表計算

					2009年06月12日
情報科学類 コンピュータリテラシ

                                       筑波大学 システム情報工学研究科 
                                       コンピュータサイエンス専攻, 電子・情報工学系
                                       新城 靖
                                       <yas@is.tsukuba.ac.jp>

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■連絡事項

■表計算(スプレッドシート)

主な使い方。 種類

◆考え方

セル(cell)
1つの升目
行 (row)
横に切ったもの
列 (column)
縦に切ったもの

◆セルの参照

セルを参照するには、Excel では、A1, B2 のように、アルファベットと数字を使う。 アルファベットは、列、数字は行を表す。 「A1:A10」と書くと、A1,A2,A3,...,A9,A10 の10個のセルを意味する。 「A1:C1」と書くと、A1,B1,C1 の3個のセルを意味する。

Excel での2種類の参照

相対的
なにもつかない
絶対的
頭に $ を付ける。$A1 や A$1 や $A$1 のように。
セルをコピーした時に、相対的な参照では、自動的に番号の付け替えが行われ る。絶対的なものでは行われない。

その他、R1C1 のような表現方法(Lotus 123) もある。

◆式

セルに、「=」から始まる文字列を打ち込むと、式として評価される。

例:「=10+20」と打つと、画面には、「30」と表示される。

セルの式を編集するには、「数式バー」を表示させるとよい。「表示」メニュー の「数式バー」にチェックを入れる。

式としては、次のようなものが記述できる。

◆関数

よく使う関数
sum()
合計
count()
数値の個数
average(), median(), max(), min()
平均, 中央値, 最大、最小
if()
条件判定。第1引数がtrueなら第2、そうでなければ第3引数の値
sumif()
条件を満たせば加える
countif()
条件を満たせば数える

◆書式

セルの表示を、(内容を変更することなく)変更できる。

◆データの操作

1つの行を1つのデータとし操作
ソート
行をある列の値の順に並べかえる
フィルタ
行のうち、条件を満たしたものだけ表示し、 残りを非表示にする

◆CSV形式(Comma Separated Values)

異なる表計算プログラムでデータを交換するためのテキスト形式の1つ。 Excel には、CSV形式のデータを読み込んだり、データをCSV形式で出力する機 能がある。

CSV形式は、テキストなので、漢字コードの問題がなければ、テキスト・エディ タで表示したり修正したりできる。

■グラフの作成

数値などから自動的に作成する。ドローツールを使うのではない。

目的:

方法

◆Excel によるグラフの作成

大事な概念
系列
グラフとして数値の並び
数値軸
y軸(折れ線グラフなどで)
項目軸
x軸(折れ線グラフなどで)
凡例(はんれい)
系列の説明
グラフエリア
グラフの背景
プロットエリア
グラフの内側の折れ線などが表示される部分
タイトル
グラフのタイトル。普通は上に付ける。
軸ラベル
軸が表すことの説明。
グラフウィザード
対話的にグラフの種類、データの領域などを指定していく。

筑波の月ごとの最低気温、最高気温、平均気温。2006年。 Excel で作成した結果

グラフの種類

折れ線グラフや棒グラフでも、x横軸の項目を別途指定できる。

◆gnuplot

The Unix Super Text 52.3節 参照

■実習

実習時間中には、 以下の課題をできるだけ多く行いなさい。全部を行う必要はない。

★練習問題(1701) Microsoft Excel による文書作成

Microsoft Excel を実行して、表を作成しなさい。 ヘルプを表示しなさい。 ヘルプの検索機能を利用しなさい。

★練習問題(1702) オフィスツールの手引き(Excel)

オフィスツール使用の手引きを表示しなさい。
  1. 情報学類コンピューティング環境の Web ページを開く http://www.coins.tsukuba.ac.jp/ce/
  2. 左側のメニューにある 「オフィスツール使用の手引き」 のリンクをたどる (http://www.coins.tsukuba.ac.jp/ce/index.php?%A5%AA%A5%D5%A5%A3%A5%B9%A5%C4%A1%BC%A5%EB%BB%C8%CD%D1%A4%CE%BC%EA%B0%FA%A4%AD)
  3. 「第3章 Excel2003の使い方」のにあるリンクをたどる。

★練習問題(1703) Microsoft Excel の表示形式

次の表示形式の違いを確認しなさい。 通常は、標準を利用する。紙に印刷する時に、はみ出した領域を収める時には、 改ページプレビューを用いる。

★練習問題(1704) 基本操作

次の操作を、キーボード、および、マウスを使って行いなさい。 できるだけキーボード 次のキーの動作を確認しなさい。 マウスによる次の機能を確認しなさい。 メニュー操作による次の機能を確認しなさい。 「数式バー」は、常に表示することを奨める。

★練習問題(1705) 数値の打ち込み

次の数を打ち込みなさい。 「書式」メニューの「セル」の「数値」項目で、 小数点以下の表示桁数などを調整しなさい。 表示幅が不足した時にどうなるか。

★練習問題(1706) 日付の打ち込み

セルに日付を打ち込みなさい 日付の表示形式を、変更しなさい。 「書式」メニューの「日付」の項目から選ぶか、「ユーザー定義」で定義する。

★練習問題(1707) 文字列の打ち込み

セルに文字列を打ち込みなさい。 数を打ち込んだ場合には、右揃えになる。この場合、 「書式」で「文字列」とすると、文字列になり左揃えになる。

長い文字列を打ち込んだ時の挙動を確認/変更しなさい。

★練習問題(1708) オートフィルとコピー&ペースト

同じ内容や連続した数の打ち込むために、オートフィルの機能を使いなさい。 また、類似のことを、コピー&ペーストで行いなさい。 次のような局面で、両者を比較しなさい。 相対参照と絶対参照で動作がどのように変化するか調べなさい。

★練習問題(1709) セルの結合

複数のセルを結合してみなさい。 結合したいセルを選択し、「操作パレット」の「配置と間隔」の「セルの結合」 のチェクを入れる。結合したセルを元に戻しなさい。

★練習問題(1710) 書式

次の機能を確認しなさい

★練習問題(1711) CSVの読み込み

次のファイルを lv コマンドや Emacs で表示しなさい。 このCSVファイルを表計算ソフトウェアで読み込みなさい。 そして、表計算ソフトウェアの標準の形式で保存しなさい。

このデータを使って、 Excel によるグラフの作成 で示したようなグラフを作成しなさい。

★練習問題(1712) テキストの読み込み(タブ区切り)

CSVと同様に、テキスト(タブ区切り)を読みこんでみなさい。

★練習問題(1713) テキストの読み込み(固定長フィールド)

ls -l コマンドの結果について、次のことを行いなさい。

★練習問題(1714) HTMLの表の読み込み

CSVと同様に、表を含むHTMLのテキストを読みなさい。 表の部分だけを、表計算のデータとして取り出しなさい。

★練習問題(1715) ソート機能の利用

ソート機能を利用してみなさい。 複数の行を選択し、 「データ」メニューから「並べ替え」を選ぶ。

★練習問題(1716) フィルタ機能の利用

フィルタ機能を利用してみなさい。 タイトルを含む行を選び、「データ」メニューから「フィルタ」の 「オートフィルタ」を選ぶ。

★練習問題(1717) 関数、参照、グラフ

次のファイルをコピーしなさい。 このファイルに対して、次のような操作を行いなさい。

★練習問題(1718) 限界

次のようにして、Excel で扱える最大の整数値を調べなさい。
  1. あるセルに 1 と打ち込む。
  2. その下のセルに 上のセルを 2 倍した値を式で入れる。
  3. その下のセルに 2. をコピーする。
セルに次の式を書きなさい。 その結果を考察しなさい。 エクセ ル「演算誤差」対策講座参照。

★練習問題(1719) Windows版とMacOSX 版の比較

リモート・デスクトップを使って、Windows にログオンしなさい。 そこで、Microsoft Excel を実行し、 相互にファイルを作成して、相互に読み書きできるかを調べる。

★練習問題(1720) gnuplot

The Unix Super Text 52.3節 参照。gnuplot で、グラフを作成しなさい。形式としては、 x11 (標準), EPS, tgif, png, その他( help terminal 参照)を使いなさい。 作成したグラフを、ワードプロセッサ、または、LaTeX の文書に取り込んで表示しなさい。

★練習問題(1721) MacOSX での PDFの作成

MacOSX では、(端末で動作するものではなく) ウインドウを表示するアプリケー ションの多くで、印刷の代わりに PDF を作成することができる。 プリントの画面で、「プリント」ボタンの代わりに「PDF▼」ボタンを押し、メ ニューを表示して、「PDFとして保存」を選択すればよい。この機能を確かめな さい。

■課題17 表計算

締め切りは、6月16日火曜日 とする。 (1) と (3) [加点] の結果を、TA に提示し、確認番号を受け取りなさい。レポー トには、受け取った確認番号を記入しなさい。 締め切り日に確認番号を受け取ってから提出してもよい。

(1) 練習問題(1717) を行いなさい。完成した表と グラフを1ページに収まるように PDF を作成しなさい。 結果を TA に示し、確認番号を受け取りなさい。レポートには確認番号を記入 しなさい。

(2) The Unix Super Text の次の部分を読みなさい。

次の項目について簡単に説明しなさい。 (3) [加点] Excel によるグラフの作成 と同様な グラフを作成しなさい。それを、ワードプロセッサ、または、LaTeX の文書に 取り込みなさい。
  1. http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php に ある気象庁が提供している過去のデータからつくば市以外で、自分が住んだこ とがある地域に一番近い地点を選ぶ。この中にない場合には、任意の地点を選 ぶ。あるいは、ここで得られるデータと類似のデータを入手する。
  2. 過去10年以内の年を選ぶ。
  3. 「月ごとの値を表示」を選ぶ。
  4. HTML 形式で保存する。
  5. 練習問題(1714) と同様に、HTML 内の表を開く。
  6. 必要な行と列を残して、不要な行と列を削除する。
  7. 表計算の形式で保存する。
  8. 以後、目的のデータを選択し、それを系列としてグラフを作成する。
  9. 様々な書式を整えて見やすくする。
  10. ワードプロセッサ、または、LaTeX 文書に取り込む。
結果を TA に示し、確認番号を受け取りなさい。レポートには確認番号を記入 しなさい。

注意: Excel には、HTML の <table> タグを解釈する機能がある。 上の 3.-4. の代わりにコピー&ペーストを使うと、余計な行が含まれたり列が 合わないことがある。

(4) [加点] gnuplot を使って、Excel で作成したものと同じグラフを作成しな さい。また、類似のデータを使って別のグラフを2つ(合計で3つ)作成しな さい。作成したグラフを、ワードプロセッサ、または、LaTeX 文書に取り込み なさい。そして、Excel 等の表計算を利用する方法と比較して、それぞれの利 点と問題点を評価しなさい。


Last updated: 2009/06/12 09:36:27
Yasushi Shinjo / <yas@is.tsukuba.ac.jp>