情報科学類への招待
情報科学類長・情報学類長
山 口 喜 教

 今日、インターネット、電子メール、携帯電話がない生活は考えられない程、情報技術は社会の基盤として浸透しています。また、社会のあらゆる仕組み、人間のあらゆる活動において、情報技術は欠くことのできない世界となっています。しかしながら、情報化の進展に伴い、セキュリティやプライバシー、システムの信頼性、デジタルデバイド等、新たな問題も多く発生しています。これらの問題に立ち向かい社会の持続的発展を可能とするために、確かな技術に裏付けられた情報分野の高度な人材が強く求められています。
 情報科学類は、これまで筑波大学における情報技術分野の教育の中核を担ってきた情報学類を受け継いでいる学類です。情報学類は、国内の大学における情報専門教育組織のさきがけ的な存在として1977年に設立され、これまで日本における情報教育において大きな貢献をしてきました。情報学類の卒業生は社会から極めて高い評価を受け、様々な分野で活躍しています。
 情報科学類は、情報に関する科学と技術の基礎や応用力を身につけ、情報のプロとして現実の様々な課題を解決し、豊かで秩序ある社会の実現に貢献できる人材の育成を目指しています。基礎技術から応用技術、理論から実世界のシステム、ハードウェアからソフトウェア・知能情報メディアまでをカバーするカリキュラムにより、日夜発展する情報科学技術の多様な側面を幅広く、また、その原理や仕組みを奥深く学習することができます。また、学生の主体性を引き出すため、学生が自らプロジェクト計画を立案実施する「情報特別演習」、e-learningによりいつでもどこでも学習ができる「技術英語」、企業での「インターンシップ」等の特色ある科目も用意しています。また、2009年度からは、実際に企業で製品開発やソフトウェア開発に携わっている講師の方から具体的な事例なども含めて大学内でトレーニングを受けることができるという「組み込み技術キャンパスOJT」というユニークな取り組みも開始されました。このように、情報科学類では単に情報の技術を学ぶだけではなく、これらを社会における様々な問題の解決に役立てるための思考力や洞察力を養うことも重要視しています。
 これらの授業を担当するのは、情報科学の様々な分野で学術研究をリードする教授陣です。情報科学類を主に担当する教員は50名を超えており、教授陣の質と量は、情報分野では日本最大級を誇ります。この他情報学群内をはじめとする関連学類の教員の授業等を受ける機会も提供されます。また、情報科学類は大学院のコンピュータサイエンス専攻と様々な形で連携をとっており、コンピュータサイエンスに関係する最先端で活躍する一流の研究者から直接講義や研究指導等を受けることができます。情報科学類の前身である情報学類においては、最近、卒業生の約7,8割が大学院に進むという傾向がありますが、情報科学類の卒業生についても大学院でさらに勉学を深めることができる高度な教育研究環境が用意されていることは言うまでもありません。
 情報科学類では、情報学群の一翼を担う新たな学類として、情報科学技術分野の優れた人材を引き続き社会に送り出していきたいと考えています。