Windows(1)

					2006年05月26日
コンピュータリテラシ

                                       筑波大学 電子・情報工学系
                                       コンピュータサイエンス専攻
                                       新城 靖
                                       <yas@is.tsukuba.ac.jp>

このページは、次の URL にあります。
http://www.coins.tsukuba.ac.jp/~yas/coins/literacy-2006/2006-05-26
あるいは、次のページから手繰っていくこともできます。
http://www.coins.tsukuba.ac.jp/~yas/
http://www.cs.tsukuba.ac.jp/~yas/

■連絡事項

■補足

講義のホーム・ページを、Web サーバを経由せずに ファイルを見に行く方法がある。 ホストには、全部別の IP アドレスがふられている。 それを表示するには、ifconfig コマンドが使える。
[azalea20:~] yas% hostname
azalea20.coins.tsukuba.ac.jp
[azalea20:~] yas% /sbin/ifconfig -a
lo0: flags=8049<UP,LOOPBACK,RUNNING,MULTICAST> mtu 16384
        inet6 ::1 prefixlen 128 
        inet6 fe80::1%lo0 prefixlen 64 scopeid 0x1 
        inet 127.0.0.1 netmask 0xff000000 
en0: flags=8863<UP,BROADCAST,SMART,RUNNING,SIMPLEX,MULTICAST> mtu 1500
        inet 130.158.86.40 netmask 0xfffffe00 broadcast 130.158.87.255
        inet6 fe80::214:51ff:fea6:faec%en0 prefixlen 64 scopeid 0x2 
        ether 00:14:51:a6:fa:ec 
        media: autoselect (1000baseT <full-duplex>) status: active
        supported media: none autoselect 10baseT/UTP <half-duplex> 10baseT/UTP <full-duplex> 10baseT/UTP <full-duplex,hw-loopback> 100baseTX <half-duplex> 100baseTX <full-duplex> 100baseTX <full-duplex,hw-loopback> 1000baseT <full-duplex> 1000baseT <full-duplex,hw-loopback> 1000baseT <full-duplex,flow-control> 1000baseT <full-duplex,flow-control,hw-loopback>
gif0: flags=8010<POINTOPOINT,MULTICAST> mtu 1280
stf0: flags=0<> mtu 1280
en1: flags=8822<BROADCAST,SMART,SIMPLEX,MULTICAST> mtu 1500
        ether 00:14:51:84:e0:94 
        media: autoselect (<unknown type>) status: inactive
        supported media: autoselect
fw3: flags=8822<BROADCAST,SMART,SIMPLEX,MULTICAST> mtu 4078
        lladdr 00:14:51:ff:fe:a6:fa:ec 
        media: autoselect <full-duplex> status: inactive
        supported media: autoselect <full-duplex>
[azalea20:~] yas% 
en0 の所の inet の後に注目。

■Windows

オペレーティング・システムの1つ。

Unix (MacOSX) との共通点。

細かい相違点

◆Control+Alt+Delete

ログオンのウインドウを出す時に打つ。直前のユーザが偽物のウインドウを出 していないことを保証する。 手引き 9.1.1項、143ページ。

ログオン中は、タスク・マネジャ プロセスの一覧を出して プロセスを殺すために使える。 手引き 9.5.2節、159ページ。

◆「ドライブ」の考え方

Windows では、ファイルをディレクトリの木構造で扱うが、ディレクトリの木 構造の上に、もう一段階「ドライブ」の名前がつく。

「ドライブ」は、フロッピ・ディスクの時代には、複数の子供の「ディレクト リ」の代わりにつかっていた。当時は、「ディレクトリ」は、ドライブに1個 しか存在しなかった。

A> dir[←]
A> dir b:[←]

Windows の前進の MS-DOS にUnix と同様の木構造に基づくディレクトリがつい たのは、1983年ごろ。

◆ホーム・ディレクトリをアクセスするためのドライブ

情報学類コンピューティング環境では、H: により、各自のホーム・ディ レクトリがアクセスできるようになっている。

◆プログラムの実行

プログラムを実行するには、次のような方法がある。

◆コマンドプロンプト

MacOSX で iTerm などの端末を実行した時と同じ状態になる。 手引き 9.7 節参照。

「スタートメニュー」から「アクセサリ→コマンドプロンプト」を選択する。

次のコマンドは、覚える。

cd
change directory
dir
ディレクトリの表示。ls -l 相当。
dir /w
ディレクトリの表示。ls 相当。
type filename
テキストファイルの表示

◆移動プロファイル

Windows XP (その前進の Windows 2000, Windows NT含む)は、もともと 「個人用(personal)」で使うために設計された Windows 95 以前のしがらみをかなり背負っている。

「個人用(personal)」コンピュータでは、複数人用の設定を保存する 必要がない。すべての設定は一人のためのもの。

この考え方は、次のような時代に破綻した。

Windows XP で、個人の設定は、「プロファイル」と呼ばれて、ファイル・サー バに保存されている。

ログオン時
ファイル・サーバから 個々のクライアント・パソコンにプロファイルを「コピー」する。
使用時
個々のクライアント・パソコンにあるプロファイルを変更する。
ログオフ時
個々のクライアント・パソコンにある プロファイルをファイル・サーバへ「コピー」しもどす。

コピーしもどす方法を「移動プロファイル」という。「コピー」なので、一度 に複数の Windows 機にログオンすると問題が生じる。また、プロファイルが大 きくなると、ログオンとログオフに時間がかかるようになる。

本来は、移動プロファイルのような方法ではなく、ネットワーク上に1個だけ プロファイルを用意し、複数の Windows 機でコピーせずに「共有」すべきであ る。しかし、複数の機械で「共有」するには、「並行プログラミング」という 技術的に高度なプログラミングが必要である。当時のマイクロソフト社の技術 水準では、それが不可能であり、移動プロファイルという方法が考えられた。

情報学類の MacOSX では、個人の設定もファイルと同様に、ネットワーク上で NFS という仕組みで全部のコンピュータからアクセス可能にしている。移動プ ロファイルのような仕組みは用いていない。

NFS という仕組みは、1984年に Sun Microsystems 社の「ワークステーション」 に組込まれていた。

◆コンテキスト・メニュー

一般的なメニューは、特定の場所を押すと、常に同じものが表示される。これ に対して、コンテキスト・メニューとは、ポイントしている対象に応じて、実 行可能な操作の一覧をメニューとして表示したものである。

Windows では、マウスの右ボタンをコンテキスト・メニューの表示に使う(右ク リック)。通常の操作(クリック、ダブルクリック)は、左ボタンを使う。

表示した後、項目を選択するのは、右クリックでも左クリックでもよい。

MacOSX でも、複数ボタンのマウスでは、右ボタンでコンテキスト・メニューが 表示される。1ボタンのマウスでは、コントロール・キーを押しながらボタン を押す。

■遠隔ログイン

Windows 機から MacOSX やその他の Unix が動作している機械を、遠隔ログイ ンにより利用することができる。Windows 用の遠隔ログインには、次のような プログラムがよく使われる。 いずれも、SSH という通信プロトコルを使う。

◆SSH 接続時のホストの確認

SSH では、接続先のホストを公開鍵(後述)で確認する機能がある。始めて接 続するホストなど、公開鍵を知らないホストに接続したり、公開鍵が変わって しまった場合には、警告を発する。

■nkfコマンド

nkf (network kanji finter)は、Unix で動作する漢字コードを変換するための プログラムである(情報学類のWindows機では動作しない)。

nkf は与えられたテキスト・ファイル(または標準入力)の漢字コードを自動的 に判定し、漢字コードの変換を行い、標準出力へ出力する。次の例は、 file.txt の漢字コードを EUC-JP に変換して別のファイル file-euc.txt に保存している。

% nkf -e file.txt > file-euc.txt [←]
手引き29ページ参照。

よく使うオプション

-j
出力を JIS に (標準)
-e
出力を EUC-JP に
-s
出力を Shift_JIS に
-w
出力を UTF-8 に
次の例は、テキストファイルfile.txtの漢字コードをEUC-JP に変換し ようとしているが、この方法はうまくいかない( 重要なファイルで試してみて はいけない)。
% nkf -e file.txt > file.txt [←]
その理由は、標準出力の切り替え> を使った瞬間にファイルの内 容が消されるからである。漢字コードを変換したい時には、次のように一度、 別の一時ファイル(temporary file)に保存する。
% ls -l file.txt [←]
(モードの確認)
% ls tmpfile [←]
ls: tmpfile: No such file or directory
% nkf -e file.txt > tmpfile [←]
% mv tmpfile file.txt [←]
% chmod モード file.txt [←]
ファイルのモードは保存されないので、必要なら ls -l で調べて、後で chmod でもどす。

■ls -v

ls コマンドは、漢字などASCII 以外の文字を含むファイル名を標準では「?」 に変換して表示する。-v オプションをつけると、そのまま表示する。 漢字の文字コードは、UTF-8 である。ただし、標準出力がパイプやファイルの 場合、「?」への変換は行われない。

■実習

実習時間中には、 以下の課題をできるだけ多く行いなさい。全部を行う必要はない。

★練習問題(96) Windows機へのログオンとログオフ

手引き 9.1 節を参照して、ログオンとログオフを行いなさい。

★練習問題(97) スタートメニュー

てびき 9.2.3 節を参照して、スタートメニューを使い、 次のようなプログラムを実行しなさい。

★練習問題(98) 「マイコンピュータ」を開く

★練習問題(99) H:ドライブ

マイコンピュータを開いたら、その中にあH: ドライブに、どのようなファイル とディレクトリがあるか調べなさい。

★練習問題(100) タスクマネジャ

手引き9.5.2項参照。

Control+Alt+Delete キーを使って、タスクマネジャを実行しなさい。「アプリ ケーション」や「プロセス」のタブを調べなさい。

「プロセス」のタブでは、CPU 時間の順番やメモリ使用量の順番に並べ替えな さい。

★練習問題(101) コマンドプロンプト

手引き 9.7 節を参照して、コマンドプロンプトを実行しなさい。

次のコマンドを使ってみなさい(「,」は打たない)。

コマンドは大文字で打っても小文字で打っても同じように動作することを確認 しなさい。

コマンドプロンプトでは、Unix のシェルと同様に、入出力の切り替えが使える ことを確認しなさい。

dir > files.txt
type files.txt
コマンドプロンプトでは、Unix の tcsh と同様に、タブによるファイル名の補 完が行われることを確かめなさい。ファイル名を何も売っていない状態でタブ を打つと、ディレクトリの内容が次々と切り替わる。

★練習問題(102) 「マイドキュメント」のディレクトリの変更

最初の状態では、「マイドキュメント」は、 移動プロファイル に含まれている。これを、H:ドライブの下になるように変更しなさい。

これで、Windows で「マイドキュメント」を参照すると、 「H:\WinFiles\My Documents」へ書かれる。このディレクトリは、 Unix では、~/WinFiles/My\ Documents(空白を含む場合には\ と「\」か「¥」でエスケープするか" "でエスケープする) に相当 する。

なお、「マイドキュメント」を用いずにH:ドライブ以下のディレクトリ に直接保存してもよい。

★練習問題(103) Tera Term による iMac への接続

次のいずれかの方法で Tera Term を実行しなさい。 実行したら、「ホスト」に、接続したいホスト名(コンピュータの名前、 azalea20.coins.tsukuba.ac.jp など)、「サービス」としては、SSH、「TCPポー ト#」としては、22を選択する。最後に「OK」ボタンを押す。

Tera Term で、ホスト名、サービス、ポート番号を指定する。

SSH では、最初に接続する時に、 ホストの確認を行う。 その時に、警告が表示されることがある。

本来は、公開鍵を調べて接続すべきである。

次に「SSH接続」のウインドウで、「ユーザ名」にユーザ名、「パスフレーズ」 に「パスワード」を打つ。「プレインテキストを使う」にチェックが入ってい ることを確かめる。(RSA鍵を使う方法の方がよいが、授業の後半で説明する。)

Tera Term で、ホスト名、サービス、ポート番号を指定する。

ログインに成功したら、シェルのプロンプトが表示されるはずである。

「設定」メニューの「端末」で、次のような項目を必要や好みに応じて調整す る。

Tera Term で、ウインドウ・サイズや漢字コードなどを調整する

必要なら、設定を保存する。

★練習問題(104) Tera Termを通じたUnixの利用

Tera Term で Unix に接続したら、次のようなことを行いなさい。 テキスト・ファイルとしては、Windows 側で作成したものも使いなさい。

★練習問題(105) Windows でのテキスト・ファイルの作成

Windows で、次のような方法でテキスト・ファイルを作成しなさい。

★練習問題(106) Tera Termによる icho への接続

Tera Term で、icho.ipe.tsukuba.ac.jp に接続してみなさい。 ssh コマンドを使った方法 と同様に、ユーザ名としては、 「s」から始まるもの、 パスワードとしては、 筑波大学統一認証システムで管理されているものを使いなさい。

◆課題11 Windowsのファイルとディレクトリ

締め切りは、2006年5月30日火曜日とする。

(1) 練習問題 102 を行い、 「マイドキュメント」を移動プロファイルから抜き、ホーム・ディレクトリ以 下のディレクトリになるように設定しなさい。 次のようなコマンドを打ち、移動したことを示しなさい。

% ls -l   マイドキュメントに相当するディレクトリ   |  nkf -e [←]
(ディレクトリ内容が EUC-JP に変換され表示される)
この画面の表示の様子を、どのようなコマンドを打ったのか、シェルのプロン プトも含めてファイルに保存して提出しなさい。nkf の代わりに lv コマンド をつかってもよい。

(2) Windows の「コマンドプロンプト」で次のようなコマンドを実行し、テキ スト・ファイルを作成しなさい。

hostname > hostname-ipaddr.text
ipconfig  >> hostname-ipaddr.text
dir hostname-ipaddr.text
(ファイルの大きさの確認)
type hostname-ipaddr.text
(ファイルの内容の確認)
(3) 作成したファイルを、Unix 側(MacOSX iTerm、または、Tera Term)で次の ように打ち、確認しなさい。
ls  -l hostname-ipaddr.text
(ファイルの大きさの確認)
nkf -e hostname-ipaddr.text
(ファイルの内容の確認)
この画面の表示の様子を、どのようなコマンドを打ったのか、シェルのプロン プトも含めてファイルに保存して提出しなさい。


Last updated: 2006/05/27 20:33:17
Yasushi Shinjo / <yas@is.tsukuba.ac.jp>