]
この例では、ファイル「literacy-a2.txt」の文字コードが「EUC-JP」 と判定していることがわかる。「UTF-8」は、端末の文字コードである。

lv のこの機能を利用してみなさい。

★練習問題(509) ASCII表の表示

man コマンドを用いてASCII表を表示しなさい。そして、16進数(hexadecimal) による表記が含まれていることを確認しなさい。
$ man ascii [←]
<表示>
<終了するにはqキーを押す>
:q
$ []

★練習問題(510) nkfコマンド (network kanji finter)

nkf (network kanji finter)は、漢字コードを変換するためのプログラムであ る。 The Unix Super Text 16.1節 参照手引き 2.12.2項 参照。 man nkf参照。

nkf は、cat コマンドで表示すると文字化けするようなファイルを、端末で表 示する時に使う事ができる。たとえば、コンピュータリテラシの課題を含むファ イルの漢字コードは、最初は、EUC-JP になっている。そのファイルをcat コマ ンドで表示しても、文字化けする。

$ cat literacy-a2.txt [←]
このような場合、nkf に -w オプションをつけて実行することで、文字コード を UTF-8 に変換して表示する事で、文字化けを解消できることがある。

$ nkf -w literacy-a2.txt [←]
このことを確認しなさい。
$ cat ファイル名 [←]
$ nkf -w ファイル名 [←]
nkf では、-w を含めて次のようなオプションがよく使われる。

-j
出力を JIS に。なにもつけない場合も JIS になる。
-e
出力を EUC-JP に
-s
出力を Shift_JIS に
-w
出力を UTF-8 に

★練習問題(511) nkfによる文字コードの確認

nkf に --guess オプションを付けると、文字コードを変換するのでは く、文字コードの推定を行い、推定結果を表示する。このことを確認しなさい。
$ ls literacy-a*.txt [←]
literacy-a2.txt  literacy-a3.txt
$ nkf --guess literacy-a*.txt [←]
literacy-a2.txt:EUC-JP (LF)
literacy-a3.txt:EUC-JP (LF)
$ []

★練習問題(512) iTermが扱う文字コードの確認

iTerm で利用している文字コードを確認しなさい。 標準の設定を変更する方法は、練習問題 iTermの設定 に示した。 次のように、現在開いている iTerm のウィンドウの設定を表示したり、一時的 に変更することもできる。
  1. 一番上のメニューバーの「View」をクリックし、開いたメニューで、 「Edit Current Session」をクリックして選ぶ。
  2. Terminal タブを選ぶ。
  3. 「Terminal Emulation」の下の「Character Encoding」の右にあるボタン を押す。すると、様々な言語の様々な文字コードが表示される。
iTerm の文字コードを、一時的に変更するとどうなるか、確認しなさい。
  1. まず、日本語を表示するようなコマンドを実行してみる。
    $ date [←]
    $ cal [←]
    
  2. 上記の方法で、「Character Encoding」を「Unicode (UTF-8)」から他のものに変更する。
  3. 変更後、日本語を表示するようなコマンドを再び実行してみる。
    $ date [←]
    $ cal [←]
    

★練習問題(513) Thunderbird、文字コードの切替え

Thunderbird は、受け取った電子メールの文字コードを自動的に認識する。 しかし、時々、自動認識が失敗して、 文字化け を起こす。 次の手順で、Thunderbird の文字コードを切り替えてみなさい。そして、意図 的に文字化けをおこしたり、文字化けを起こしたページを修復したりしなさい。
  1. Thunderbird で電子メールを表示する。
  2. 一番上のメニューバーで「表示」をクリックしメニューを表示する。
  3. 「テキストエンコーディング」にマウスカーソルを合わせる。
  4. 変更したいエンコーディングにマウスカーソルを合わせ、クリックする。 たとえば、「Unicode」や「日本語(ISO-2022-JP)」に合わせて、クリックする。 必要なら、「自動判定」で言語を選ぶ方法も試す。
    Thunderbird、表示、テキストエンコーディング、日本語(ISO2022-JP) (クリックで拡大)

★練習問題(514) Thunderbird、文字コードの切替え(ソース)

Thunderbird でメールのソースを表示している時にも、文字化けを起こすこと がある。これも同じ方法で解消できることがある。

詳しくは、練習問題 電子メールのテキストの観察 を見なさい。

★練習問題(515) bcコマンドによる基数変換

bcコマンドで obase, ibase を設定することで、基数変換を行いなさい。 The Unix Super Text 56.1.7節 参照。man bc 参照。 新Linux/UNIX入門 34-220節 電卓言語を使う(bc) 参照

★練習問題(516) Rubyによる基数変換

スクリプト言語 Ruby の printf() を使って、基数変換を 行ってみなさい。以下の例は、10進数の100を 16進数で表示したものである。
$ ruby -e 'printf("%x\n",100)' [←]
64
$ []
%x は、16進数。%d は、10進数。%o は、8進数。

★練習問題(517) Pythonによる基数変換

スクリプト言語 Python の format を使って、基数変換を 行ってみなさい。以下の例は、10進数の100を 2進数、8進数、10進数、および、16進数で表示したものである。
$ python -c 'print("{0:b} {0:o} {0:d} {0:x}".format(100))' [←]
1100100 144 100 64
$ []

★練習問題(518) gdbによる基数変換

The Unix Super Text 60章 参照。 デバッガ gdb の表示機能(p)を使って、基数変換を行いなさい。以下の例は、 10進数の100を16進数で表示したものである。
$ gdb [←]
(gdb) p/x 100[←]
$1 = 0x64
(gdb) quit[←]
$ []

★練習問題(519) odコマンド、hexdumpコマンドによるファイルの表示

od (octal dump) コマンドや hexdump (hexadecimal dump) コマンドを用いる と、ファイルの内容を 8 進数や 16 進数で表示することができる。テキストファ イルなら、文字がどのようにエンコーディングされているか調べることができ る。

次のようなことをして、テキストファイルのエンコーディングを調べてみなさい。

  1. Emacs で短いファイル(1文字、1行)を作成する。
  2. od コマンドや hexdump コマンドで表示する。
    $ od filename [←]
    $ od -x filename [←]
    $ od -xc filename [←]
    $ od -xa filename [←]
    

くわしくは、man od, man hexdump参照。 新Linux/UNIX入門 34-223節 ファイルをダンプする 参照The Unix Super Text 21.4.1 バイナリファイルの内容の表示 参照

■課題5 ハードウェア、数、文字の表現

次のファイルを自分のホーム・ディレクトリ等にコピーしなさい。 そして、そのファイルの指示に従い、内容を埋めなさい。エディタとしては、 今日の課題では、必ず Emacs を使いなさい。
$ ls [←]
(literacy-a5.txtが存在することを確認する)
$ emacs literacy-a5.txt [←]

作成したファイルを、 レポート提出ページから提出しなさい。


Last updated: 2018/04/25 13:06:35
Yasushi Shinjo / <yas@cs.tsukuba.ac.jp>