LaTeX

					2006年06月06日
コンピュータリテラシ

                                       筑波大学 電子・情報工学系
                                       コンピュータサイエンス専攻
                                       新城 靖
                                       <yas@is.tsukuba.ac.jp>

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■連絡事項

■復習

HTML と CSS (Cascading Style Sheet)の役割分担。

HTML で記述できる文書の構造:

CSS で記述できる表示の方法:

ASCII コード表を表示するには、man ascii と打つ。16進数で 5c の文字「\」 は、端末によっては、「¥(円号)」や「\(バックスラッシュ)」で表示される。 コンピュータの内部では、16進数で 5c ということには代わりがない。どちら で表示されることもある。表示にこだわるとき、1つの文書で混ぜて使うのは、 不可能ではないが、難しい。

■LaTeX

手引き103ページ。 Unix Super Text 下巻「第50章 文書整形システム LaTeX」参考。

TeX (テフ、テック、タオ・イプシロン・カイ) は、D.E.Knuth による文書整形 システム。マークアップ言語によりテキストファイルにTeX の命令を埋め込ん だ文書を作成し、言語処理系(texコマンド)を使うと、印刷に適したものになる。

LaTeX (ラテフ、レイテック)は、TeX を拡張して、論文を簡単に書くために適 した命令を増やしたもの。L.Lamport による。

pTeX (pLaTeX) は、publisher ASCII出版で、TeX, LaTeX で日本語が使えるよ うにしたもの。coins で利用可能な物はこれの漢字コードとして EUC が使える ものである。その他に、NTT により日本語化されたものもある。

TeX は、マクロプロセッサの一種。マクロとは、文字列の置き換えのこと。一 般的には、短い文字列から長い文字列、簡単な文字列から複雑な文字列に変換 (展開)する。

様々なマクロ定義をまとめたものを「パッケージ」という。 \usepackage により取り込んで使うことができる。 自分でマクロ定義を行うこともできる。

◆ソース、プレビュー、印刷

LaTeX での文書の作成
  1. (必要なスタイルを入手する。標準のものを用いる場合は不要。)
  2. (サンプルをコピーする。)
  3. ソース・ファイル(拡張子 .tex )を作成/編集する。
  4. platex コマンドで dvi ファイルを作成する。
  5. プレビューアで dvi ファイルを作成する。
  6. 完成するまで、3 にもどる。
  7. (dvi ファイルから、dviselectなどで必要な部分を切り出す。)
  8. dvi ファイルを、印刷に適した形式(PostScriptやPDFなど)に変換する。
  9. 印刷する

LaTeX ソース、DVI ファイル、PDF ファイル、PostScript

dvi (DeVice Independent) 形式
プリンタや画面などのデバイス(device)から独立した形式。
TeXのプリンタ・ドライバ
dvi 形式を、プリンタ用の命令に変換する。
プレビューア
dvi ファイルを画面に表示する。
dviselect
dvi 形式の一部を抜き出す。
dvipdfmx
dvi 形式を PDF 形式に変換する。(手引きには、dvipdfm (xなし) と書い てあるが、dvipdfm では漢字がうまく変換できない。)
dvips
dvi 形式を PostScriptr 形式に変換するプリンタ・ドライバ。
xdvi
X Window System (X11) を使って画面に表示するプレビューア。
Mxdvi
MacOSX で動作するプレビューア。

dvi 形式をPostScipt 形式に変換し、GhostScript (gs コマンド, gv コマンド) で表示する方法がある。プレビュー.app(Preview.app)でも、PostScrip 形式の ファイルを(一旦PDFに変換して)画面に表示できる。

◆全角/半角

「全角(full-width)」、「半角(half-width)」とは、元々は、ワードプロセッ サの用語。漢字が「同じ幅(等幅,non-proportional)」で表示されることを利用 して、区別する。
全角
漢字1文字と同じ幅
半角
漢字1文字と半分の幅(で表示されるアルファベットや数字、記号)
半角は、主に ASCII。半角カナもあるが、あまり使われない (半角カナは、 電子メールやネットワーク・ニュースでは使わない約束になっている)。

◆LaTeX の特殊文字

次の文字は、LeTeX が特別扱いする(手引き118ページ)

#,$,%,&,_,{,},\,<,>,|,^,~

これらの特殊文字を LaTeX 処理系に解釈させる(LaTeX の命令とする) には、 半角 (ASCII) を使う。同じ形で画面に表示される全角文字(漢字)を使っても、 命令とは見なされなず、単に他の漢字と同じように表示される。

◆ソース・ファイル

Emacs などのテキスト・エディタで作成する。

◆文書の構造

次のような構造を持つ 本文は、次のような命令で、文書の構造を表す。
\section
章 (HTML <H1>)
\subsection
節 (HTML <H2>)
\subsubsection
項 (HTML <H3>)
空行で区切られた部分
パラグラフ (HTML <P>)
「\\」で、強制改行(HTML の <BR>)の意味だが、使ってはならない。 その代わりに空行(HTML の <P></P>)を使うこと。

その他に、\section より大きい単位として\part と \chapter, \subsection より小さい単位として \paragraph, \subparagraph が使われることがある。通 常のパラグラフは、空行で作り、\paragraph は使わない。

◆コメント

「%」から行末までは、コメント。

◆auxファイル

\LaTeX では、\label{} で、章の番号や図の番号を定義し、 \ref{} を使って別の場所から参照できる。これを実現するには、 platex コマンドを2回実行する必要がある。 1度目に、.tex を読み込み、番号を決定しながら、番号を、.aux に出力する。 .dvi には、? を出力しておく。 2度目に、.tex と .aux を読み込み、.dvi に出力する。

◆箇条書き

◆図

手引き109ページ参照。 figure環境を使う。\caption で図の説明がつけられる。 \label で、図の番号を定義し、\ref で参照できる。 \includegraphics で EPS 形式の図を読み込める。

◆table

手引き112ページ参照。 table環境を使う。 tabular環境で、図が書ける。

◆verbatim

verbatim環境を使うと、テキストのまま形で表示される。 プログラムや端末の出力を貼る時に便利である。

■実習

実習時間中には、 以下の課題をできるだけ多く行いなさい。全部を行う必要はない。

★練習問題(131) サンプルのコンパイル

% mkdir この練習問題のためのディレクトリ [←]
% cd この練習問題のためのディレクトリ [←]
% cp ~yas/public_html/coins/literacy-2006/2006-06-06/ex/struct.tex . [←]
% cp ~yas/public_html/coins/literacy-2006/2006-06-06/ex/omni.eps . [←]
% platex struct.tex [←]
% platex struct.tex [←]
% ls [←]
この結果、.dvi ファイル、.aux ファイルが作成されていることを確認しなさい。

★練習問題(132) プレビューアの実行

次のプレビューアで、.dvi ファイルを表示しなさい。

★練習問題(133) PostScriptファイルの作成

次の方法で PostScript ファイルを作成しなさい。

★練習問題(134) pdfファイルの作成

次の方法で、PDF ファイルを作成しなさい。

★練習問題(135) lastコマンド

last コマンドを使うと、そのコンピュータに ログインしたユーザの名前と日時を表示する。
% last ログイン名 [←]
または
% last [←]
体芸棟の実習室から遠隔ログインした様子を表示してみなさい。

◆課題14 LaTeXによる文書の作成

締め切りは、2006年6月9日金曜日とする。 (1) の結果を、印刷して提出しなさい。

(1) 課題10で作成し た WWW ページと類似の TeX 文書を作成しなさい。ただし、以下の点について は、同じでなくてもよい。

(2) 同じ内容の文書を、次に示す2つ以上のスタイルを用いて整形し印刷しな さい(加点項目)。


Last updated: 2006/06/08 21:40:02
Yasushi Shinjo / <yas@is.tsukuba.ac.jp>